スメクタイト smectite (Na,Ca)(Al,Mg,Fe)4Si8O20(OH)4・nH2O  [戻る
スメクタイトはモンモリロナイト系鉱物の幅広い固溶体を一括して指す


単斜晶系 二軸性(−)2Vx=0〜30°(アイソジャイアーが観察できるほど粗い結晶は希) α=1.48〜1.61 β=1.50〜1.64 γ=1.50〜1.64 γ-α=0.01〜0.04 
屈折率・干渉色ともにFeに富むものは高い傾向がある。Feに乏しいものは白雲母(セリサイト)と紛らわしいが,その干渉色は白雲母より低い。Feの多いものは一見,緑泥石に似るが,干渉色が緑泥石より高いので区別できる。

色・多色性/無色からFeに富むものは褐緑色。色の濃淡の弱い多色性が見られることがある(X´=淡色,Z´=濃色)。

形態/
微細な湾曲した鱗状や片状。明瞭な形態を示さない微粒集合体が多い。

へき開/
1方向(板状の面)にきわめて完全だが,粒子が細かく,へき開に見えるものはシート状結晶の粒界のことも多い。

消光角/
伸び方向に対し直消光。

伸長/正のことが多いが,干渉色が高く,粒度が小さく,わかりにくい。

双晶/偏光顕微鏡では認めらない。

累帯構造/粒度が小さいためあまり見られない。時にFeの多い褐緑色部とFeに乏しい無色部が累帯構造をなす場合がある。

産状
火山岩の低温の熱水変質物として広く含まれ,その多くは火山ガラスの変質物で,石基部分に見られる。その岩石の薄片作成時はスメクタイトが水で膨潤し,崩れて作成できないことがある(特にNaに富むスメクタイトは膨潤が著しい)。日本ではグリーンタフ地域である日本海側や伊豆半島などの,緑〜灰緑色の海底自破砕火砕岩に多く含まれ,緑泥石と共にその着色原因となっている。



変質した真珠岩(パーライト)中のスメクタイト(Sm)
真珠岩は流紋岩の一種で,水分を含むガラスが大部分を占め,しばしばそのガラスの割れ目に沿う低温熱水変質でスメクタイトが生成している。視野上部には割れ目に沿いスメクタイトが生成しているのがわかり,右下には桧葉状のスメクタイトも見られる。これは少しFeを含み,平行ニコルで淡緑褐色で,干渉色はやや高く1次の赤に達する。



やや変質した玄武岩中のスメクタイト(Sm)
海底火山地域(グリーンタフ地域)の玄武岩や安山岩は堅いものでも,石基のガラス部分に熱水変質でスメクタイトが生成している場合が多い。上画像のものは細長い短冊状の斜長石や黒い磁鉄鉱はあまり変質していないが,石基のガラス部分は褐緑色のスメクタイトにかなり変質している。このスメクタイトはFeに富み,平行ニコルでやや濃いカーキ色で,干渉色はやや高く1次の黄〜赤色に達する。