クレンネル鉱 krennerite AuTe2 斜方晶系  [戻る]

平滑な研磨面が得られる。やや錆びにくい。クリーム白で反射多色性はほとんど認められず,異方性は明瞭。
シルバニア鉱と似た色調だが,それよりやや明るく,反射多色性はほとんど認められず,異方性はやや弱い(識別やや困難)。自然テルルとはクレンネル鉱がやや明るく異方性がやや弱いだけで識別困難。自然銀とは研磨硬度・異方性で区別可能。カラベラス鉱よりは白い。Auの代わりに数%以下のAgを含むことがあるが光学的には変化がない。
浅熱水性金銀石英脈中にペッツ鉱,シルバニア鉱,カラベラス鉱,自然金(銀は1割以下で濃黄色を示すもの),黄鉄鉱などとともに見出される。
金のテルル鉱物としてはシルバニア鉱,カラベラス鉱よりもややまれ。
ステイツ鉱,ヘッス鉱,自然銀とは共生しない(右図)。

なお,TeはAuよりもBiと化合しやすい。そのため,クレンネル鉱やカラベラス鉱(AuTe2)は,自然ビスマス(Bi)とは共生しない。その元素の組み合わせでは,自然金(Au)とBiのテルル化物(テルル蒼鉛鉱:Bi2Te3,都茂鉱:BiTe,ホセ鉱など)の共生体になる。

反射色/クリーム白
反射多色性/弱い(ほとんど認められない)
異方性/明瞭
反射率(λ=590nm)/70%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/100〜130
内部反射/なし

       Au-Ag-Te系鉱物の共生関係



クレンネル鉱(Kr) チリ エル・インディオ鉱山
平行ニコル
熱水鉱脈鉱床中。シルバニア鉱と似た色調だが,それよりやや明るく,反射多色性はほとんど認められない。カラベラス鉱より白い。自然テルルと似る。
Kr:クレンネル鉱,Au:自然金(Au98at%),Qz:石英
※このクレンネル鉱に密接する褐色部はクレンネル鉱の分解物(未詳鉱物で反射多色性・異方性が非常に強い)。


左のクレンネル鉱(Kr)の異方性(明瞭)
クロスニコル

明暗の異方性を示し,中央の大きなものは1つの結晶体であることが分かる。
Kr:クレンネル鉱,Au:自然金,Qz:石英


チリ エル・インディオ鉱山におけるAu-Ag-Te系鉱物の共生関係の1例
上写真の鉱石にはクレンネル鉱と共生してAu98at%の自然金が含まれ,その鉱石中のAu-Ag-Te系鉱物の共生関係は上図の赤い線で表される。