安山岩中の斜長石(しゃちょうせき) plagioclase  [戻る]

斜長石は多くの岩石に含まれ,地殻では最も多く存在する鉱物。安山岩中にも白色・無色・灰白色の斑晶として非常に多く含まれる。細い短冊状で無色のものは一見分かりにくいが,日差しの下で安山岩を傾けると光をキラッと反射して見える。
比較的,ケイ酸分に富み流紋岩に近い安山岩中の斜長石はナトリウムに富み,比較的,ケイ酸分に乏しい玄武岩に近い安山岩中の斜長石はカルシウムに富む傾向がある。
なお,カルシウムに富む斜長石はころっとした形であまり伸長しておらず,かなり透明感がある(時にわずかに黄みがかった透明なものもある)。
石基にも顕微鏡的な大きさで豊富に含まれる。

※安山岩中にはアルカリ長石はあまり含まれない。




安山岩中の斜長石の斑晶の例

かなり透明感がある無色〜白色半透明で,あまり伸長していない粒状のもの。このような丸っこい斜長石はかなりカルシウムに富む場合が多く,灰長石と呼ばれるものに近い。
安山岩中の斜長石の斑晶の例
左のものはやや大きく白っぽい半透明でやや伸びた短冊状を示すもの。半透明なため,周囲の石基の色が透けて灰色に見えている。
右のものはかなり小さく透明感があり,安山岩を傾けて光が反射し,ようやく確認できる程度のもの。周囲の石基の色が透けて灰色に見えている。
安山岩中の斜長石の斑晶にはこのようなものが多い。

――――――――――――
安山岩中の斜長石(しゃちょうせき) plagioclase
色/白〜無色。灰白色。
透明度/半透明〜透明に近い。カルシウムに富む灰長石は透明感に富む。なお,変質したものはほとんど不透明。
光沢/へき開面はガラス光沢が強い。それ以外の割れ口はやや鈍いガラス光沢。
硬さ/ナイフと同じくらい。
形態/長方形〜短冊状の自形〜半自形(カルシウムに富む灰長石はころっとした4角〜粒状)。不定形粒状のものは火砕流堆積物としての安山岩中に多く見られる。
へき開/1方向に完全,もう1方向に明瞭。完全なへき開面にはアルバイト式双晶による平行な条線が見られることがある。カルシウムに富む灰長石はへき開はあまり発達しない。
成分/ナトリウム・カルシウムを主とするアルミノケイ酸塩:(Na,Ca)(Al,Si)4O8