ストロメイヤ鉱(輝銀銅鉱) stromeyerite CuAgS 斜方晶系
マッキンストリー鉱 mckinstryite  Cu0.8Ag1.2S 斜方晶系
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ストロメイヤ鉱は灰白色〜青灰色に至る反射多色性が明瞭。異方性は強い。
マッキンストリー鉱も反射多色性が明瞭だが,ストロメイヤ鉱よりも白っぽい。異方性は強い。
いずれもやや硬度が低く,やや荒れた研磨面になることがあるが,輝銀鉱ほどではない。また,組成変化に乏しく,光学的性質はほぼ一定している。
いずれも低温で生成する。約100℃以上ではCuAgS〜Cu0.8Ag1.2Sに至る幅広い固溶体組成を示す別の相が安定で,それより低温ではただちにストロメイヤ鉱とマッキンストリー鉱に離溶する。したがって,両者の離溶共生体は頻繁に見られる(通常はストロメイヤ鉱中に白っぽい柳葉状のマッキンストリー鉱が離溶ラメラとして見られることが多い)。これらは斑銅鉱を伴う銀鉱石中に頻繁に見られ,自然銀を伴うこともあり,熱水鉱脈鉱床のほか,黒鉱鉱床上部の銀高品位帯にも頻繁に見られる。他には黄銅鉱,方鉛鉱,閃亜鉛鉱,褐錫鉱,モースン鉱などを伴うこともある。なお,輝銀鉱・濃紅銀鉱などとは共生しない。なお,輝銀鉱と共生するCu-Ag-S系鉱物はヤルパ鉱(jalpaite CuAg3S2)で,それは浅熱水成金銀鉱床にまれに産する。

反射色/灰白色〜青灰色
反射多色性/明瞭(灰白色〜青灰色,ストロメイヤ鉱よりもマッキンストリー鉱は白っぽい)。
異方性/いずれも強い
反射率(λ=590nm)/ストロメイヤ鉱25〜28%,マッキンストリー鉱30〜35%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/ストロメイヤ鉱:38〜44,マッキンストリー鉱:約60
内部反射/いずれもなし



ストロメイヤ鉱(Str)とマッキンストリー鉱(Mcn)の反射多色性 兵庫県多田鉱山/平行ニコル
斑銅鉱に富む銀銅錫の熱水鉱脈中のもの。このストロメイヤ鉱とマッキンストリー鉱は離溶共生体をなすものである(高温相から約100℃以下で離溶したもの)。通常はこのように,ストロメイヤ鉱中に白っぽい柳葉状のマッキンストリー鉱が離溶ラメラとして見られることが多い。
Str:ストロメイヤ鉱,Mcn:マッキンストリー鉱,Bn:斑銅鉱,Cp:黄銅鉱,Cv:コベリン
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検鏡試料:粗い石英と斑銅鉱・黄銅鉱を主とする鉱石




左のストロメイヤ鉱(Str)とマッキンストリー鉱(Mcn)の異方性/クロスニコル
異方性は強く,離溶組織が一層はっきり分かる。。
Str:ストロメイヤ鉱,Mcn:マッキンストリー鉱,Bn:斑銅鉱,Cp:黄銅鉱,Cv:コベリン




ストロメイヤ鉱(Str) 秋田県餌釣鉱山/平行ニコル
黒鉱鉱床中のストロメイヤ鉱もマッキンストリー鉱の離溶ラメラを伴うことがあるが,このように単独のストロメイヤ鉱も見られる。このようなものは輝銅鉱類似組成の鉱物と紛らわしい。しかし,右のように強い異方性があるので区別できる。
このようなマッキンストリー鉱の離溶ラメラを伴わない単独のストロメイヤ鉱はしばしば輝銅鉱類似組成の鉱物と共生し,Cu-Ag-S系においてCu/Ag≧1の相のみが生成したものである。
Str:ストロメイヤ鉱,Cp:黄銅鉱,Gn:方鉛鉱,Sp:閃亜鉛鉱,Ba:重晶石,Cv:コベリン(二次鉱物)



左のストロメイヤ鉱(Str)の異方性/クロスニコル
平行ニコルでは輝銅鉱類似組成の鉱物と紛らわしいが,ストロメイヤ鉱にはこのように強い異方性がある。
Str:ストロメイヤ鉱,Cp:黄銅鉱,Gn:方鉛鉱,Sp:閃亜鉛鉱,Ba:重晶石,Cv:コベリン(二次鉱物)