輝安鉱 stibnite Sb2S3 斜方晶系  [戻る]
輝蒼鉛鉱のBi→Sb置換体

反射多色性は強く反射色は帯青白〜クリーム灰白に変わる。柱状のものが多い。また柱状集合体やモザイク状集合体をなす。完全な劈開で割れた部分が剥落し,そこが小さな細長い凹みとなり,それが互いに平行に並んでいることがある。その劈開のため平滑な研磨面を得にくい。反射色はベルチェ鉱より褐味がなく,青みがあり,錆びにくい。
通常,組成変化はほとんどないが,まれに著量のBiを含むことがあり,その量が増えるとやや明るくなる。。
低温の熱水鉱床に産し,伴われる硫化鉱物は黄鉄鉱・ベルチェ鉱・四面銅鉱などがあるが,他の硫化鉱物を伴わず,単独に産することが多い。方鉛鉱・輝銀鉱・輝安銀鉱・ピアース鉱・脆銀鉱・磁硫鉄鉱・輝銅鉱などとは共生しない。
日本では特に西南日本の中央構造線付近〜外帯の,約14Maの花こう岩の活動でできた鉱脈鉱床に黄鉄鉱以外の硫化鉱物をあまり伴わずに産することが多い。

反射色/帯青白〜クリーム灰白
反射多色性/強い。帯青白〜クリーム灰白
異方性/非常に強い。
反射率(λ=590nm)/30〜44%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/42−129
内部反射/なし



輝安鉱(Sb)の反射多色性(強い) 兵庫県中瀬鉱山/平行ニコル
熱水鉱脈鉱床中。結晶方位の異なる柱状結晶が密接している。コントラストではっきりと反射多色性が分かる。なお,完全な劈開で割れた部分が剥落し,そこが小さな細長い凹みとなり,それが結晶の伸び方向に沿って並んでいる(そのため平滑な研磨面を得にくい)。
Sb:輝安鉱,Qz:石英
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検鏡試料(石英質。白く反射する輝安鉱・ベルチェ鉱・銀四面銅鉱が散在)


左の輝安鉱(Sb)の反射多色性(非常に強い)/
クロスニコル

結晶方位の異なる柱状結晶が密接している。コントラストではっきりと異方性が分かる。
Sb:輝安鉱,Qz:石英