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風化残留鉱床    〔戻る〕

岩石の風化により,その中の有用元素が濃縮したもの。
通常の岩石には有用元素は含まれていても,それが鉱石として利用できるほど高濃度で含まれている場合はまれである。しかし,降雨などの風化作用で有用元素以外の元素が溶け出すと,有用元素が鉱石と呼べるほどに濃縮される場合がある。その代表的なものがアルミニウム資源のボーキサイト鉱床,ケイニッケル鉱を主とするニッケル鉱床である。
また,磁器の原料粘土などとして重要なカオリン粘土の鉱床も風化残留鉱床であり,花こう岩などの長石類が風化してカオリンが生成し,それが水流などで濃集した層状の鉱床である。中国の景徳鎮,アメリカのジョージアなどが代表的な産地である。

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ボーキサイト鉱床(アルミニウム資源)
普通の岩石には長石類や雲母類といったアルミニウムを主成分とする鉱物が多く含まれるものの,そのアルミニウム含有率は酸化アルミニウムに換算して10〜20%程度である。それが,熱帯地域で長年,降雨にさらされると徐々にカリウム・ナトリウム・カルシウムが溶脱し,次いでマグネシウムや鉄が溶脱し,さらにケイ素が溶脱し,残った風化土壌にはアルミニウム(水酸化アルミニウムが成分のギブサイト,ベーマイトなど)が濃縮するようになる。これがボーキサイトで,アルミニウム含有率は酸化アルミニウムに換算して60〜70%程度に達し,これがアルミニウム資源として利用される。


ボーキサイト(インドネシア)
純粋な水酸化アルミニウムは白色だが,ボーキサイトは水酸化鉄をまじえるので赤褐色や黄褐色のものが多い。普通は手触りに少し粘りがあるもろい土状だが,水酸化アルミニウムが特に濃集したものは写真のような固い結節や豆状集合体となる。息を吹きかけると粘土臭が著しい。
なお,アルミニウムと同族元素であるガリウムもわずかに含まれ,その資源ともなる。


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風化残留型ニッケル鉱床

マントルのかんらん岩や蛇紋岩はその他の岩石に比べてニッケルを豊富に含み,その含有率は0.2%程度に達する。これは,その中のかんらん石や蛇紋石などのマグネシウムを置き換えて含まれる微量のニッケルである。しかしそれでもニッケル資源としては含有率が低く,利用できない。それが,熱帯地域で長年降雨にさらされると,含まれるニッケル分が溶出して含水ケイ酸ニッケル(ケイニッケル鉱)などとして部分的に濃集し,ニッケル含有率が1%程度に達するニッケル鉱石となり,ニッケル資源として利用される。
なお,ニッケル資源としては,これとは別に大陸地域の層状貫入岩体の正マグマ鉱床のものも重要である。


イニッケル鉱(ニューカレドニア)
含水ケイ酸ニッケルであるケイニッケル鉱そのもの鮮やかな緑色だが,ニッケル鉱石中ではそれが微粒子状で水酸化鉄などに混ざり,黄土色〜淡褐色でもろい土状をなす場合が多い。ケイニッケル鉱が緑色に見える部分はニッケル含有率が数%に達する高品位部。