倉敷市立自然史博物館友の会の行事



第529回(博物館第292回)自然観察会「ブッポウソウ巣立ち観察会」
2017年7月16日(日) 報告


◆日 時 :2017年7月16日(日) 8時30分〜17時
◆場 所 :吉備中央町・高梁市
◆講 師 :黒田聖子(清心女子高等学校),江田伸司(学芸員)

◆参加者:24名


 

           森の宝石ブッポウソウの巣立ちを観察しようと,吉備中央町と高梁市へ出かけました。

 



 
ブッポウソウ巣立ち観察会 ブッポウソウ巣立ち観察会

はるばる関東や関西から参加されたお客様も含めて貸切バスに乗り「ブッポウソウの里」,吉備中央町へ向けて出発。
早速,車内では講師の黒田聖子さんによるブッポウソウ講座が始まりました。

道中いくつもの巣箱を車窓から観察しながら,最初の観察場所へ。
巣箱には巣立ち間近のヒナがいるそうですが,あいにく今日は地元の農家の方々が草刈り作業中で,成鳥もヒナも観察できませんでした。残念。
    
ブッポウソウ巣立ち観察会 ブッポウソウ巣立ち観察会

気を取り直して「鈴木さんちの巣箱」へ。地元の鈴木さんのご協力を得て,ここの巣箱にはカメラが設置されています。室内で巣箱内の様子を見せていただきました。映像はインターネットで配信されており,関係者は視聴できるようになっています。

今年ヒナは4羽,一昨日と昨日1羽ずつ巣立ちしたそうです。残りは2羽でしたが,我々が出発した後の12時50分ころ1羽が巣立ち。その瞬間には立ち会えませんでした。その後,19時前に最後の1羽が巣立ちしました。
画像は翌日昼のもので,親鳥がヒナがいないかチェックに来たと推察。

      
ブッポウソウ巣立ち観察会 ブッポウソウ巣立ち観察会
鈴木さん宅から少し歩いて観察中。ブッポウソウの成鳥は右手にも正面にも左手にも複数いて,どの個体を観察しようか迷うほどです。巣箱の出入り口からは巣立ち間近のヒナが顔を出しています。

美原集落センターへ移動。ここでも地元の日名さんのご協力で,すぐそばの巣箱にカメラが設置されており,室内で観察することができます。今年のペアは5卵を産卵,4羽がふ化し,昨日までに順次巣立ちしたそうで,残りは1羽です。日名さんから今年の様子をうかがいました。

ブッポウソウ巣立ち観察会 ブッポウソウ巣立ち観察会
高梁市へ移動。宇治小学校の巣箱内の映像を隣の宇治公民館内で見ることができます。現在残りのヒナは2羽です。
一日ブッポウソウを満喫し,皆さん大満足で帰路につきました。
この観察会は倉敷市環境学習センターと共催で開催しています。
今日のスタッフ用随行車は「燃料電池車」でした。


 今日,岡山県内ではたくさんのブッポウソウを観察することができます。しかし,それは希有なことであり,全国的にはほとんどの地域でブッポウソウは絶滅あるいは絶滅寸前の状況となっています。岡山県内では関係者のご努力により巣箱架けによる保護活動が成功しています。県内で見られるブッポウソウのほぼ全部が巣箱で繁殖しています。ブッポウソウが人の手を離れ,森へ帰ったときが保護活動の本当の成功と言えるのかもしれません。




(写真/文:江田 伸司)




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