ホセ鉱 joseite Bi4(Te,S)3 六方晶系 [戻る]
生野鉱のS→Te置換体
ライタカリ鉱のSe→Te置換体


平滑な研磨面が得られる。不定形のほか,板状結晶の断面の短冊状をなす。明るい白で,他の六方晶系の層状ビスマスカルコゲン化合物(生野鉱,ライタカリ鉱,ヘドレイ鉱,都茂鉱,硫テルル蒼鉛鉱,テルル蒼鉛鉱など)とは光学的には識別困難。しかし,ホセ鉱・生野鉱・ライタカリ鉱などのBi:(S,Se,Te)=4:3のものやヘドレイ鉱(Bi7Te3)は自然ビスマスと密接に共生することが多く,その周りを取り巻く反応縁をなすことも多い。一方,カルコゲン元素に富む硫テルル蒼鉛鉱,テルル蒼鉛鉱は自然ビスマスとは共生しないので,共生鉱物からある程度,識別できる。ホセ鉱は六方晶系の層状Biテルル化鉱物の中では最も普通。やや錆びにくいが,Sの多いものは時に褐色に錆びやすい。
特に深熱水成金銀石英脈,気成鉱脈,スカルン鉱床などのやや高温生成の鉱床中に自然ビスマス,自然金(Au約7割以上),硫砒鉄鉱,鉄マンガン重石などとともにしばしば見出される。
なお,ホセ鉱にはBi4TeS2のホセ鉱−A,Bi4Te2Sのホセ鉱−Bがあり,両者には組成間隙があり,2相共存していることがある。そしてホセ鉱−A(Bi4TeS2)と生野鉱(Bi4S3)との鉱物学的な違いは未詳である。

反射色/白
反射多色性/弱い(ほとんど認められない)
異方性/明瞭
反射率(λ=590nm)/50〜60%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/30〜90
内部反射/なし



ホセ鉱(Jo)/山口県大和鉱山
 平行ニコル
反射多色性はほとんど認められない。これはスカルン鉱床のもの。Sに富み,Teの少ないホセ鉱-Aである。
不定形のほか,このように板状結晶の断面の短冊状をなす。明るい白で,他の六方晶系の層状ビスマスカルコゲン化合物(生野鉱,ライタカリ鉱,ヘドレイ鉱,都茂鉱,硫テルル蒼鉛鉱,テルル蒼鉛鉱など)とは光学的には識別困難。しかし下写真のように自然ビスマスと共生していればホセ鉱,生野鉱,ライタカリ鉱,ヘドレイ鉱の可能性が高い。
Jo:ホセ鉱,Di:透輝石


自然ビスマス(Bi)と密接に共生しているホセ鉱(Jo)/山口県大和鉱山 平行ニコル
このホセ鉱は自然ビスマスの明るさによるコントラストで灰色に見えている。板状結晶の断面の短冊状をなす。
Jo:ホセ鉱,Bi:自然ビスマス,Di:透輝石


左のホセ鉱(Jo)の異方性(明瞭)
 
クロスニコル

写真のように単独の粒子でもはっきり認められることがある。不規則な粒子がモザイク状の集合体を示す場合も多い。
Jo:ホセ鉱,Di:透輝石


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検鏡試料:ケイ灰石・透輝石を主とするスカルン中の灰黒色部分。