新古今和歌集の植物
 
新古今和歌集に登場する植物を一覧表にしました。
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出展箇所(例歌・例文・例巻など) 植物名 標準和名 科名 備考
68 春雨のふりそめしより青柳のいとの緑ぞ色まさりける 凡河内躬恒 青柳 シダレヤナギ ヤナギ科
29 梓弓春山近く家ゐしてたえず聞きつる鶯のこゑ 山辺赤人 梓(弓) ミズメ カバノキ科
1049 なにはがた短きあしのふしのまもあはでこのよをすぐしてよとや 伊勢 ヨシ イネ科
40 大空は梅のにほひに霞つゝくもりもはてぬ春の夜の月 藤原定家朝臣 ウメ バラ科
398 あしびきの山ぢの苔の露のうへにねざめ夜ぶかき月をみる哉 藤原秀能 蘇苔類の総称   賀・春
32 岩そそぐたるみのうへの早蕨のもえ出づる春に成りにけるかな 志貴皇子 早蕨 ワラビ コバノイシカグマ科
18 鶯のなけどもいまだふる雪にすぎの葉しろきあふさかの山 太上天皇 スギ スギ科
165 暮れぬとは思ふ物から藤の花さけるやどには春ぞ久しき 貫之 フジ マメ科
3 山ふかみ春ともしらぬ松の戸に絶々かゝる雪の玉水 式子内親王 マツ類(クロマツ マツ科 賀・春
98 あさ日かげにほへる山の櫻花つれなくきえぬ雪かとぞみる 藤原有家朝臣 桜・山桜 ヤマザクラ バラ科
137 やへにほふ軒ばの櫻うつろひぬかぜよりさきにとふ人もがな 式子内親王 八重桜 ヤエザクラ バラ科
158 吉野川岸の山吹さきにけり嶺の櫻は散りはてぬらん 藤原家隆朝臣 山吹 ヤマブキ バラ科
11 あすからは若菜つまんとしめし野に昨日も今日も雪はふりつゝ 山辺赤人 若菜 春の初めに生えた食用の菜の総称  
1682 いそのかみふりにし人を尋ぬればあれたる宿の菫つみけり 能因法師 スミレ(無茎性、葉は皮針形、花は薄紫色で横向きに咲く) スミレ科
750 とやかへるたかのを山の玉椿霜をばふとも色はかはらじ 前中納言匡房 椿 ヤブツバキ ツバキ科
1472 さくらあさのをふのうら浪立ちかへりみれどもあかず山なしの花 俊頼朝臣 山梨 ヤマナシ バラ科
284 あふちさく外面の木陰露落ちて五月雨はるゝ風渡るなり 前大納言忠良 センダン センダン科
182 忘れめやあふひを草に引き結びかりねの野べの露の明ぼの 式子内親王 葵草 フタバアオイ ウマノスズクサ科
221 今日は又あやめのねさへかけそへて乱れぞまさる袖のしら玉 皇太后宮太夫俊成 あやめ草 ショウブ サトイモ科
180 卯の花のむらむらさける垣根をば雲まの月の影かとぞみる 白河院御歌 卯の花 ウツギ ユキノシタ科
230 玉柏茂りにけりな五月雨に葉もりの神のしめはふるまで 藤原基俊 カシワ ブナ科
184 野邊はいまだあさかの沼にかる草のかつみるまゝに茂るころ哉 藤原雅経朝臣 かつみ マコモ イネ科
225 早苗とる山田のかけひもりにけり引くしめなはに露ぞこぼるゝ 大納言経信 早苗 サナエ イネ科
1472 さくらあさのをふのうら浪立ちかへりみれどもあかず山なしの花 俊頼朝臣 桜麻 アサ クワ科
64 つくゞと張るのながめのさびしさは忍ぶにつたふ軒の玉水 大僧正行尊 忍草 ノキシノブ・シノブ   夏.シダ植物.
202 雨そゝぐ花橘に風過ぎて山ほとゝぎす雲に鳴くなり 皇太后宮太夫俊成 ミカン ミカン科
320 七夕のと渡る舟のかぢの葉にいく秋かきつ露の玉づさ 皇太后宮太夫俊成 カジノキ クワ科
250 我が宿の外面にたてる楢の葉のしげみにすゞむ夏はきにけり 恵慶法師 コナラ・ミズナラ ブナ科
768 かたみとてみれば歎きのふかみ草なに中ゝの匂ひなるらん 太宰大貳重家 ふかみ草 ボタン ボタン科
275 しら露の玉もてゆへるませのうちに光さへそふとこ夏の花 高倉院御歌 常夏 セキチク ナデシコ科
196 時鳥鳴きつゝ出づるあしびきのやまと撫子咲きにけらしも 大中臣能宣朝臣 撫子 カワラナデシコ ナデシコ科
276 しら露のなさけおきけることの葉やほのぼのみえし夕顔のはな 前太政大臣 夕顔 ユウガオ ウリ科
1123 紅に涙の色のなり行くをいくしほまでと君にとはばや 道因法師 ベニバナ キク科
994 かすがのの若紫のすり衣忍ぶの乱れかぎりしられず 在原業平朝臣 紫・若紫 ムラサキ ムラサキ科 賀・夏
228 みしまえの入江のまこも雨ふればいとゞしをれてかる人もなし 大納言経信 真菰 マコモ イネ科
853 なき人を忍びかねては忘草おほかる宿にやどりをぞする 中納言兼輔 忘草 ヤブカンゾウ ユリ科
344 山がつのかきほにさける槿はしのゝめならであふよしもなし 貫之 槿(あさがほ) アサガオ ヒルガオ科
377 かぜ渡る浅茅が末の露にだにやどりもはてぬ宵の稲妻 藤原有家朝臣 浅茅 チガヤ イネ科
460 かりてほす山田の稲は袖ひぢて植ゑし早苗とみえずもある哉 貫之 イネ イネ科
336 たれをかもまつちの山のをみなへし秋と契れる人ぞあるかし 小野小町 女郎花 オミナエシ オミナエシ科
507 霜を待つ籬の菊の宵のまに置きまよふ色は山のはの月 宮内卿 キク キク科
534 桐の葉もふみ分けがたく成りにけり必ず人を待つとなけれど 式子内親王 キリ ゴマノハグサ科
1820 うつろはでしばし信太の杜をみよかへりもぞする葛のうら風 和泉式部 クズ マメ科 秋・雑
373 高圓の野ぢの篠原末さわぎそゝや木枯けふ吹きぬなり 藤原基俊 アズマネザサ(ネザサの類) イネ科
330 秋はぎををらではすぎじつき草の花ずり衣露にぬるとも 権僧正永縁 月草 ツユクサ ツユクサ科
386 風吹けば玉ちるはぎの下露にはかなくやどる野べの月かな 法性寺入道前関白太政大臣 ハギ類(ヤマハギ) マメ科
532 時わかぬ浪さへ色にいづみ川柞の杜に嵐吹くらし 定家朝臣 柞(ははそ) コナラ ブナ科
339 蘭ぬしは誰ともしら露のこぼれてにほふ野べの松風 公猷法師 蘭草(ふぢばかま) フジバカマ キク科
491 村雨の露もまだひぬ槇の葉に霧立ちのぼる秋の夕ぐれ 寂蓮法師 イヌマキ マキ科 秋・冬
533 いつのまに紅葉しぬらん山櫻きのふか花の散るををしみて 中務卿具平親王 紅葉 紅葉植物の総称  
1012 けふも又かくや伊吹のさしもぐささらば我のみもえや渡らん 和泉式部 ヨモギ キク科 春・秋
574 神無月時雨ふるらしさほ山のまさきのかづら色まさり行く 読人不知 まさきのかづら テイカカズラ キョウチクトウ科
345 うらがるゝあさぢが原のかるかやのみだれて物を思ふ此かな 坂上是則 刈萱 メガルカヤ イネ科 秋 初出
1157 あひみてのかひなかりけりうば玉のはかなき夢におとるうつゝは 興風 うば玉 ヒオウギ アヤメ科
624 野べみればをばなが本の思草かれゆく冬に成りぞしける 和泉式部 思草 ナンバンギセル ハマウツボ科
277 たそがれの軒ばのをぎにともすればほに出でぬ秋ぞ下に事とふ 式子内親王 オギ イネ科 秋・冬
615 さゝの葉はみ山もさやに打そよぎ氷れる霜を吹く嵐哉 摂政太政大臣 ササ類の総称 イネ科
349 花薄まだ露ふかしほにいでては詠めじと思ふ秋のさかりを 式子内親王 薄・尾花 ススキ イネ科 秋・冬
274 ひさぎおふるかた山陰に忍びつゝ吹きける物を秋の夕風 俊恵法師 久木(ひさぎ) アカメガシワ トウダイグサ科
748 あかねさす朝日の里の日影草とよのあかりの光なるべし 祭主輔親 あかね アカネ アカネ科 賀・雑

 
出展箇所(例歌・例文・例巻など) 植物名 標準和名 科名 備考
浮草 水草類の総称  
1869 おく霜に色もかはらぬ榊葉のかをやは人のとめてきつらん 紀貫之 サカキ ツバキ科 神祇
257 窓ちかきいさゝ群竹風吹けば秋におどろく夏の夜の夢 春宮太夫公継 タケ類の総称 イネ科
708 初春のはつねの今日の玉はゝきてにとるからにゆらぐ玉のを よみ人しらず 帚木 未詳  
20 まきもくのひはらのいまだくもらねば小松が原にあは雪ぞふる 中納言家持 ヒノキ ヒノキ科
1078 あまのかるみるめを浪にまがへつゝなぐさの濱を尋ね侘びぬる 皇太后宮太夫俊成 海松(みる) ミル ミル科
712 ゆふだすき千歳をかけてあしびきの山あゐの色はかはらざりけり 貫之 山藍 ヤマアイ トウダイグサ科
1551 やへむぐらしげれる宿は人もなしまばらに月のかげぞすみける 前中納言匡房 八重葎(むぐら) カナムグラ クワ科
1664 しきみつむ山ぢの露にぬれにけり暁おきの墨染めの袖 小侍従 シキミ シキミ科
748 あかねさす朝日の里の日影草とよのあかりの光なるべし 祭主輔親 日影草 ヒカゲノカズラ ヒカゲノカズラ科
576 時雨ふる音はすれ共くれ竹のなどよとともに色はかはらぬ 中納言兼輔 呉竹 ホテイチク イネ科
185 櫻あさのをふの下草しげれたゞあかで別れし花のななれば 待賢門院安藝 アサ クワ科
292 明けぬるか衣手さむしすがはらや伏見の里の秋のはつかぜ 家隆朝臣 スゲ類の総称 カヤツリグサ科
539 鶉なくかた野にたてるはじ紅葉ちりぬばかりに秋風ぞ吹く 前参議親隆 はじ ヤマハゼ ウルシ科
794 古郷をこふるなみだやひとり行くともなき山のみちしばの露 前大僧正慈圓 道芝 ノシバ・チカラシバ・カゼクサ(シバクサ類の総称) イネ科
1872 契りありてけふ宮河の木綿蔓永きよまでもかけて憑まん 藤原定家朝臣 木綿 コウゾ クワ科


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