古今集の植物
 
古今集に登場する植物を一覧表にしました。
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出展箇所(例歌・例文・例巻など) 植物名 標準和名 科名 備考
725 おもふよりいかにせよとか秋風になびくあさぢの色ことになる よみ人しらず 浅茅 チガヤ イネ科
742 山がつのかきほにはへるあをつゞら人はくれども事づてもなし ? 青つづら ツヅラフジ ツヅラフジ科
433 かく許あふひのまれになる人をいかゞつらしとおもはざるべき よみ人しらず フタバアオイ ウマノスズクサ科
又は、さくらあさのをふのした草 893 かぞふればとまらぬ物をとしといひてことしはいたくおいぞしにける よみ人しらず アサ クワ科
469 ほとゝぎすなくやさ月のあやめぐさあやめもしらぬこひもする哉 読人しらず 菖蒲草(あやめぐさ) ショウブ サトイモ科
172 昨日こそさなへとりしかいつのまにいなばそよぎて秋風のふく よみ人しらず イネ イネ科
460 むばたまのわがくろかみやかはるらんかゞみのかげにふれるしらゆき つらゆき うば玉 ヒオウギ アヤメ科
おだまき オダマキ キンポウゲ科
1016 秋の野になまめきてたてるをみなへしあなかしがまし花もひと時 僧正へんぜう 女郎花 オミナエシ オミナエシ科
川菜草 水藻の類・未詳   川藻
270 露ながらおりてかざさむ菊の花おいせぬ秋のひさしかるべく きのとものり キク キク科
きちかうの花 440 あきちかうのはなりにけり白露のをけるくさばも色かはりゆく とものり 桔梗 キキョウ キキョウ科 物名
262 ちはやぶる神のいがきにはふくずも秋にはあへずうつろひにけり つらゆき クズ マメ科
くたに 435 ちりぬればのちはあくたになる花を思ひしらずもまどふてふかな 僧正へんぜう 苦丹 リンドウ リンドウ科 物名
けにごし 444 うちつけにこしとや花の色をみんをくしら露のそむる許を やたべの名実 牽牛子(けにごし) アサガオ ヒルガオ科 物名
さがりごけ 450 花の色はたゞひとさかりこけれども返す返すぞ露はそめける たかむこのとしはる 女蘿(さがりごけ) サルオガセ   物名
しをに 441 ふりはへていざふるさとの花みんとこしをひほひぞうつろひにける よみ人しらず  紫苑 シオン キク科 物名
200 君しのぶ草にやつるゝふるさとは松虫のねぞかなしかりける よみ人しらず しのぶ草 ノキシノブ・シノブ   シダ植物.
242 今よりはうへてだにみじ花すゝきほにいづる秋はわびしかりけり 平貞文 ススキ イネ科
551 おく山のすがねしのぎふる雪のけぬとかいはん恋のしげきに 読人しらず スゲ類の総称 カヤツリグサ科
玉藻 藻類の総称   藻類
247 月草に衣はすらむあさ露にねれてののちはうつろひぬとも よみ人しらず 月草 ツユクサ ツユクサ科
床夏 セキチク ナデシコ科
244 我のみやあはれとおもはんきりぎりすなく夕かげの山となでしこ 素性法師 撫子 カワラナデシコ ナデシコ科 物名
694 宮木野のもとあらのこはぎつゆをもみ風をまつごと君をこそまて よみ人しらず ヤマハギ マメ科
677 みちのくのあさかのぬまの花かつみかつみる人に恋ひやわたらん よみ人しらず 花勝見 マコモ イネ科
ハス スイレン科
さゝ まつ びは ばせをば 454 いさゝめに時まつまにぞ日はへぬる心ばせをば人に見えつゝ きのめのと 芭蕉 バショウ バショウ科 物名
240 やどりせし人のかたみかふぢばかまわすられがたきかににほひつつ つらゆき 藤袴 フジバカマ キク科
587 まこもかるよどのさは水雨ふればつねよりことにまさるわがこひ つらゆき 真菰 マコモ イネ科
海松(みる) ミル ミル科
652 こひしくはしたにをおもへ紫のねずりの衣色にいづなゆめ よみ人しらず 紫草(むらさき) ムラサキ ムラサキ科
975 今さらにとふべき人もおもほえずやへむぐらしてかどさせりてへ 読人しらず 八重葎 カナムグラ クワ科
668 我こひをしのびてかねてはあしひきの山橘の色にいでぬべし とものり 山橘 ヤブコウジ ヤブコウジ科
りうたんのはな 442 わがやどのはなふみしだくとりうたんのはなければやこゝにしもくる とものり  龍胆 リンドウ リンドウ科 物名
802 わすれぐさなにをかたねと思ひしはつれなき人のこゝろなりけり そせい法し 忘草 ヤブカンゾウ ユリ科
17 かすが野はけふはなやきそわか草のつまもこもれり我もこもれり 読人しらず 若草 芽を出して間もない草の総称  
22 春日野のわかなつみにやしろたへの袖ふりはへて人のゆくらん つらゆき 若菜 春の初めに生えた食用の菜の総称  
153  ワラビ コバノイシカグマ科
610 梓弓ひけばもとすゑ我方によるこそまされこひの心は はるみちのつらき ミズメ カバノキ科
26 あをやぎの糸よりかくる春しもぞみだれて花のほころびにける つらゆき 青柳 シダレヤナギ ヤナギ科
495 思ひいづるときはの山のいはつゝじいはねばこそあれこひしき物を 読人しらず 岩躑躅 ツツジ類 ツツジ科 岩の辺に咲いたツツジ類.
42 ひとはいさ心もしらずふるさとは花ぞむかしのかににほひける つらゆき ウメ バラ科
をがたまの木 431 みよしののよしののたきにうかびいづるあはをかたまのきゆとみつらん とものり をがたまの木 オガタマノキ モクレン科 物名
427 かづけども浪のなかにはさぐられで風吹くごとにうきしづむたま つらゆき 樺桜(かには) カニワザクラ(ヤマザクラの方言) バラ科 物名
からもゝの花 429 あふからもものはなをこそかなしけれわかれんことをかねておもへば ふかやぶ 杏(からもも) アンズ バラ科 物名
あふひ かつら 433 かく許あふひのまれになる人をいかゞつらしとおもはざるべき よみ人しらず 桂(かつら) カツラ カツラ科 物名
かはたけ 452 さ夜ふけてなかばたけゆく久方の月ふきかへせ秋の山かぜ かげのりのおほきみ  川竹 メダケ イネ科 物名
958 世にふれば事の葉しげきくれ竹のうきふしごとに鶯ぞなく 読人しらず 呉竹 ホテイチク イネ科
なし なつめ くるみ 455 あじきなしなげきなつめそうき事にあひくる身をばすてぬものから 兵衛 胡桃(くるみ) オニグルミ・サワグルミ クルミ科 物名
84 久方のひかりのどけき春の日にしづ心なく花のちるらむ きのとものり サクラ類 バラ科
563 さゝの葉にをくしもよりもひとりぬる我衣手ぞさえまさりける 紀とものり ササ類の総称 イネ科
1074 神がきのみむろの山のさかきばは神のみまへにしげりあひにけり  サカキ ツバキ科 神あそびのうた
505 あさぢふのをののしのはらしのぶとも人しるらめやいふ人なしに 読人しらず アズマネザサ(ネザサの類) イネ科
982 わがいほはみわの山もとこひしくはとぶらひきませすぎたてるかど よみ人しらず スギ スギ科
すもゝの花 428 今いくかはるしなければうぐいすも物はながめて思ふべらなり つらゆき  スモモ バラ科 物名
436 我はけさうひにぞみつる花の色をあだなる物といふべかりけり つらゆき 薔薇(サウビ) コウシンバラ バラ科 長春ばら・平安時代に渡来
139 さつきまつ花たちばなのかをかげば昔の人の袖のかぞする よみ人しらず ミカン(コミカン・ジミカン) ミカン科
なし なつめ くるみ 455 あじきなしなげきなつめそうき事にあひくる身をばすてぬものから 兵衛 ナシ バラ科 物名
なし なつめ くるみ 455 あじきなしなげきなつめそうき事にあひくる身をばすてぬものから 兵衛 棗(なつめ) ナツメ クロウメモドキ科 物名

 
出展箇所(例歌・例文・例巻など) 植物名 標準和名 科名 備考
993 なよ竹のよながきうへにはつしものおきゐて物を思ふころかな ふぢはらのたゞふさ 竹・嫋竹 タケ類の総称 イネ科
ナラ ブナ科
ひがたけ 451 いのちとてつゆをたのむにかたければ物わびしらになくのべのむし しげはる 苦竹(にがたけ) メダケ イネ科 物名
柞(くぬぎ) クヌギ ブナ科
さゝ まつ びは ばせをば 454 いさゝめに時まつまにぞ日はへぬる心ばせをば人に見えつゝ きのめのと 枇杷 ビワ バラ科
120 わがやどにさける藤なみ立ち帰りすぎがてにのみ人の見るらん みつね フジ マメ科
365 立ちわかれいなばの峯におふる松としきかば今かへりこむ 在原行平朝臣 マツ類(クロマツ マツ科
1077 み山にはあられふるらしと山なるまさきのかづら色づきにけり  正木の葛 テイカカズラ キョウチクトウ科 神あそびのうた
122 春雨ににほへる色もあかなくにかさへなつかし山ぶきのはな よみ人しらず 山吹 ヤマブキ バラ科
やまがきの木 432 秋はきぬ今やまがきのきりぎりすよなよななかむ風のさむさに よみ人しらず 山柿 マメガキ(シナノガキ) カキノキ科 物名
164 ほとゝぎす我とはなしに卯花のうき世中になきわたるらん みつね 卯の花 ウツギ ユキノシタ科
1026 みゝなしの山のくちなしえてし哉おもひのいろのしたぞめにせん よみ人しらず 梔子 クチナシ アカネ科
496 人しれずおもへばくるし紅のすゑつむ花の色にいでなん 読人しらず 紅・末摘花 ベニバナ キク科
604 つのくにのなにはのあしのめもはるにしげき我恋人しるらめや つらゆき ヨシ イネ科
215 奥山に紅葉ふみわけ鳴く鹿のこゑきく時ぞ秋はかなしき よみ人しらず 紅葉 イロハモミジ、ヤマモミジなど紅葉植物の総称 カエデ科
605 てもふれで月日へにける白まゆみおきふしよるはいこそねられぬ つらゆき マユミ ニシキギ科
343 わがきみは千世にやちよにさゞれいしのいはほとなりてこけのむすまで 読人しらず 蘚苔類の総称  
538 うき草のうへはしげれるふちなれやふかき心をしる人もなき 読人しらず 浮草 水草類の総称  
448 空蝉のからは木ごとにとゞむれどたまのゆくゑをみぬぞかなしき よみ人しらず からはぎ ハギ類(ヤマハギ) マメ科
1036 かくれぬのしたよりおふるねぬなはのねぬなはたてじくるないと たゞみね ぬなは ジュンサイ スイレン科
267 さほ山のはゝその色はうすけれど秋はふかくもなりにける哉 坂上これのり コナラ ブナ科
445 花の木にあらざらめどもさきにけりふりにしこのみなる時も哉 文屋やすひで めど メドハギ マメ科
447 ほとゝぎす峯の雲にやまじりにしありとはきけどみるよしもなき 平あつゆき やまし ハナスゲ(カラスノススキ・チモ・ヤマシ)  


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