平家物語の植物
平家物語に登場する植物を一覧表にしました。
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出展箇所(例歌・例文・例巻など) | 植物名 | 標準和名 | 科名 | 備考 |
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灌頂巻「大原入」 | 槿 | アサガオ | ヒルガオ科 | |
芋 | サトイモ | サトイモ科 | ||
灌頂巻「大原御幸」 | 岩つつじ | イワツツジ | ツツジ科 | |
巻第九「生ずきの沙汰」「老馬」・巻第十「横笛」 | 梅・にほひ | ウメ | バラ科 | 「生ずきの沙汰」は、和漢朗詠集上、慶滋保胤の早春の句を引用.「老馬」は、古今集一、紀友則「花の香を風のたよりにたぐへてぞうぐひすさそふしるべにはやる」を引用. |
巻第四「宮御最期」 | うき草 | ウキクサ | ウキクサ科 | 山城国綴喜郡の贅野池か? |
巻第四「宮御最期」 | 柏木 | カシワギ | ブナ科 | 鞍の装飾文様. |
灌頂巻「大原入」 | 菊 | キク | キク科 | |
巻第七「經正都落」 | くれ竹 | ハチク | イネ科 | |
巻第一「祗王」・巻第二「山門滅亡」・巻第三「少將都歸」・巻第五「富士川」・巻第七「木曽山門ちょう状」「福原落」・巻第九「坂落」・巻第十「高野巻」・巻第十一「大臣殿被斬」・灌頂巻「女院出家」「大原入」 | 苔 | 蘇苔類の総称 | 巻第十一「大臣殿被斬」は、白氏文集三、「海漫漫」から引用. | |
巻第一「我身榮花」,「鹿谷」,「御輿振」・巻第三「 」・巻第七「平家山門連署」・巻第九「生ずきの沙汰」「老馬」「忠度最期」・巻第十「海道下」「熊野參詣」・灌頂巻「大原御幸」 | 櫻・さくら花・さくら・花 | サクラ類 | バラ科 | 巻第九「生ずきの沙汰」では和漢朗詠集上、慶滋保胤の早春の句を引用.「老馬」は吉野・泊瀬の桜のこと. |
巻第一「祗園精舎」 | 沙羅雙樹 | ナツツバキ | ツバキ科 | |
巻第四「ぬえ」 | しゐ | シイ | ブナ科 | |
巻第一「願立」 | 樒 | シキミ | シキミ科 | |
巻第五「咸陽宮」・灌頂巻「女院出家」 | 李 | スモモ | バラ科 | 史記荊軻伝から引用.灌頂巻「女院出家」は、「桃李の御粧」で、建礼門院の容姿の美しさをたとえたもの. |
巻第一「鹿谷」 | 椙・杉 | スギ | スギ科 | |
巻第一「殿下乘合」・巻第十一「大臣殿被斬」 | 栴檀 | ビャクダンの異名 | ビャクダン科 | 南天竺に生えるという香木.偉人は幼少の時からすぐれているというたとえに用いられる.巻第十一「大臣殿被斬」は、和漢朗詠集下、無常にある大江朝綱の句を引用. |
巻第一「祗王」・巻第三「少將都歸」・巻第六「祗園女御」・巻第十二「六代被斬」・灌頂巻「大原御幸」 | 竹 | タケ類 | イネ科 | 竹のあみ戸・竹の柱・和漢朗詠集下、雲、帳読「愁の賦」から引用 |
巻第十「海道下」 | 蔦 | ツタ | ブドウ科 | |
灌頂巻「大原入」 | なら | ナラ(コナラ?) | ブナ科 | |
巻第十「藤戸」・灌頂巻「大原入」 | 萩 | ハギ類 | マメ科 | |
灌頂巻「女院出家」 | はな橘・花たちばな | コウジミカン | ミカン科 | |
巻第四「還御」・灌頂巻「大原御幸」 | 藤 | フジ | マメ科 | |
巻第六「祗園女御」・灌頂巻「女院出家」 | 芙蓉 | ハス | スイレン科 | 長恨歌より引用.建礼門院の容姿の美しさをたとえたもの. |
巻第五「月見」 | 紫蘭 | 色々な秋草の花 | 紫蘭は秋の七草の一であるフジバカマであるが,ここは黄菊の対句で紫蘭といったもので,特定の植物ではあるまい. | |
灌頂巻「大原御幸」 | 瓢箪 | ヒョウタン | ウリ科 | |
巻第六「紅葉」・巻第十一「内侍所都入」 | 紅葉・かへで | 紅葉植物の総称 | 巻第十一「内侍所都入」は龍田川の紅葉で、平家凋落のたとえ. | |
巻第七「維盛都落」・灌頂巻「女院出家」 | 桃 | モモ | バラ科 | 「桃顔露にほころび」で、維盛の容姿の美しさを形容.灌頂巻「女院出家」は、「桃李の御粧」で、建礼門院の容姿の美しさをたとえたもの. |
巻第六「祗園女御」・巻第七「維盛都落」・巻第九「生ずきの沙汰」 | 柳 | シダレヤナギ | ヤナギ科 | 巻第七「維盛都落」では柳髪風にみだるゝ」として維盛の容姿を形容.巻第九「生ずきの沙汰」では和漢朗詠集上、慶滋保胤の早春の句を引用. |
灌頂巻「大原御幸」 | やまぶき | ヤマブキ | バラ科 | |
巻第五「月見」 | 蓬 | ヨモギ | キク科 | |
灌頂巻「大原御幸」 | 忘草 | ヤブカンゾウ | ユリ科 | |
灌頂巻「大原御幸」 | 蕨 | ワラビ | コバノイシカグマ科 | |
巻第一「殿上闇討」 | とくさ | トクサ | トクサ科 | 物を磨くのに用いる. |
巻第一「殿上闇討」 | むくの葉 | ムクノキ | ニレ科 | 物を磨くのに用いる. |
巻第一「祗王」 | かぢの葉 | カジノキ | クワ科 | 七夕の夜、相思の男女がその思いを梶の葉に書いて祈る風習があった. |
巻第一「祗王」・巻第二「大納言流罪」・巻第三「法皇被流」・灌頂巻「大原入」「女院死去」 | 柴・小柴墻 | 雑木の類 | 柴の庵・小柴垣. | |
巻第一「祗王」・巻第二「阿古屋之松」・巻第三「少將都歸」「有王」「僧都死去」・巻第四「還御」・巻第五「富士川」・巻第六「小督」「祗園女御」・巻第八「太宰府落」「皷判官」「木曽最期」・巻第九「老馬」・巻第十「海道下」「維盛入水」・巻第十二「判官都落」「六代」・灌頂巻「大原御幸」「六道之沙汰」 | 松 | マツ類 | マツ科 | あこ屋の松,粟津の松,千本の松原などの名所もあり.巻第九「老馬」は古今集一、読人しらず「み山には松のだに消えなくに都は野辺の若菜つみけり」を引用. |
巻第一「祗王」 | はちす | ハス | スイレン科 | |
巻第一「鹿谷」 | 橘 | コウジミカンの類 | ミカン科 | |
巻第二「座主流」・灌頂巻「六道之沙汰」 | 粟 | アワ | イネ科 | 粟散邊地で、へんぴの所にある粟粒の散ったような小さな国の意.粟粒の散ったような小さな土地の意. |
巻第二「大納言流罪」 | 葛 | クズ | マメ科 | くずの繊維で織った布の意. |
巻第二「西光被斬」 | 蘭 | 叢蘭茂からむ・・・を貞観政要社讒篇より引用. | ||
巻第二「大納言死去」 | 桑 | クワ | クワ科 | |
巻第三「御産」 | 桑の弓 | クワ | クワ科 | 礼記内則篇「国君に世子生るれば(中略)桑の弧蓬の矢六をもって天地四方を射る」を引用. |
巻第三「御産」 | 蓬の矢 | ヨモギ | キク科 | 礼記内則篇「国君に世子生るれば(中略)桑の弧蓬の矢六をもって天地四方を射る」を引用. |
巻第二「卒都婆流」 | 南木 | ナギ | マキ科 | 竹柏ともいう.熊野地方に多く,神木とされた. |
巻第二「卒都婆流」・巻第三「有王」・巻第七「福原落」・巻第十「首渡」 | 藻くづ・藻・もしほ草 | |||
巻第二「卒都婆流」 | あし | ヨシ | イネ科 | 万葉集六,山辺赤人「和歌の浦に潮満ち来れば潟を無み葦辺をさしてたづ鳴き渡る」の和歌を引用. |
巻第二「卒都婆流」・灌頂巻「大原御幸」 | 杉 | スギ | スギ科 | 古今集十八,読人知らず「我が庵は三輪の山もと恋しくは訪らひ来ませ杉立てる門」を引用. |
巻第三「公卿揃」 | たかんな | 竹の子 | イネ科 | 法華経方便品に見える譬喩 |
巻第三「公卿揃」 | 稻麻竹葦 | 法華経方便品に見える譬喩 | ||
巻第二「蘇武」・巻第九「小宰相身投」 | 根芹 | セリ | セリ科 | |
巻第二「蘇武」 | おち穂 | イネ科 | ||
巻第三「赦文」 | 李花 | スモモ | バラ科 | 長恨歌に憂いに沈んだ楊貴妃を「梨花一枝春雨を帯びたり」と形容する文を引用. |
巻第三「赦文」 | 芙蓉 | ハス | スイレン科 | |
巻第三「赦文」 | 女郎花 | オミナエシ | オミナエシ科 | |
巻第三「少將都歸」 | 楊梅桃李 | 楊梅はヤマモモ,桃李はモモとスモモだが,ここでは不定の花樹の意. | ||
巻第三「有王」 | あらめ | |||
巻第三「有王」 | 磯の苔 | 海草の総称 | ||
巻第三「有王」 | より竹 | イネ科 | 海岸に流れ寄った竹の意. |
出展箇所(例歌・例文・例巻など) | 植物名 | 標準和名 | 科名 | 備考 |
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巻第三「有王」「僧都死去」・巻第八「太宰府落」 | 葦・蘆 | ヨシ | イネ科 | |
巻第五「都遷」・巻第七「福原落」・巻第十「高野巻」 | 松 | ツメレンゲ | ベンケイソウ科 | 白氏文集四,驪宮高の「墻に衣あり、瓦に松あり」を引用. |
巻第三「僧都死去」 | 麥 | ムギ類 | イネ科 | 和漢朗詠集下蝉、李嘉祐「五月の蝉の声は麦秋を送る」を引用. |
巻第三「つぢかぜ」 | 檜 | ヒノキ | ヒノキ科 | 檜皮葺の意. |
巻第四「大衆揃」「三井寺炎上」 | 龍花 | 弥勒菩薩がこの世に出現した時に再びめぐり会うため.弥勒は五十六億七千万年の後に地上に生まれて竜華の樹の下で成道するという.竜華樹は高さ広さ各四十里。枝は宝竜の百宝の華を吐くが如しという. | ||
巻第五「都遷」 | 茅茨・茨 | カヤ | ||
巻第五「都遷」・巻第七「福原落」・灌頂巻「大原御幸」 | 蔦 | 白氏文集四,驪宮高の「墻に衣あり、瓦に松あり」を引用. | ||
巻第五「月見」 | 浅茅 | チガヤ | イネ科 | |
巻第五「月見」 | 黄菊 | キク | キク科 | |
巻第五「朝敵揃」 | 葛 | カズラ | ||
巻第五「富士川」 | 柏 | ブナ科 | ||
巻第五「奈良炎上」 | 茅 | チガヤ | イネ科 | 大長刀の刃の形容. |
巻第六「紅葉」 | はじ | |||
巻第六「祗園女御」 | ぬか子・いもが子 | ヤマノイモ | ヤマノイモ科 | |
巻第六「祗園女御」 | びりやう | ビロウ | ヤシ科 | 牛車の一種.檳椰の葉で屋根をふいたもの. |
巻第七「木曽山門ちょう状」 | 芭蕉 | バショウ | バショウ科 | |
巻第七「忠度都落」「經正都落」 | 山ざくら | ヤマザクラ | バラ科 | |
巻第八「山門御幸」 | ゆふがほ | ユウガオ | ウリ科 | 玉葉集十六、建久二年十題百首歌合で寂連が読んだ歌を引用. |
巻第八「緒還」・灌頂巻「大原御幸」 | 麻 | アサ | クワ科 | 「麻の衣云々」は新古今集五、式子内親王の「ふるにけり山の端近く月さえて十市の里に衣うつ声」による.麻の衣. |
巻第八「緒還」・巻第十「藤戸」 | 荻 | オギ | イネ科 | |
巻第八「猫間」 | ひらたけ | ヒラタケ | 担子菌類のきのこ. | |
巻第九「一二之懸」 | おもだか | オモダカ | オモダカ科 | 直垂の模様. |
巻第九「二度之懸」 | あづさ | ミズメ | カバノキ科 | あづさ弓の意. |
巻第九「落足」・灌頂巻「大原御幸」 | 小篠・をざゝ | ササ類(アズマネザサ) | イネ科 | |
巻第九「小宰相身投」・巻第十一「重衡被斬」 | はちす | ハス | スイレン科 | |
巻第九「小宰相身投」 | わかな | 春の初めに生えた食用の菜の総称 | ||
巻第十「千手前」 | 牡丹 | ボタン | ボタン科 | 平重衡の形容. |
巻第十「熊野參詣」 | 櫻梅 | ヤマモモ | ヤマモモ科 | |
巻第十「藤戸」 | 稲 | イネ | イネ科 | |
巻第十一「志度合戦」 | 菖蒲 | ショウブ | サトイモ科 | 六日の菖蒲で、時機におくれたもののたとえ. |
巻第十一「大臣殿被斬」 | 樗 | センダン | センダン科 | |
巻第十二「六代」 | 黒木 | コクタン | カキノキ科 | |
灌頂巻「女院出家」「大原入」 | しのぶ・信夫 | |||
灌頂巻「大原御幸」 | 青柳 | シダレヤナギ | ヤナギ科 | |
灌頂巻「大原御幸」 | 蘋(うきくさ) | 水面に浮かんでいる草の総称.またはウキクサ科の多年草. | ||
灌頂巻「大原御幸」 | 藜でう | アカザ | アカザ科 | |
灌頂巻「大原御幸」 | まさ木のかづら | テイカカズラ | キョウチクトウ科 | |
灌頂巻「大原御幸」 | 青つづら | ツヅラフジュ科 | ||
灌頂巻「大原御幸」 | 蘭麝(らんじゃ) | 蘭と麝香との匂いで、宮廷で用いる香. | ||
灌頂巻「六道之沙汰」 | 南殿の櫻 | バラ科 | 紫宸殿の左近の桜. |