ペロブスカイト(灰チタン石) perovskite CaTiO3 単斜晶系  [戻る]

単斜晶系だが,自形は8面体や6面体,および,その集形。自形の断面が4角や6角に現れていることもある。粒状のこともある。反射光下ではほとんど等方体だが,透過光のクロスニコル下では複屈折が観察される。硬度が高く,平滑な研磨面を得るには時間がかかる。
通常,閃長岩やカーボナタイトやキンバレー岩に産し,時に高温スカルンにもゲーレン石などに伴って見られる。まれに超苦鉄質岩近傍の緑色片岩中に産することもある。石英とは共生せず,ケイ酸分に乏しい条件でできる。
閃長岩やカーボナタイト中のものはCaのかわりにCeなどの希土類やNaを含むことがあり,TiのかわりにNbを含むことがある。その他の産状のものはCaTiO3の組成に近い。肉眼では褐色〜黒色で,クロスニコル下では淡黄〜褐色の内部反射を示す場合が多い。

反射色/灰色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/約15%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/約600〜1100(Na,希土類,Nbに富むものは低い)
内部反射/淡黄〜褐色



ペロブスカイト(Pv) 広島県久代

石灰岩に閃緑岩マグマが接触してできた高温スカルン中。
左の平行ニコルではアンドラダイトなどのケイ酸塩鉱物よりも明るいが,磁鉄鉱よりも暗い。この共生体はアメーバ状で部分的な溶融組織と考えられる。
右のクロスニコルでは淡黄色の内部反射が著しい。なお,これ以外に褐色の内部反射を示すものも多い。
Pv:ペロブスカイト,Mt:磁鉄鉱,And:灰鉄ざくろ石(数%のチタンを含む),Spr:スパー石