倉敷市立自然史博物館友の会の行事



第508回自然観察会「鶴形山の岩石とそこの石材の岩石」
 2016年10月30日(日) 報告

◆日 時 :2016年10月30日(日) 14時30分〜16時
◆場 所 :倉敷市鶴形山
◆講 師 :武智泰史
◆参加者:27名

博物館の2階からは,美観地区と鶴形山が一望できます。そんな身近な場所をいつもと違った視点でゆっくり歩いて観察しました。



新渓園の門で,花こう岩中のペグマタイトの観察をしました。石垣には「豊島石」と呼ばれる香川県豊島で採石された火山れき凝灰岩がありました。 大原美術館の石垣で流紋岩と鶴形山の砂岩と泥岩の互層を観察しました。日曜日の美観地区はおおぜいの観光客で賑やかでした。
   
鶴形山は2億〜3億年前に泥や砂が海底で堆積してできた泥岩や砂岩でできているそうです。それらの互層ができる様子をテキストを見ながら説明していただきました。石垣にはツメレンゲが花を咲かせていました。 阿知神社の鶴亀の磐境(いわさか)で鶴形山の砂岩と泥岩の観察をしました。石の表面の赤くなったところは,風化して酸化鉄になったものだそうです。
    
阿知神社から観龍寺に向かう途中の石垣では砂岩と泥岩の互層がよく見えました。 同じ場所には,その砂岩と泥岩が約8000万年前に接触変成作用でできた砂質ホルンフェルスと泥質ホルンフェルスの互層もありました。
    
阿知神社から観龍寺に向かう途中の民家の石垣で,花こう岩中の鉄電気石を伴うペグマタイトを観察しました。総社市清音の採石場から運ばれてきたのではないかということです。 観龍寺の境内では敷石の中に含まれたせん緑岩を観察した後,博物館に帰ってまとめをしました。

鶴形山とその周辺の地形のでき方,また石垣や敷石に使われている岩石の多くが近隣から運ばれてきた物であることを学ぶことができた,内容の深い観察会でした。わかりやすく解説していただいた武智学芸員に感謝申し上げます。



(写真/文:島岡 浩恵)




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