■三葉虫類 [戻る]
三葉虫類は古生代最初期に出現したバージェス動物群の仲間で,その後,繁栄して古生代末(約2億5200万年前)まで世界的に広く生息した海生の節足動物。この堅い殻は,体を支えるとともに,外敵から身を守る役割があり,頭部・胸部・尾部に分かれ,脱皮を繰り返しつつ成長した。腹面には多数の細長い脚があったが,化石としてはほとんど残っていない。1cmから70pに達するようなものまであるが,2〜7cm程度のものが多い。いずれも海底をはいながら,泥の中に含まれている微生物を食べ,魚などの外敵に襲われると体を丸めて防御の姿勢をとった。 昆虫と同じ複眼構造を有するものが多い。古生代初期(カンブリア紀)のものは尾部が小さいものが多く,デボン紀以降のものは奇妙なイボや突起のあるものが多い。 |
![]() 体を丸めて防御の姿勢をとった三葉虫 |
![]() 複眼構造がある三葉虫の化石 三葉虫には昆虫と同じような細かい複眼構造があり,節足動物の進化に興味が持たれる。 古生代デボン紀(4億1900万年〜3億5900万年前)モロッコ |
![]() 三葉虫の脱皮後の殻が化石となったもの 三葉虫は脱皮しながら成長し,その脱皮殻は,頭部・胸部・尾部に分離し,それらがこのように集積して化石になることもある。これはドレパヌラの仲間の三葉虫の脱皮殻が多く見られる標本で,特に中央のように長い剣状の突起がある尾部がコウモリのように見えるため,「コウモリ石」と呼ばれるものである。なお,この産地ではブラックウェルデリアの仲間の三葉虫の脱皮殻も一緒に産する。 古生代カンブリア紀(5億4100万年〜4億8500万年前) |
三葉虫類の例 | ||
![]() アメリカ産 |
![]() 朝鮮半島産 化石になった後に起きた地殻変動で体全体が変形している。 |
![]() エオダルマニチナ Eodalmanitina sp. 三日月形の複眼をもつ。化石になった後に起きた地殻変動で体全体が変形している。 古生代オルドビス紀(4億8500万年〜4億4400万年前) ポルトガル |
エルラシア Elrathia sp. 古生代初期の三葉虫で,尾部が小さい。アメリカ ユタ州のものが世界的に有名だが,遠く離れた朝鮮半島でも産し,このことは当時の分布域やその後の大陸移動の状況を示す。 古生代カンブリア紀(5億4100万年〜4億8500万年前) 左:アメリカ産,右:朝鮮半島産 |
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![]() セラウルス,フレキシカリメネ Ceraurus pleurexanthemus, Flexicalymene senaria 2種の三葉虫の共生標本。頭部・尾部から長い棘が出ているのがセラウルス。もり上がった丸い頭部をもつものがフレキシカリメネ。 古生代オルドビス紀(4億8500万年〜4億4400万年前) カナダ |
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![]() イソテルス Isotelus maximus 大型の三葉虫の仲間で,体長は30cmに達するが,殻の厚みは1mm程度しかない。 古生代オルドビス紀(4億8500万年〜4億4400万年前) アメリカ |
![]() アサフスの仲間 Asaphus (Neoasaphus) kowalewskii 眼が伸びており,泥に潜って周囲をうかがったと思われる。 古生代オルドビス紀(4億8500万年〜4億4400万年前) ロシア |
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![]() ドロップス Drops armatus 三葉虫類 棘が多い奇怪な三葉虫。昆虫と同じような細かい複眼構造がある。 古生代デボン紀(4億1900万年〜3億5900万年前) モロッコ |
デボン紀の三葉虫類 古生代中頃のデボン紀になると,このように棘が多かったり,尾版が大きい奇怪な三葉虫が多く出現してくる。棘は外敵からの防御のためと考えられている。赤矢印先には複眼構造が見える。 古生代デボン紀(4億1900万年〜3億5900万年前) モロッコ |