倉敷市立自然史博物館友の会の行事



第340回自然観察会 「吉備の中山の観察会」
 2010年7月18日(日)報告

◆日   時:2010年7月18日(日)10時〜15時
◆観察場所:岡山市北区 吉備の中山
◆講   師:狩山俊悟(倉敷市立自然史博物館)・武智泰史(倉敷市立自然史博物館)
◆参 加 者 :53名
◆共   催:吉備の中山を守る会


備前と備中の国境になっている吉備の中山は,ふもとの吉備津彦神社・吉備津神社をはじめ山中に遺跡も多く,古くから大切にされてきた山です。
岡山県の自然道にも指定されている散策道を歩きながら,身近な里山の自然と歴史をまなびました。


吉備津彦神社の境内に集合しました。吉備の 中山を守る会の会長さんも挨拶してくださいました。
神社の横にあるキビノミノボロスゲ自生地での観察。日本で2か所しか確認されていない貴重な植物で,大切に守られています。


山道沿いに「藤原成親供養塔」がありまし た。その下にある古墳の石室を皆さん興味しんしんで覗き込んでいます。(古墳は6世紀後半のもの)
まだまだ登り始めたばかり。さっそく樹木の 観察が始まりました。狩山先生の解説で,山すその常緑樹林が大きくなる様子がわかりました。


林の上のほうでは夏緑広葉樹林の下からカク レミノやアラカシなどの常緑樹が生えてきて,変化しつつある森の様子を学びました。
頂上にて。古くは雨乞いが行われたという八 大竜王をお祭りしたほこらの前でお昼をいただきました。


岡山平野を見下ろす眼前のパノ ラマ。遠く小豆島まで見渡せて、疲れも吹き飛びました。
山中には大きな岩が沢山あり,信仰を 集めています。武智先生の解説で地学の学習をしました。岩に含まれている鉱物やゼノリス,岩全体がタマネギ状風化で丸くなっている様子を観察しているところです。


この山に分布するホルンフェルスや閃 緑岩について,熱心な質問が飛びました。それらの堅い岩は,浸食作用に耐えて残った残丘である吉備の中山の成り立ちを伝えてくれるものです。地学好きにとっても歩くのが楽しい山でした。
中山茶臼山古墳の御陵前広場にてスズ サイコとモロコシガヤの観察です。これらは絶滅が心配される植物ですが,ここでは人間が草刈を続けてきたために生き延びることができていることを学びました。
 

山道や林は現在,吉備の中山を守る会の方々や地元の方々によって手入れがされているそうです。
これからも大切にしていきたい里山の貴重な自然と歴史が体感できた観察会でした。
吉備の中山を守る会の方々にはお世話になり,ありがとうございました。



(写真/文:岡本 東美)




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