ペッツ鉱 petzite Ag3AuTe2 等軸晶系  [戻る]

他の金銀のテルル化鉱物とは異なり,等方体。軟らかいが荒れた研磨面になるほどではない。方鉛鉱に似るがやや暗く,わずかに紫褐色を帯びる。しかし,小粒の場合は方鉛鉱と紛らわしく見落とすことが多い。錆びやすく暗色になる。
浅熱水成金銀鉱脈中に自然金,ヘッス鉱,黄鉄鉱,黄銅鉱,閃亜鉛鉱,方鉛鉱などとともに細粒で見出される。深熱水金銀鉱脈からは自然金,カラベラス鉱,コロラド鉱,黄鉄鉱などとともに1mm以上の粗粒で産することがある。なお,ペッツ鉱と共生する自然金は,銀の含有率が1〜3割程度でやや濃い黄色を呈する(右図)。

自然テルル,ステイツ鉱,自然銀とは共生しない(右図)。

反射色/紫褐がかった灰白色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/約35%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/35−49
内部反射/なし

Au-Ag-Te系鉱物の共生関係



深熱水成金銀鉱脈中のペッツ鉱(Pz) オーストラリア カルグーリー
平行ニコル
紫褐がかった灰白色。カラベラス鉱などのテルル鉱物や黄鉄鉱などと密に共生する。他のテルル化金銀鉱物とは異なり,等方体。
Pz:ペッツ鉱,Clv:カラベラス鉱,Py:黄鉄鉱,Qz:石英

オーストラリア カルグーリーにおけるAu-Ag-Te系鉱物の共生関係の1例
左写真の鉱石にはカラベラス鉱・ペッツ鉱のほかに銀含有率が1割程度の自然金が含まれ,その鉱石中のAu-Ag-Te系鉱物の共生関係は上図の赤い領域で表される。