平成30年6月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
 
提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。
 
まず、昭和63年3月20日にJR児島駅が開業し、4月10日に瀬戸大橋が開通してから今年で30周年を迎えました。4月8日には与島パーキングエリアにおいて記念式典を開催し、また、児島地区でも海上自衛隊のメモリアルコンサートや瀬戸大橋の魅力再発見フェスタなどを開催しました。瀬戸大橋は本州と四国を結ぶ大動脈として、経済・観光・文化など幅広い分野で人や物の流れを支えており、今後とも地域の発展につながる取組を進めてまいります。
 
また、5月24日、文化庁において平成30年度「日本遺産」認定の発表があり、倉敷市の新たな日本遺産として、昨年4月に認定された北前船をテーマとした“荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間 ~北前船寄港地・船主集落~”に倉敷市を含む27市町が追加で認定されるとともに、倉敷市・岡山市・総社市・赤磐市の4市で連携する“「桃太郎伝説」の生まれたまち おかやま ~古代吉備の遺産が誘(いざな)う鬼退治の物語~”が新規に認定されました。日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、我が国の文化や伝統を語るストーリーを国が認定するもので、2020年東京オリンピック・パラリンピックに向けて、増加する外国人旅行者に日本各地を周遊してもらうことも目指しており、今年度は新たに13件が認定されています。倉敷市としましては、昨年の“一輪の綿花から始まる倉敷物語 ~和と洋が織りなす繊維のまち~”に続いての認定であり、全国で初めて3つの日本遺産を有することとなり、さらに、倉敷市全域に日本遺産の構成文化財が存在することとなりました。まさに、「日本遺産のまち倉敷市」となる誉れ高い認定になったものと受け止めております。発表の当日には、東京都内での認定証交付式に私が出席するとともに、市役所でセレモニーを開催し、市議会議員の皆様や、多くの関係者の皆様に祝していただきました。本市の数多くの歴史や文化の礎を築かれ、また、今も守り育てておられる地域の皆様に深く敬意と感謝を表しますとともに、このたびの認定によって、こうした郷土の誇りをさらに育み、多くの方々が倉敷市に愛着を持っていただけるよう、「日本遺産のまち倉敷市」として、地域の魅力向上と活力創出の取組を行い、さらに産業振興、観光振興などの地域活性化につなげてまいりたいと思います。
 
次に、就労継続支援A型事業所の事業廃止等についてでございます。昨年7月の「あじさいグループ」の事業所廃止以後、本年3月に「株式会社フィル」が市内3か所の事業所を閉鎖したことにより、171人の障がいのある方々が離職を余儀なくされました。本市では、岡山労働局やハローワークなどの関係機関と連携して支援を行っており、5月31日現在で57人が一般就労やA型事業所等に再就職されましたが、引き続き、再就職に向けての支援を続けてまいります。また、4月に障がい福祉課に設置した事業所指導室では、A型事業所の経営改善のため、中小企業診断士による指導を始めたところであり、今後は、経営者などを対象にしたセミナーの開催や、経営相談などにも取り組むこととしております。
 
次に、待機児童対策についてでございます。保育需要の増加によって、入所申込は前年度と比べて116人増加し、過去最高となりましたが、今年4月1日の待機児童数は前年度の186人と比べて61人の減少となる125人となりました。これは、平成29年度から平成30年度にかけて、保育所や認定こども園の創設、増改築による定員増や企業主導型保育事業の実施によって、新たに約300人の定員を増やしたこと等によるものと考えております。今後も保育ニーズに対応した保育所等の整備や、地域型保育、企業主導型保育の拡大を図るとともに、今後予定されている幼児教育・保育の無償化の動向等も注視しながら、引き続き待機児童対策の取組を進めてまいります。
 
次に、子どもの生活等に対する支援についてでございます。本市が独自に実施した、子どもがいる世帯に係わっている公立の学校園や福祉事務所等へのアンケート調査などから、背景に貧困が伴うと考えられる子どもの状況については、経済的な要因以外にも、食事を十分にとれていない、相談にのってくれる大人がいない、家庭での学習時間が少ないなどといった、生活や学習する上での課題があることが見えてきました。そのため、まず、小学生等のいる世帯で生活保護世帯や倉敷市生活自立相談支援センターへの相談者等のうち支援を希望する世帯について、支援員の巡回訪問による生活習慣や学習習慣の習得支援などを行ってまいります。また、子ども達を支援する関係者が連携して、その子どもに応じた適切な支援につなげていくための研修会や、今後の支援体制構築に向けた企画会議を実施してまいります。
 
次に、医療体制強化の取組についてでございます。4月1日に開院しました倉敷市立市民病院では、昨年度と比べて、救急を含む外来患者数は1割以上増加したほか、分娩(べん)件数も大きく増加する見込みであり、まずは順調なスタートを切ることができております。また、今月からは働く女性の方などの受診機会を拡大するため、視触診・マンモグラフィによる「休日乳がん検診」も開始します。今後も、市民の皆様に頼りにされる中核病院を目指してまいります。
 
次に、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業についてでございます。2月21日の県議会土木委員会で、現在設定されている3つのコスト縮減案の全てについて、費用対効果が1を超える試算結果が報告されました。そして、その後の県市協議の中で、3つの案からの絞り込みについて市の意見を求められたため、市において比較検討を行い、水島臨海鉄道も高架化する案1が最も優れていると評価し、4月16日の建設消防委員会において、その旨を御報告し、ご了解いただいた上で、県に案1で決定されますよう要望したところです。市が進めています土地区画整理事業等のまちづくりは着実に進んでおり、連続立体交差事業の必要性はますます高まってきていると考えております。今後も県との協議を重ね、早期の事業化が図られますよう引き続き取組を進めてまいります。
 
次に、空家等に対する取組についてでございます。本市では、空家等に関する諸課題について市民の皆様に広く知っていただくとともに、課題解決の取組の方向性を示した倉敷市空家等対策計画を、今年3月に策定しました。この計画に基づき、危険空家に関する対策や、空家の活用・相続といった幅広い相談を受け付ける空家等相談会を実施してまいります。
 
最後に、2月議会で申し上げました両備バスと岡電バスの倉敷市内を運行する一部路線の廃止届についての件ですが、3月14日に岡山市・倉敷市・玉野市・瀬戸内市の関係4市長で事業者に対して廃止届の撤回を要請し、翌15日に廃止届は取り下げられております。倉敷市では、平成20年から地域公共交通会議を設置し、地域公共交通網形成計画を策定して取組を進めてきておりますが、今後も国に対して、人口減少社会における地域の実情を踏まえた公共交通制度の検討について要望してまいります。