コベリン covellite(covelline) CuS 六方晶系  [戻る]

特徴的な青色系の色で,青色〜青灰色に至る反射多色性が著しい。そして,異方性は非常に強い(※なお,ステージを1回転させる毎に4回色調が変化することがある)。平滑な研磨面が得られる。組成変化に乏しく,光学的性質はほぼ一定している。
二次鉱物として産する場合が多く,黄銅鉱・斑銅鉱などの初生銅鉱物の割れ目に脈状をなしたり,その周りに層状をなす(交代組織)。輝銅鉱類似のCu-S系鉱物と共生することもある。二次鉱物として産するものは微細な鱗片状・モザイク状の集合組織を示すことが多い。
時に玄武岩の空隙に昇華物として,あるいは硫黄卓越型の熱水鉱床などに初生鉱物で産することもあり,この場合,粗い板状集合体をなす。

反射色/鮮やかな青〜青灰色
反射多色性/非常に強く,鮮やかな青〜青灰色
異方性/非常に強く,特徴的な暗紅〜橙桃〜青色
反射率(λ=590nm)/5〜22%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/59−129
内部反射/なし 



コベリン(視野全体)の反射多色性(非常に強い) 秋田県小坂鉱山平行ニコル
これは初生的に熱水から生成したコベリンで粗い板状結晶集合体(葉片状集合体)をなす。粒子ごとに結晶方位が異なり,灰色や青色などに見える。これはあたかも別種の鉱物の集まりに見えるが,ステージを回転させると灰→青,青→灰といった色の変化で同じコベリンと分かる。
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上のコベリン(視野全体)の異方性(非常に強い)/
クロスニコル
異方性による橙桃〜暗紅〜暗紫〜青色の火炎のような色変化が顕著で,葉片状組織がはっきりわかる。なお,このようにステージを1回転させる毎に4回色調が変化することがある。ただし,90°回転ごとの色(45°回転を2回繰り返した色)は厳密には同じではなく,180°回転ごとの色(45°回転を4回繰り返した色)が厳密に同じ色である。

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検鏡試料:淡い金色の黄鉄鉱に,肉眼的な大きさの濃青色のコベリンを伴うもの


 



他の銅鉱物の分解で二次的に生成したコベリン(Cv) 広島県三原鉱山平行ニコル
これは地表近くの風化作用でスカルン鉱床の斑銅鉱(Bn)が割れ目に沿い,コベリンに変化したもの。微粒子の灰〜青色のモザイク状集合体の脈状。
このように二次的に生成したコベリンは初生銅鉱物の割れ目や周辺部に微粒集合体の脈状や層状をなすことが多い。
Cv:コベリン,Bn:斑銅鉱,Cp:黄銅鉱


左のコベリン(Cv)の異方性(非常に強い)/クロスニコル
微粒子がモザイク状に集合しているのが,一層はっきりする。
Cv:コベリン,Bn:斑銅鉱,Cp:黄銅鉱



コベリン(Cv)/鹿児島県赤石鉱山 平行ニコル
硫黄卓越型の熱水鉱床中。灰橙色のルソン銅鉱(lz)の周囲にその分解物として生成したもの。これは二次的にできたものだが,硫黄卓越型の熱水鉱床にはこれ以外に初生鉱物として見られることもある。
Cv:コベリン,lz:ルソン銅鉱,Au:自然金,Py:黄鉄鉱,Qz:石英,Sco:スコロド石
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検鏡試料