マッキナワイト mackinawite Fe1+XS 正方晶系  [戻る]

反射多色性が非常に強く,反射色が灰〜褐黄色に著しく変化する。異方性も非常に強い。バレリー鉱に似るが,バレリー鉱より研磨硬度が高く,平滑な研磨面が得られる。また,バレリー鉱はマッキナワイトよりも橙色味が強い。Fe⇔Co・Ni・Cuの置換が若干起こりうる。また,層状の結晶構造の層間に1割増し程度の過剰なFe原子が入る。これらの組成変化による光学的変化は認めがたい。やや錆びやすい。多くは微小で,撚糸状に見える。
高温でできた正マグマ鉱床・熱水鉱床・スカルン鉱床・キースラガーに,黄銅鉱・磁硫鉄鉱・キューバ鉱・ペントランド鉱・Feに富む閃亜鉛鉱などに伴うことがあるが,あまり多く見られる鉱物ではない。
およそ300〜400℃の高温条件で存在していたFeに富むissの,Sの付加を受けない冷却分解により黄銅鉱とともに生成し,黄銅鉱やキューバ鉱中に細かい撚糸状で見られることがある。通常,issの冷却過程ではSの付加を受けてキューバ鉱+黄銅鉱,あるいは磁硫鉄鉱+黄銅鉱の組み合わせになることが多いので,マッキナワイトができることはややまれである。

反射色/灰〜褐黄色(反射多色性が非常に強い)
反射多色性/非常に強い(灰〜褐黄色)
異方性/非常に強い
反射率(λ=590nm)/22−46%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/52−58
内部反射/なし



マッキナワイト(Mcw)の反射多色性(非常に強い) 北海道下川鉱山(L13 S16)/平行ニコル
キースラガー中。反射多色性は非常に強く,灰〜褐黄色(左では黄銅鉱よりも暗色に見えているが,右ではあまり目立たなくなっている)。このマッキナワイトにはFeのかわりに10wt%程度のCoが含まれる。
Mcw:マッキナワイト,Cp:黄銅鉱,Po:磁硫鉄鉱,Cop:コバルトペントランド鉱
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検鏡試料:淡色の黄鉄鉱を伴い,黄銅鉱を主とする緻密塊状鉱




左のマッキナワイト(Mcw)の異方性(非常に強い)/クロスニコル
異方性も非常に強く,その色は明黄〜藍色。磁硫鉄鉱(Po)はマッキナワイトよりも明らかに異方性は弱い。
Mcw:マッキナワイト,Cp:黄銅鉱,Po:磁硫鉄鉱,Cop:コバルトペントランド鉱

 



マッキナワイト(Mcw) 岡山県三原鉱山/
平行ニコル
やや高温でできたスカルン中。撚糸状。高温で存在していたFeに富むissの,Sの付加を受けない温度低下による分解生成物。反射多色性は非常に強く,左の視野の右側の細い部分がステージの回転で目立たなくなっている(右の視野)。反射多色性はキューバ鉱(Cb)や磁硫鉄鉱よりも強い。このマッキナワイトはFeとS以外はほとんど含まない。
Mcw:マッキナワイト,Cp:黄銅鉱,Cb:キューバ鉱


左のマッキナワイト(Mcw)の異方性(非常に強い)/
クロスニコル

異方性も非常に強く,その色は明黄〜藍色に変化し,キューバ鉱(Cb)や磁硫鉄鉱よりも強い。
Mcw:マッキナワイト,Cp:黄銅鉱,Cb:キューバ鉱