流紋岩(りゅうもんがん) rhyolite

流紋岩は,花こう岩と同じく,ケイ酸分 (SiO2)を多く(70%前後) 含む粘っこいマグマからできるが,花こう岩はそれが地下深部でゆっくり冷えて固まってできるのに対し,流紋岩はそれが地表付近で急に冷えて固まるなど,主に火山活動でできる(※実際は流紋岩は,マグマが直接冷えて固まったものよりも,高温の火山灰や火山れきなどが急激に堆積し(火砕流堆積物),それがそれ自身の熱で凝結してできたものが多い(溶結凝灰岩)。これは,堆積作用でできた火砕岩だが,堆積岩ではなく,火山岩とされる)。

流紋岩はきめが細かく,水がしみ込みにくく,侵食作用に耐え,丘陵地を構成する場合が多い。

流紋岩には下写真のような様々な見かけのものがある(ケイ長質岩なので普通は白っぽいが,硫化鉄などの微粒子を含み黒いものも多い)。
いろいろな流紋岩
いろいろな流紋岩
@ マグマが流れつつ冷えて固まってできたもので,その流れがしま模様に なったもの(粘り気のあるマグマが流れつつ冷えて固まるとこのようなしま模様ができやすい)。流紋岩の名はこのしま模様から名づけられたが,このような流 紋岩 は多くない。
A全体が灰色できめ細かく,その中に白いアルカリ長石や斜長石,灰色の石英のなどの粒(斑晶)が点々と入っている斑状組織を示すもので,最も普通の流紋岩。
B火山爆発で砕かれた石のかけらが入っているもの。
C数ミリメートルから1センチメートルくらいの白っぽ い球がたくさん入っているもの。マグマが急に冷える時,その中で鉱物の球状集合体ができたもので,球 顆流紋岩と呼ばれるもの。
Dマグマが非常に急に冷えて固まってできた黒いガラス のような流紋岩で,黒曜岩とか黒曜石と呼ばれる。縄文時 代は矢じりなどの石器の材料として利用された。まれに赤や灰色のものもある。
E細かい曲面状の割れ目が多く見られる褐色や緑褐色の ガラス状の流紋岩で,真珠岩と呼ばれる。水分を数パーセント含む。もろい。

(※なお,AとBのものは火砕岩(溶結凝灰岩)のことも多い。)

岡山県内の流紋岩について
流紋岩は花こう岩とともに県内に広く分布し,河原にもよく見られる。特に県南東部の備前市〜和気町にかけて,広く分布している。県内の流紋岩 の多くは9000万〜1億年前にできたものである。流紋岩は,かたく,侵食に耐えるため,その分布域は小高い丘陵地(残丘)になっていることが多い。
なお,上の写真のAのみかけのものが最も多く,@とBがこれに次ぎ,まれにCが見られる。AとBのみかけのものは火砕岩(溶結凝灰岩)であることが多い。

流紋岩の残丘(和気町城山)/流紋岩は緻密でかたく,侵食に耐えるため,その分布域はこのような小高い山になることが多い。


岡山県内の流紋岩の多くは9000万〜1億年前にできたものだが,それよりわずかに新しい7000万〜9000万年前の花こう岩がその近隣に見られる。それは下図のように,流紋岩ができた直後に同じマグマがその下でゆっくり冷えて花こう岩になったためである。