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1.はじめに | 8.植物標本はりつけ用具 |
2.採集に出かける前に | 9.植物標本のはり方 |
3.植物採集用具 | 10.名前の調べ方 |
4.植物採集の仕方 | 11.植物標本の保存方法 |
5.植物標本乾燥用具 | 12.コケ植物の採集と標本の作り方 |
6.植物標本の乾燥の仕方 | 13.海ソウ・水草の採集と標本作り |
7.植物標本ラベルの書き方 | 14.観察記録を残そう |
図1.植物採集用具. |
図2.植物標本乾燥用具. |
7.植物標本ラベルの書き | |||
植物が乾きあがったら,メモを見て,ラベルをつくります。採集場所(都道府県から),採集年月日
(西暦で),採 集者名をまず記入します(図5)。採集地はほかの人がもう一度行けるぐらいていねいに書きます。都道府県から住居表示に使われる大字ぐらい
まで書き,小字や目印になる山や川の名前を書き加えればいいでしょう。さらに環境やわかれば標高なども書いておきます。「ぼくの家」とか「学校の校庭」だ
けではほかの人にはどこのことかわかりません。花の色は標本にすると変わりやすいので,ラベルに書いておくと役にたちます。植物名はわかれば書いておきま
すが,わからなければ後で図鑑を調べたり,博物館の「標本の名前を調べる会」などで聞いたりします。また,採集した順に1点ずつ通し番号(採集者番号)を
つけていくと,標本の仕分けが楽になります。
[ワンポイントアドバイス]
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8.植物標本はりつけ用具
標本を見やすくするためと壊れにくくするため,厚めの紙(台紙)にはります(図6)。
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図6.植物標本はりつけ用具. |
9.植物標本のはり方 | |||||
新聞紙半ページぐらいの大きさの画
用紙を標本台紙にします。まず台紙の右下にラベルをはります。幅3−5mmぐ
らいの細長いとめ紙を準備し,裏面に合成のりをつけます。セロテープは数年もすると色が変わり,はがれてしまうのでよくありません。1枚の台紙には1種類
だけはります。台紙の上に植物をおき,要所,要所をとめ紙でとめます。とめ紙は茎や葉にそわせるようにします(図7)。茎や枝のようなしっ
かりしたところをとめると,とめ紙をたくさん使わないでもとまります。名前を調べるときに重要になる花の部分はとめません。シダ類は葉裏に胞子がついてい
るので,裏側を上にしてとめます。台紙をたてて,植物が台紙からはなれないようならできあがりです。植物を乾燥しているときに落ちた葉,花,たねなどは紙
製の小袋にいれ,台紙の片すみにはりつけておきます(図8)。
[ワンポイントアドバイス]
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10.名前の調べ方
ルーペなどを使って植物をよく観察し,植物図鑑でよく似た植物を見つけます。図鑑の中には名前を調 べやすいよう に,生育環境からさがしだしたり,花色からさがしだしたりできるよう工夫されたものもあります。似た植物が図鑑にあったら,絵だけではなく,説明も読んで 特徴があっているか確かめます。この説明を読むという作業は大変ですがとても重要なことです。図鑑を読んで役にたちそうなことや気のついたことがあった ら,標本台紙上にメモしておくとよいでしょう。ただし,自分が実際に観察したことと図鑑から書き写したこととがごっちゃにならないように,台紙に書くとき 工夫する必要があります。 [ワンポイントアドバイス]
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11.植物標本の保存方法
長く保存する場合は,直射日光のあたらない乾いた場所におきます。虫がつかないよう,防虫剤といっ しょにポリ袋 に入れておくとよいでしょう。標本がだんだんたまってくると,どこに何があるのかわからなくなってきますので,ポリ袋に採集場所,採集年月日を書いておき ます。また,別にノートを用意して採集年月日順・採集場所別にどのような標本を採集したか記録しておくと,いちいち標本をひっぱり出してみなくても,い つ,どこで,何を採集したかがわかります。ただし,疑問が生じた場合はすぐに標本が取り出せるようにしておきましょう。 [ワンポイントアドバイス]
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12.コケ植物の採集と標本の
作り方
1)採集場所
[ワンポイントアドバイス]
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13.海ソウ・水草の採集と標本作り | |||
海ソウと水草の標本作りは,水の中で標本作りをするという点で共通点があります。とはいっても細か
いところでは 違いもありますので,ここでは海ソウの標本作りを中心に紹介したいと思います。真水に生える水草は,塩ぬきの必要がないので?以降の作業をします。
1)海ソウは,潮が引いたときに海岸の岩に生えたものを採集する磯採集と,浜に打ち上げられたものを採集す る打ち上げ採 集とがあります。浜に打ち上げられた海ソウは,なるべく新しいものを採集します。あらかじめ干潮の時刻を調べていきましょう。 2)採集した海ソウは,真水につけてごみや塩分をとります。赤い海ソウは長くつけておくと色がぬけてしまい ます。塩ぬき の時間のめやすは,赤い海ソウで5分くらい,緑色の海ソウで20?30分,大形の茶色い海ソウだと1時間くらいです。 3)新聞紙半ページ大の大きさの画用紙を用意し,これをさらに2分の1,4分の1,8分の1の大きさに切っ たものも準備 しておきます。塩抜きのすんだ海ソウを別のバットに入れ,海ソウの大きさに応じた画用紙を選びます。採集データがわからなくならないよう,画用紙のすみか 裏に採集したときのメモを書いておきます。画用紙を水の中にいれ,手やピンセットで海ソウの形を整えながら紙の上にのせて引き出します(図9)。 4)よく水をきったら,その上にもめんの布をかけて,そのまま二つ折りの新聞紙にはさみこみます。モズクの ような多量の 粘液でおおわれた海ソウやからだが石のようにかたい海ソウは,もめんをかけずにそのまま放置して自然に乾燥させます。 5)新聞紙にはさんだら,ふつうのおしば標本を作るのと同じように,吸水紙と交互につみかさねて,上下から かたい板では さみ,ひもでしばります。 6)吸水紙は1日に2回はとりかえます。 7)海ソウのからだの中には,のりをふくんでいるものがあって,画用紙にうまくはりつくものもあります。 8)そのような海ソウは,とめ紙でとめず,画用紙にはりついたままのものを標本台紙にはりつけます。 9)画用紙にはりつかなかった海ソウは,ふつうの植物と同じように新聞紙半ページ大の標本台紙にとめ紙でと め,ラベルを 右下につけます。石のような海ソウは小箱にいれ,箱にラベルをはりつけておきます。ラベルの作り方はふつうの植物と同じです。 [ワンポイントアドバイス]
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14.観察記録を残そう
標本は実物資料としてたいへん重要なものですが,標本とあわせて観察記録や写真,スケッチなども上
手に整理すれ ば貴重な資料になります。以下に観察記録のまとめ方や利用の仕方の一例を紹介してみましょう。
[ワンポイントアドバイス]
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【参考文献】
千地万造・樽野博幸・柴田保彦・瀬戸剛・宮武頼夫・日浦勇・両角芳郎・布谷知夫・山西良平・石井久夫,1981.標本づくり−博物
館の標本とぼくらの標本−.50pp.大阪市立自然史博物館,大阪.
本田正次・矢野 佐,1984.植物の観察と標本の作り方.99pp.ニュー・サイエンス社,東京.
児島格・高田雅彦・武修次・西中美穂・平田慎一郎・村上健太郎,2001.はじめての標本づくり.44pp.きしわだ自然資料館,
岸和田市.
柴田敏隆・太田正道・日浦勇編,1973.自然史博物館の収集活動.293pp.日本博物館協会,東京.
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