「変はんれい岩」中のアクチノ閃石(あくちのせんせき)(別名:透緑閃石・緑閃石・陽起石)   actinolite  [戻る]  

アクチノ閃石はマグマから初生的にできることはない(火成岩中に初成的な造岩鉱物としては含まれない)。しかし,「変はんれい岩」など,弱い変成作用を受けた岩石では普通角閃石や輝石類が変質して緑泥石などと共にできていることが多い。熱水変質作用を受けた場合も緑泥石などとともに生成する。

色/くすんだ緑色〜暗緑色
透明度/半透明〜ほとんど不透明
光沢/ガラス光沢(微細で光沢はわかりにくい)
硬さ/ナイフと同じくらい
岩石中で見られる形態/針状〜短い繊維状。緻密な集合体。
へき開/完全(微細で光沢はわかりにくい)
成分/カルシウム・マグネシウム・鉄のケイ酸塩:Ca2(Mg,Fe)5(Si8O22)(OH)2  ※鉄に乏しいものは淡緑色で,透角閃石(tremolite)という。



変質したはんれい岩(変はんれい岩)中のアクチノせん石(Ac)
海洋底のプレートの中層部を構成していたはんれい岩がプレートの動 き (1年に数cmの動き)で移動し,プレート同士の衝突帯(造山帯)で地下に沈み込み,弱い変成作用を受けたものは「変はんれい岩」と呼ばれ,もとの造岩鉱物は変質していることが多い。
元のはんれい岩中の輝石類はアクチノ閃石に変質し(Ac),これは暗緑色緻密な繊維状〜針状集合体で針先で崩れやすく,しばしば,より軟らかい暗緑色鱗片状の緑泥石を伴う。
一方,斜長石(Pl)は,緻密で乳白色〜にごった緑灰色のぶどう石・斜灰れん石などに変質している。
なお,変はんれい岩には写真中央のような白い細脈(Ph:ぶどう石や斜灰れん石からなる)が見られることも多い。