平成29年12月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
 
提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
 
まず、去る9月議会においても申し上げましたが、就労継続支援A型事業所を運営しておりました「あじさいグループ」が7月31日をもって市内5か所の事業所を廃止したことにより、利用されていた220人余りの障がいのある方々が、離職を余儀なくされました。本市では、事業者に対し再就職に向けた支援を行うよう勧告し、継続的に指導するとともに、岡山労働局やハローワークと連携して、再就職に向けた支援を行っており、12月1日現在で就職を希望されている207人のうち168人が再就職されております。引き続き再就職に向けた支援を続けてまいりますとともに、離職された方々が安心した生活を取り戻していただけるように寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。また、10月6日に、岡山県と合同で、加藤勝信厚生労働大臣に「就労継続支援A型の継続性の確保」に係る提案書を提出し、A型事業所の経営の安定性・継続性が図られるよう提案するとともに、本市独自に、送迎加算の取扱いの再検討など3項目について要望を行いました。加えて、本市としてA型事業所の経営の安定性・継続性の確保につながる支援を行うため、12月15日から中小企業診断士の資格を有する職員を障がい福祉課に配置することといたしました。さらに、平成30年度の組織改正において、障がい福祉課内に新たに事業所指導室を設置し、障害福祉サービス事業者等の指定、変更、廃止等及び指導業務についての体制強化を図ってまいりたいと考えております。
 
次に、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業についてでございます。11月30日、岡山県議会土木委員会が、全会一致で決定した連続立体交差事業の推進についての要望書を県執行部に対して提出されました。本市では、倉敷駅周辺総合整備計画を公表し、8月10日の県議会土木委員会及びJR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業整備促進岡山県議会議員連盟において御説明し、また8月21日には、私からも県知事に本事業の推進を強くお願いしたところです。このたび、県議会土木委員会の総意として、本事業の事業主体は県であることを十分認識し、倉敷市がこれまでに実施してきた土地区画整理事業等の取組や、倉敷駅周辺総合整備計画を踏まえて、本事業についてスピード感を持って対応すること等を内容とする事業推進に向けた要望書を県執行部に提出していただいたことを大変心強く感じております。本市が進めている倉敷駅周辺第二土地区画整理事業につきましても事業は着実に進んでおり、連続立体交差事業の必要性は、ますます高まってきているものと考えております。早期の事業化が図られますよう引き続き取組を進めてまいります。
 
次に、教育環境の充実についてでございます。倉敷市教育委員会では、来年度から市立中学校における2学期の開始時期を早めることとし、8月末に新たに5日間の授業日を設けることとしました。授業日数を増やすことで、ゆとりある教育課程の編成が実現し、生徒に対するよりきめ細やかな指導が可能になると考えており、また、昨年度の中学校第3学年普通教室及び特別支援学級に続き、今年度、第1学年及び第2学年の普通教室にエアコンを設置し、夏季における学習環境も整備したことから、今後の学力向上に向けた取組等につなげてまいりたいと考えております。
 
次に、子育て支援の取組についてでございますが、このたび平成28年の倉敷市の合計特殊出生率が公表されました。全国が前年より0.01ポイント低下の1.44、岡山県が0.02ポイント上昇の1.56に対して、倉敷市は0.04ポイント上昇の1.64となり、ここ15年間で最も高い数値となりました。これまで取組を進めてきた成果が表れてきているものと考えており、引き続き子育て支援策の充実に努めてまいります。
 
次に、地方創生の推進についてでございますが、まず、大学進学時における東京一極集中の状況について、10月25日の中央教育審議会の大学分科会において地方の立場から意見を申し上げました。現在、全国の18歳人口は、ここ25年間で、201万人から120万人へと約80万人減少しているなかで、東京23区の大学の学部学生数は、39万人から45万人へと増加しています。このため、東京23区の大学の定員抑制をはじめ、地方への大学移転の促進や地方就職支援の推進、地方大学振興のための財政的な支援などについて提言を行いました。
 
また、11月17日の第13回まち・ひと・しごと創生会議に出席し、地方への人の流れをつくる施策など地方創生を加速化するための提言を行いました。まず、平成28年の人口移動報告では、東京圏への転入超過数が約12万人で21年連続の転入超過となる一方、三大都市圏を構成する大阪圏及び名古屋圏では4年連続の転出超過となっており、東京一極集中の傾向が継続していること、また、現在、地方では少子高齢化による生産年齢人口の減少に加え、東京圏への人口流出により、人材不足が深刻化していることを申し上げました。こうした状況を踏まえ、地方への人の流れをつくるためには、地場産業や農林水産業の振興、創業支援など地域の個性と魅力を活かした雇用の場の創出や、東京圏からの移住定住の促進、また、社会資本整備による利便性向上や災害等に対して安全・安心なまちづくりを推進していくことが重要であると申し上げました。また、平成29年度末までとなっている地方拠点強化税制の適用期間を延長するとともに、これまで本社機能に限定されていた支援対象施設を、生産性向上に資する先端工場や物流拠点といった地域経済強化につながる施設等に拡充することや、雇用する従業員数の増加要件を緩和することなどが必要であると申し上げ、さらに、中央教育審議会の大学分科会と同様に、大学における東京一極集中を是正するための施策について提言を行いました。また、子育て支援策の充実・拡充が確実に出生率向上につながっている倉敷市の取組事例の紹介や、地方創生につながる施策を安定的・継続的に実施していくための地方財源の充実・確保についての提言を行いました。今後とも、国と地方が一体となって地方創生への取組を進めていくために、現場を担っている地方自治体の立場から、引き続き国に対して積極的に提言を行ってまいりたいと考えております。
 
また、11月18日には中四国地方初の「マンホールサミット2017in倉敷」を開催しました。マンホールサミットは、各地域の風景や特産品などをデザインした個性あるマンホール蓋を展示・紹介することにより、下水道への関心を高めていただくとともに、地域の活性化を図ることを目的とするもので、全国からマンホーラーと呼ばれる愛好家が訪れる全国規模のイベントです。本市での開催には、約3,500人もの多くの方々に御参加いただきました。主会場となった倉敷公民館及び阿知まち広場において、倉敷市の藤の花のデザインのマンホール蓋をはじめ、県下を中心として全国の約60種類の蓋を展示することにより、それぞれの地域の魅力に触れていただき、また、蓋を設置している市内各地を訪れていただいたことで、倉敷市の魅力についても発信することができたものと考えております。
 
最後に、私が会長を務めさせていただいております中核市市長会におきまして、平成30年10月18日、19日に倉敷アイビースクエアに新設されるコンベンション施設を主会場に「中核市サミット2018in倉敷」を開催することが決定しました。このサミットは、中核市の市長が一堂に会し、また、全国の市議会議員や関係者など多くの方々が参加する大会です。倉敷市での開催にあたっては、地域のけん引役として中核市が果たすべき役割や課題などについて議論を深め、政策提言を行っていくとともに、倉敷市の歴史・文化や町並み等の魅力を全国に発信できるよう準備を進めてまいりたいと考えております。