倉敷市立自然史博物館友の会の行事



第534回自然観察会
「第22回シダの世界」
 2017年9月30日(土) 報告

◆日   時 : 2017年9月30日(土) 10時〜14時30分
◆場 所 :高梁市成羽町坂本 天神山
◆講 師 :
山下純(岡山大学資源植物科学研究所)・狩山俊悟(倉敷市立自然史博物館)
◆参加者:22名

天神山は標高777m。高梁市の最高峰で,多くの登山者が訪れる山です。と同時に,知る人ぞ知るシダの宝庫だとか。
ちょっと地味なシダの世界から,どんな「お宝」が飛び出すのでしょうか。

集合場所からさらに,天神山の山頂近くまで車で移動しました。ここから徒歩で下山しつつ,道中のシダを観察します。 シダと言えば,葉裏についた点々(胞子のう群)が特徴のひとつ。でも,この「シシガシラ」にはついていません。そのわけは…。
    
あちこちに切り立った岩壁が露出しています。こういう岩壁の環境を好むシダもあるそうです。 たぶん私だけが気づいた炭窯の後。半ば自然に還りながら,山のなりわいをひっそりと伝えています。
      
天神山の地質はチャートという岩石です。硬いチャートの岩壁には,着生植物が多く見られるのだそうです。 岩壁の下でお昼をとっている皆さんのすぐそばには…
       
本日の逸品,オオフジシダ(手前)とフジシダ(奥)が群れをなしていました。岡山県ではとても少ない「お宝」のシダです。 ジャノヒゲ?ヤブラン?いえいえ,これも立派なシダ。固定観念を揺るがすそのシダの名は「シシラン」。
これはイワガネソウ?イワガネゼンマイ?それともイヌイワガネソウかな? 最後に登場したのは,重金属に耐性のあるヘビノネゴザ。地面には銅の精錬かすが散らばっていました。

珍品からごくありふれたものまで,たくさんのシダとの出会いがありました。
山下先生の丁寧で分かりやすい説明で,シダの世界がちょっと身近になったように思います。
最後は専門的な分類体系のお話も飛び出して,シダの奥深さを垣間見た1日となりました。

(写真/文:岡本 泰典)




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