ペントランド鉱 pentlandite (Ni,Fe,Co)9S8 等軸晶系  [戻る]

等方体。反射色は黄銅鉱よりも白っぽい黄色で,明るく,研磨硬度は黄銅鉱より高い。黄鉄鉱に似るがそれよりわずかに黄色が強く,研磨硬度はそれよりも低い。Ni⇔Fe⇔Coの置換が幅広く起こるが,光学的には変化が認められない。不定形で,自形は見られない。やや平滑な研磨面が得られるが,時々,裂開で剥落した部分が太い黒線で認められる。やや錆びやすく,それが進み,裂開に沿って研磨面が崩壊することもある。
苦鉄質の火成活動に伴う正マグマ鉱床から黄銅鉱,キューバ鉱,磁硫鉄鉱,磁鉄鉱などとともに頻繁に産し,重要なニッケル資源となる。また,蛇紋岩中にアワルワ鉱,磁鉄鉱,自然銅などとともに微粒をなすことも多い。そのほか,銅のスカルン鉱床などからも黄銅鉱・磁硫鉄鉱などに伴い,わずかながら見られることがあり,この場合,かなりCoに富むものがある(Coの卓越するものはコバルトペントランド鉱 cobaltpentlandite)。
代表的なニッケル硫化物だが,低温生成の鉱床には産しない。低温鉱床から産するニッケル硫化物は針ニッケル鉱が主である。

反射色/クリーム黄
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/約47%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/202−231
内部反射/なし



ペントランド鉱(Pn) ロシア ノリリスク
平行ニコル
正マグマ鉱床。黄銅鉱より明るく,クリーム黄色。上写真のように,大粒のものは裂開による黒く見える太い溝(溝状の剥落部)が見られることが多い。長らく放置すると酸化して裂開に沿って研磨面が崩壊することもある。
正マグマ鉱床のペントランド鉱はニッケル資源として重要。
Pn:ペントランド鉱,Cp:黄銅鉱,Mt:磁鉄鉱


ペントランド鉱(Pn) 千葉県嶺岡山平行ニコル
蛇紋岩化しかかったかんらん岩中。かんらん岩のかんらん石などに含まれていた微量のNiが蛇紋岩化の際に遊離して生成したもの。しばしばアワルワ鉱や自然銅,磁鉄鉱などを伴う。この産状のものは微粒のものが多い。
なお,ヒーズルウッド鉱や針ニッケル鉱よりも高温でできる。
Pn:ペントランド鉱,Ol:かんらん石,Ser:蛇紋石