−堆積岩の組織−  〔戻る〕

堆積岩の組織は堆積物が堆積した環境を示してい る。

堆 積した鉱物粒子などの種類による特徴
堆積岩中の鉱物粒子などの種類を調べることで,その堆積岩がどのような地質体で堆積してできたか推定できる。
アルコーズ花こう岩
れき岩
例1)堆積した粒子の鉱物種が 花こう岩と同じような,角張った長石類と石英ばかりからなるものをアルコーズという。粒子は1〜2mm程度が多く,砂岩に属 するものが多く,アルコーズ砂岩と呼ばれることも多い。堆積場所の背後(後背地)に花こう岩地域が広がり,そこからあまり離れていない場所で堆積したこと を示すもの。 例 2)堆積した粒子が石灰岩の角張った破片ばかりからなるれき岩。石灰岩地域が堆積場所の背後(後背地)に広がり,そこからあまり離れていない場所で堆積し たことを 示すもの。


堆 積した粒子の形状による特徴
堆積岩中の粒子の形状を調べることで,その堆積岩の堆積環境が推定できる。

砂 岩の場合
アレナイト砂岩
グレイワッケ
丸い砂粒が堆積してできた 砂岩/水流や風などで砂粒が長い距離を移動した後,堆積したもの。粒子の鉱物は分解しにくい石英粒が多い。ある種の大陸起源の砂岩(オルソクォーツァイト (正珪岩))などに見られる。
※このような砂岩の砂粒は粒度がよく揃っているのが普通である。
角張っている砂粒が堆積し てできた砂岩/岩石が砕けてできた砂粒があまり移動せず堆積したもので,粒子の鉱物は石英以外に長石類や角閃石類などの砂粒もよく見られる。アルコーズ 砂岩などが該当する。
※このような砂岩の砂粒は粒度があまり揃っていないのが普通である。
れき岩の場合
れき岩
れき岩
丸 いれきが堆積してできたれき岩/水流や風などでれきが長い距離を移動した後,堆積したもの。 角 張ったれきが堆積してできたれき岩/岩石が砕けてできたれきがあまり移動せず,堆積したもの。


堆 積構造の状態による特徴
泥岩
タービダイト
層理が直線的であまり乱れてい ないもの/流れのない水中で,または緩やかな流れの場所で静かに堆積したもの。 層理が乱されているもの/強い 水流のもとで乱雑に堆積したもの,あるいは,まだ 固まっていない堆積物が斜面をすべり落ちて急激に再堆積したもの。リップルマーク,スランプ構造などが ある。
特に大陸棚と海溝の間にある急な海底斜面を泥・砂・れきが激しい勢いで流れ下ったときにできるスランプ構造は,日本各地の古生代〜新生代古第三紀の砂岩・ 泥 岩の付加体の地層(乱泥流堆積物:タービダイト)によく見られる。
写真はスランプ構造のうち,引き伸ばされたような黒い泥からなる部分(矢印の先)が砂岩中にパッチ状に見られるもの。