はんれい岩中の斜長石(しゃちょうせき) plagioclase [戻る]

斜長石は,かんらん岩・蛇紋岩以外の火成岩には大抵,含まれている。はんれい岩中にも多く含まれ,白色・灰色などの不定形・長方形などをなす(一方,アルカリ長石は,はんれい岩中には含まれない)。

完全なへき開でやや平滑に割れ,時にその割れ口にアルバイト双晶による平行な直線状のすじが見えることもある。へき開以外の方向で割れた面は不平坦。はんれい岩中の斜長石はナトリウムよりもカルシウムに富むものが多い(灰長石あるいはそれに近い化学組成のものが多い)。
はんれい岩の斜長石が多くなり,有色鉱物である輝石類などが非常に少なくなったものは斜長岩と呼ばれ,大陸地域の層状貫入岩体(10億年以上前に形成)に見られる。

※はんれい岩中の斜長石はカルシウムに富み,熱水作用や変成作用で変質しやすく,クリーム色不透明になっていることも少なくない。特に海洋プレート中層部のはんれい岩が付加体になった「変はんれい岩」中の斜長石は変質していることが多く,ぶどう石・斜灰れん石などに変化している(同時に輝石類もアクチノせん石などに変質していることが多い)。



はんれい岩中の斜長石の一例
無色半透明の不規則粒状(Pl)。周囲の輝石類(Px)の色が透けて灰色に見えている。しかし時に斜長石自体が灰色の場合もある。


はんれい岩中の斜長石の一例
白色半透明のもので,中央下部には長方形の自形のものも見られる。黒っぽい部分は普通輝石。


「変はんれい岩」中の斜長石(Pl)
はんれい岩のうち,海洋底のプレートの中層部を構成していたものがプレートの動 き (1年に数cmの動き)で移動し,プレート同士の衝突帯(造山帯)で地下に沈み込み,弱い変成作用を受けたものは「変はんれい岩」と呼ばれ,もとの造岩鉱物は変質していることが多い。
Plは変成作用により,緻密でクリーム色〜にごった緑灰色のぶどう石・斜灰れん石などに変質している斜長石。一方,輝石類はアクチノ閃石に変質している(暗緑色部分:Ac)。
このような「変はんれい岩」には写真中央に見られるような白い細脈(Ph)がよく見られる。これはぶどう石や斜灰れん石などからなることが多く,これも弱い変成作用でできたものである。


はんれい岩中の斜長石(しゃちょうせき) plagioclase
色/白色,灰色。時に帯緑色〜帯青色。
透明度/半透明。変質するとクリーム色不透明・にごった緑灰色になる。
光沢/ガラス光沢。変質したものは光沢が鈍い。
硬さ/ナイフと同じくらい
形態/不定形粒状・長方形など
へき開/完全1方向,明瞭1方向
成分/ナトリウム・カルシウムを主とするアルミノケイ酸塩:(Na,Ca)(Al,Si)4O8