硫砒ニッケル鉱 gersdorffite NiAsS 等軸晶系  [戻る]
黄鉄鉱のFe→Ni,S→As(部分)置換体
輝コバルト鉱のCo→Ni置換体


明るい白色系で,一見,硫砒鉄鉱に似るが,異方性がないことで区別できる。時に錆びやすく,虹色〜暗色になる。
中温〜高温の熱水鉱床やスカルン鉱床などに少量ながらしばしば見られ,磁硫鉄鉱,黄銅鉱,紅砒ニッケル鉱,硫砒鉄鉱,各種ビスマス鉱物,黄鉄鉱などと共生する。Ni⇔Coの置換は幅広く起こり,S⇔Asの置換もわずかに起こる。これらの置換による光学的性質の変化は少ない。熱水鉱床で黄鉄鉱と共生するものは原子比でS>Asである。硬く,平滑な研磨面を得るには時間がかかる。丸っこい多角形の自形のほか,多結晶集合体の累層状,紅砒ニッケル鉱の交代組織をなすことも多い。

反射色/白色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/46−54%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/520−907
内部反射/なし



硫砒ニッケル鉱/新潟県大倉鉱山 平行ニコル
高温鉱脈鉱床中。明るく,白色で,自形(6〜8面体)の多角形の断面。ややCoを含むもの。熱水鉱脈中。周囲の暗灰色部は脈石である石英。脈石中の散点状の粒子ではこのように明るく見える。



硫砒ニッケル鉱(Ger)/兵庫県夏梅鉱山 平行ニコル
熱水鉱床中。橙色の紅砒ニッケル鉱(Nc)がSの付加を受けて灰白色の硫砒ニッケル鉱に変わっている交代組織。硫砒ニッケル鉱は紅砒ニッケル鉱とのコントラストにより,やや灰色がかって見えている。
Ger:硫砒ニッケル鉱,Nc:紅砒ニッケル鉱