倉敷市立自然史博物館友の会の行事



第304回自然観察会「冬越しの植物」
 2009年2月1日報告 倉敷市西坂

 植物は依存する環境に適応することによって,形や機能などの生活様式を変えていきます。環境との関連を考 えながら,植物に反映されたその生活様式を類型的にとらえたのが「生活形(セイカツケイ)」です。
特に有名なのが,植物が冬の低温や夏の乾燥といった生活に不利な状況を凌ぐために持つ休眠芽の,地表面からの高さによって植物を分類するもので,ラウンケルの生活形と呼ばれています。
 

倉敷市街からも近い西坂には,「倉敷の自然をまもる会」が管理されているフィールド,通称奥西坂自然基地があります。
今回の観察会は この自然基地が舞台で,私たち「友の会」と「まもる会」との共催でした。
まず初めに狩山学芸員から,ラウンケルの生活形の説明がありました。ラウンケルの生活形は大きく分けると6つあるそうです。
地上から30cmより高い場所に休眠芽のある「地上植物」,それから低くなる順に,「地表植物」,「半地中植物」,「地中植物」,そして「1年生植物」,「水生植物」です。


観察が始まると,いきなり地面を掘り起こす狩山学芸員のまわりに,ものすごい人だかりが出来ます。
「地表植物」,「半地中植物」,「地中植物」といった植物は,低温や乾燥に強いそうです。
 小さなお子さんも,大人に負けじと,一所懸命,メモをとられていました。
 今回は倉敷ケーブルテレビの取材もあり,その日の夕方には観察会の模様が放送されたそうです。


ナズナが白い可愛い花をつけていました。ホトケノザなども咲いており,確実に春は近づいてきているようです。
 この日の参加者は,寒さにもかかわらず,予想を大きく上回る90名でした。
タンポポの花も咲いていました。近年,タンポポの置かれている状況は極めて微妙で,現在,2010年の西日本のタンポポ一斉調査に向け,準備が進められています。
 その後,地上植物の樹木についての説明もありました。地上植物は低温や乾燥には比較的弱い半面 ,適期には強い競争力を持つそうです。


まとめでは,「友の会」の榎本会長が,いつものユーモアを交えながら,皆さんに生態学の勉強を勧められました。
 また「まもる会」の河邉会長さんからは,「まもる会」,「友の会」の今後益々の,連携の呼びかけをいただきました。
観察会のあとは,「まもる会」の皆さんが用意してくださった「クレソン鍋」をいただきました。もちろん「クレソン鍋」は初めてという方が殆どでしたが,エスニックな雰囲気で,あっさりとしてとても美味しく,何杯もおかわりをされている方もおられました。
 また,「友の会」の方が用意してくださったハーブティーも好評でした。



(写真/文:島岡 浩恵・健)




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