ウィチヘン鉱 wittichenite Cu3BiS3 斜方晶系  [戻る]

灰色で,反射多色性は認められず,異方性は明瞭。やや錆びにくいが徐々に暗褐色などに錆びる。
銅に富む高温の熱水鉱床・スカルン鉱床に産し,特に斑銅鉱に伴われることが多く,その中の数〜数10μm程度の不規則粒状の微小包有物として頻繁に見られる。また,その斑銅鉱中に短く切れたような細い離溶ラメラをなすこともあり,これは高温型斑銅鉱とは異なる,高温で安定なCu-Fe-Bi-S系相が温度低下で斑銅鉱+ウィチヘン鉱に分解したものである。ほかには,黄銅鉱,自然ビスマス,エンプレクト鉱などの各種Bi硫塩鉱物,輝コバルト鉱,褐錫鉱などを伴う。
組成変化はほとんどない。

反射色/灰色
反射多色性/弱い(ほとんど認められない)
異方性/明瞭
反射率(λ=590nm)/約30%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/160−200程度
内部反射/なし



ウィチヘン鉱(Wit) 広島県三原鉱山平行ニコル
スカルン鉱床中。反射多色性は弱く,ほとんど認められない。
スカルンや高温鉱脈中では,写真のWit1のように斑銅鉱中の微小な不規則な粒,あるいはWit2のような離溶ラメラとして見られることが多い。
Wit:ウィチヘン鉱,Bn:斑銅鉱,Cp:黄銅鉱
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検鏡試料:スカルンから産した少量のアンドラダイトを伴う塊状の斑銅鉱鉱石






左のウィチヘン鉱(Wit)の異方性(明瞭)/クロスニコル
異方性は明瞭。
Wit:ウィチヘン鉱,Bn:斑銅鉱,Cp:黄銅鉱,Cv:コベリン(二次鉱物)



ウィチヘン鉱(Wit) 岡山県布賀
平行ニコル
スカルン鉱床中。ウィチヘン鉱はこのように斑銅鉱(Bn)と自然ビスマス(Bi)との境の反応縁をなすこともある。
Wit:ウィチヘン鉱,Bn:斑銅鉱,Bi:自然ビスマス