自然史博物館のページへ] [友の会のページへ  戻る

グラニュライト  granulite

みかけは片麻岩に似ているが,それより高温(800〜1000℃)ででき,白雲母や角閃石類などの含水鉱物はあまり含まれない(ただし,マグネシウムに富む黒雲母(金雲母)はしばしば含まれる)。カナダ・マダガスカル・インド・スリランカ・南極・北ヨーロッパなどの安定陸塊の高温の広域変成帯に,花こう岩類に伴って分布し,数億〜20数億年ほど前のものが多い。
岩石全体でみるとナトリウムに乏しくアルミニウムに富む場合が多く,石英,長石類,ケイ線石,コランダム,ざくろ石(ややカルシウム・マグネシウムを含むアルマンディン),輝石類,きん青石,大隅石,サフィリン,コーネルピン,コランダム,スピネルなどからなり,粗いしま状組織が見 られることが多い。


造山帯である日本にはまれで,北海道の日高帯や,九州−四国の黒瀬川構造帯でごくわずかに知られている程度で,岡山県内には見られない。



グラニュライト
安定陸塊のノルウェーのもので,9億7000万年前に非常に高温(950℃)の変成作用でできたもの。石英に似た紫灰色の大隅石,淡褐色の斜長石,黒っぽい斜方輝石(鉄に富み,フェロシライトに近い)などからなり,変質していない。
このほかにグラニュライトには,この大隅石によく似た,きん青石もしばしば含まれ,青〜暗青色のサフィリン,灰緑色柱状のコーネルピンなども含まれることがある。



グラニュライト

四国の黒瀬川構造帯のもので,大陸の地質体が小規模に分裂し,プレート運動によりユーラシアプレート縁辺部の付加体に取り込まれたものと考えられている。赤褐色のざくろ石(ややマグネシウムを含むアルマンディン)が目立ち,付加体に取り込まれた際,弱い変成作用を受けて水分が加わり,黒っぽい輝石類はやや角閃石類に変質し,白い斜長石はぶどう石に変質している。