亜鉛黄錫鉱(ケステライト) kesterite (Zn,Cu,Fe)3SnS4 正方晶系  [戻る]

特徴のない灰色。正方晶系とされるが光学的には等方体。インジウム銅鉱より明るく,四面銅鉱に似る。平滑な研磨面が得られ,やや錆びにくい。不定形粒状で閃亜鉛鉱と共生するほか,特に黄銅鉱と密な平行連晶をなすことがある(下写真)。Znのかわりに著量のFeを含むことがあり,その場合,わずかに明るくなる。その組成変化では黄錫鉱と連続しない。
錫を伴う熱水鉱脈中に黄銅鉱,閃亜鉛鉱,硫砒鉄鉱,褐錫鉱,モースン鉱,錫石,石英などとともに見出されることがある。やや希な鉱物だが,兵庫県生野鉱山金香瀬鉱床深部では褐錫鉱を伴う鉱石中に,特に黄銅鉱と密な平行連晶をなして多産した。

反射色/灰色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/25〜30%(著量のFeを含むものはやや明るい)
ビッカース硬度(kgf/mm2)/320−322
内部反射/なし 



亜鉛黄錫鉱(Kes)/兵庫県生野鉱山金香瀬鉱床
 
平行ニコル
中温の熱水鉱脈鉱床中。特徴のない灰色で,光学的に等方体で四面銅鉱に似るが,このように黄銅鉱(黄色)と密なミルメカイト状の平行連晶をなすことが少なくない。
これはZnの代わりにやや著量のFeを含むもの。
Kes+Cp:亜鉛黄錫鉱と黄銅鉱の平行連晶集合体,Std:褐錫鉱,Qz:石英
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検鏡試料:石英質鉱石中の褐色金属光沢の褐錫鉱に富む部分