議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
まず、9月3日、秋篠宮家の眞子内親王殿下の御婚約御内定の発表がありました。心からお祝い申し上げますとともに、幸せな御家庭を築かれ、今後もますます御活躍されますことをお祈り申し上げます。
次に、障がいのある方々が就労訓練を行う就労継続支援A型事業所の廃止に伴い、多くの利用者が解雇されたことについてでございます。事業所を運営しておりました「あじさいグループ」が、7月31日をもって市内5か所の事業所を廃止したことにより、利用されていた220人余りが、離職を余儀なくされたことは、大変遺憾な事態と考えております。当該法人に対しましては、現在、国、県と協力して、立入検査などを実施し、廃止となった経緯などを調査しているところでございます。本市といたしましては、離職された方々が1日も早く自分に合った再就職先を見つけ、安心した生活を取り戻していただけることが最も重要なことと認識しており、事業所を廃止した法人には、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律に基づき、再就職先のあっせんが不十分なことに対する勧告を実施しました。また、岡山労働局やハローワークと連携して、再就職に向けた一般企業や他のA型事業所との面接会を実施するなどの支援や、相談支援事業所を対象とした雇用保険などの説明会を行うとともに、市独自の取組として、8月8日から倉敷市生活自立相談支援センターの相談支援員を1名増員し相談支援体制を強化するなど速やかな対応に努めているところです。8月30日までに45人の再就職が決定していますが、今後も、当該法人に対し、再就職先のあっせんをしっかりと行っていくよう指導していくとともに、離職された方々が安心した生活を取り戻していただけるように寄り添った支援を行ってまいりたいと考えております。
次に、現在、建替を行っている市民病院についてでございますが、工事も順調に進んでおり、平成30年4月1日の開院を予定しております。新病院には、乳がんの早期発見機能の高い3Dマンモグラフィーの導入を考えており、今後、働く女性への支援につながる乳がん検診の土日の実施を検討してまいります。また、高齢者の皆様に多い白内障等の治療に対応するため、新たに手術用機器についても導入してまいりたいと考えております。
次に、倉敷駅周辺総合整備計画の策定についてでございます。本市は、平成5年に倉敷地区都市拠点総合整備事業計画を策定し、まちづくりを進めてまいりました。計画策定から20年余りが経過するなか、現在、駅北の複合型商業施設には、倉敷チボリ公園のピーク時の年間300万人を大きく上回る1千万人を超える集客があり、また、本計画区域内の人口も3万4千人から3万8千人に増加するなど、倉敷駅周辺を取り巻く環境は大きく変化しております。さらに、地震や異常気象による災害が各地で発生しているなか、安全安心なまちづくりへの取組が一層重要となっております。こうした状況を踏まえ、このたび倉敷駅周辺総合整備計画を策定し、7月20日に公表しました。主な内容としましては、倉敷市の広域拠点として、さらには高梁川流域圏の広域拠点としての市街地形成や、道路ネットワークの形成・強化、防災性の向上、駅周辺の倉敷の顔づくり、鉄道南北をつなぐまちづくりなどを定めております。このなかで、倉敷駅周辺地区では木造建物が密集していることや、高齢化率が上昇しているなど都市防災の観点から脆(ぜい)弱性があると考えております。また、南海トラフ巨大地震の発生確率も、今後30年以内に70パーセント程度と年々上昇しているなか、JR山陽本線・伯備線に沿って約2.5キロメートルにわたってフェンスが設置されているため、駅周辺地区で唯一の大規模避難場所である倉敷みらい公園への移動経路が遮断されている状況にあります。倉敷駅周辺地区には、様々な都市機能の誘導とともに、鉄道南北の市街地をつなぐバリアフリーが確保されたフラットな多くの動線を確保する必要があり、これらの実現にあたっては、連続立体交差事業は南北一体的なまちを効果的に実現することができる優れたまちづくりの進め方と考えております。なお、倉敷駅前東土地区画整理事業は今年3月に完了し、倉敷駅周辺第二土地区画整理事業は本格的に宅地造成や道路工事に着手するなど大きな進展をみせており、まちづくりの相乗効果を最大限発揮させるためにも、連続立体交差事業の必要性は、ますます高まってきているものと考えております。8月10日には、岡山県議会の土木委員会とJR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業整備促進岡山県議会議員連盟の総会におきまして、さらに、21日には私が直接、県知事にお会いして、この計画の重要性の説明と連続立体交差事業の推進を強く要望してきたところです。早期の事業化が図られますよう引き続き取組を進めてまいります。
次に、産業振興の取組についてでございます。去る6月28日にカルロス・ゴーン三菱自動車工業株式会社会長が水島製作所を視察され、それに併せて、本市より高梁川流域連携中枢都市圏の市町等にもお声掛けし、ゴーン会長との意見交換会を開催しました。本市からは、水島製作所及びその関連企業のサプライチェーンには高い技術力があり、また、倉敷みなと大橋の開通により地域の競争力もさらに向上していることから、是非、水島での生産を拡大してほしいと申し上げました。これに対して、ゴーン会長からは、水島製作所の生産台数を昨年の20万台から、今後40万台まで増やし、地元サプライヤーからの購買も3年間で約60パーセント増やしていきたいとの考えをお示しいただきました。今後、地域経済のけん引役である自動車関連産業の発展につながっていくことを期待しており、また、市としても産業振興に引き続き努力してまいりたいと考えております。
次に、文化振興の取組についてでございます。8月29日、30日に対局が行われた将棋の第58期王位戦七番勝負第5局で菅井竜也七段が、初のタイトルを獲得されました。菅井王位は、小学4年生から大山名人記念館の将棋教室で学び頭角を現され、小学5年生で本市主催の第2回全国小学生倉敷王将戦に優勝され、その後、プロ棋士の道へと進まれました。これまでの本市が開催する将棋の行事への積極的な協力をはじめとして、現在も、大山名人記念館において将棋教室を開催し、小中学生等を指導いただくなど、将棋のまち倉敷の発展に大きく貢献していただいています。9月2日には、タイトル獲得後、初の郷土への凱(がい)旋として大山名人記念館にお越しいただきました。教室出身者から王位を輩出したことを大変うれしく思っており、菅井王位の今後ますますの御活躍を御期待申し上げるとともに、引き続き、将棋の振興に努めてまいります。
また、本市では、7月14日、15日に「第20回北前船寄港地フォーラムinおかやま」を岡山市、瀬戸内市、玉野市等と共同で開催し、全国から約500人の方々に御参加いただきました。フォーラムや視察などの様々なプログラムによって、北前船寄港地である下津井や玉島などの本市の魅力を大きく発信できたものと考えております。北前船は、江戸時代から明治時代にかけて北海道と大阪を結んだ廻(かい)船であり、航路である日本海、瀬戸内海の寄港地に大きな繁栄をもたらしました。本市におきましても、北前船によって運ばれたニシン粕(かす)を肥料として綿花が育ち、そして生産された綿製品等を北前船で出荷するなど、北前船は繊維産業の発展に大きく関わっており、これは、日本遺産「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」につながるものでございます。今年4月に、北海道から福井県までの日本海側の11市町の寄港地が連携するストーリー「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主(せんしゅ)集落~」が日本遺産に認定されましたが、本市といたしましては、このストーリーへの追加認定を目指してまいりたいと考えております。今後、日本遺産ストーリーを活用した本市の取組をさらに深め、郷土への愛着と誇りの醸成、産業・観光振興などの地域活性化につなげてまいりたいと考えております。
最後に、このたび、8月23日から中核市市長会会長を務めさせていただくこととなりました。平成27年4月から中核市の人口要件が30万人以上から20万人以上に緩和され、現在、中核市は48市に増加し、平成30年度には、さらに6市が移行を予定しているため、人口規模は2千万人を超える見込みでございます。このため、中核市市長会の役割と責任は、ますます大きくなっていくものと考えております。地方の中核を担う基礎自治体の代表として、現場の声をしっかりと国に伝えるとともに、地方創生や地方分権などへの積極的な政策提案を行ってまいりたいと考えておりますので、議会の皆様、市民の皆様の御支援と御協力をよろしくお願い申し上げます。
平成29年9月議会における所信表明