堆積岩に見られる組織   [戻る

堆積岩には,堆積物の粒子に基づく組織,堆積環境によってできた組織,堆積後に堆積物が変化してできた組織(続成作用によってできた組織)がある。


堆積物の粒子に基づく組織

微化石(小さな化石の総称)
チャートや微粒子からなる泥岩には放散虫が見られることがある。一方,砂岩や石灰岩には有孔虫などが見られることがある。湖などの陸域で堆積してできた泥岩には花粉・珪藻の化石が見られることがある。
しかし,これらは薄片では断面が見えているだけなので,その全体形は判らないことが多く,その種類まで同定できないことが多い。正確に種類を同定するには塊状試料を薬品処理して単体で取り出し,走査型電子顕微鏡などで観察する必要がある。


チャート中の放散虫の化石(平行ニコル)
白く抜けたように見える斑点部が放散虫の化石。

石灰岩中のフズリナ(有孔虫の仲間)の化石(平行ニコル)
フズリナは石炭紀からペルム紀末(古生代末)にかけて低緯度の海に広く生息していた絶滅した有孔虫で,紡錘形で紡錘虫とも呼ばれる。肉眼では数ミリメートル程度の白っぽい楕円形に見え,石灰岩中に密集していることが多い。鏡下では細かい仕切りのあるうず巻き模様が見える。フズリナ類は進化が速く,示準化石となるので,それを含む石灰岩の年代を決めるのに有効な化石である。大きさは3〜8mm程度で,種類によってかなり異なり,末期のものほど大形である。



堆積環境によってできた組織

級化層理
水中で静かに泥と砂が堆積するときは,粒度の大きい砂が先に沈み,粒度の小さい泥はやや遅れて沈むため,泥は先に堆積した砂の上を覆うように堆積する。このように堆積物の粒度が異なる層が形成されてできた組織を級化層理という。ほかには水中で堆積してできた火砕岩の仲間(凝灰岩など)にも見られることがある。



堆積後に堆積物が変化してできた組織(続成作用によってできた組織)

堆積した泥・砂・れき・火山灰・生物の遺骸などの粒子が,長い時間とともに互いに癒着して固まっていくのが続成作用である。この過程でも堆積岩には特徴的な組織ができる。

偏光顕微鏡で見た数億年前の古い時代の砂岩(正珪岩 オルソクォーツァイト)(クロスニコル)
砂の堆積後,砂の粒子の間に,砂自身の粒子(石英)から溶け出した二酸化ケイ素が石英として沈殿し,砂粒同士を癒着させている(左写真)。この結果,非常に堅い砂岩となっている。
なお,1つ1つの砂粒に注目すると,堆積時の砂粒の周りに付着していた鉄分などの汚れが,元の砂粒の形状を示していることがある(右写真:ダストリング)。



自生鉱物(砂岩中)(クロスニコル)
続成作用で,堆積物から溶け出した成分が堆積物の粒子の隙間などに沈着し,微細な粘土鉱物(白雲母,カオリナイトなど)や沸石(ゼオライト)類などができていることがある。このような新たにできた鉱物を自生鉱物という。写真は砂岩の砂粒の隙間に自生鉱物としてできた白雲母。