岡山県内の砂岩中の化石
岡山県内の砂岩から産出する化石としては,三畳紀のモノチス(海生二枚貝)の化石と,第三紀の浅海に生息していた貝類が主なもの です。

三畳紀のモノチス(海生二枚貝)の化石/三畳紀に浅い海底 に生息していた 二枚貝で,平べったい殻に放射状のすじがあります。産出するモノチスの化石には白 い炭酸カルシウムの殻の成分がわずかに残っているものもありますが,多くは続成作用の過程で溶け去って印象(キャスト)となっています。
モノチスの化石
モ ノチス(砂岩中)(高梁市成羽町枝)/写真幅10cm
モノチスの化石は堆積時に大半は壊れており,これを含む砂岩層には引き伸ばされたような暗色の泥岩の径数cm程度の塊(スランプ構造:右写真)が多く含ま れてい ます。したがって,モノチスの化石を含む砂岩層は海底地すべりで堆積したタービダイトであると考えられます。
タービダイト
成 羽層群の砂岩中に見られるスランプ構造(高梁市成羽町枝)/写真幅 5cm
層理に直角に切断したもの。矢印の先の暗色部が泥岩のレンズ


第三紀の浅海に生息していた貝類の化石/ウミニナ・タマガ イといった巻貝 の仲間,イガイ・マテガイ・カキといった二枚貝の仲間などがあります。これらの化 石を含む地層は砂岩と泥岩が入り交じって構成され,高梁市川上町,吉備中央町,新見市などの県中部の吉備高原上に,浸食を免れて点在して分布しています。 したがって,現在,標高が 300〜600mもある吉備高原もかつては海で,隆起によって現在のような標高になったものと考えられます。この地層は特に津山盆地に広く分布し,これは 周囲よりもあまり隆起せずに標高が低かったため,浸食作用をあまり受けなかったからです。また,この地層は岡山県以外の中国地方の広い地域にも点々と分布 し,1500万年ほど前は,現在の中国地方のかなりの部分は浅海であったことを示しています。