方鉛鉱 galena PbS 等軸晶系  [戻る]

反射色は白色で等方体。硬度はやや低いが平滑な研磨面が得られる。しばしば部分的に6面体方向の完全なへき開で割れた部分が剥落し,そこが小さな3角形の黒く見える穴になっている。鏡下において方鉛鉱のへき開は最も頻繁に見られるへき開で,かつ,特徴的で,方鉛鉱の同定に特に重要。やや錆びにくい。硬度がやや低いため,石英など硬い鉱物中にある時には研磨面が凹レンズ状になりやすく,粒子が小さいものは実際の反射率に比してやや暗く見える。
Sの代わりに少量のSeが含まれることがあるが,通常,組成変化はほとんどない。
各種の熱水鉱床,スカルン鉱床などに黄鉄鉱・黄銅鉱・閃亜鉛鉱・硫砒鉄鉱・四面銅鉱・各種銀鉱物などに伴ってよく見られる。輝安鉱・輝蒼鉛鉱・石黄などとは共生しない。

反射色/白色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/43%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/56−116
内部反射/なし



方鉛鉱(Gn)/鳥取県大倉鉱山 平行ニコル
熱水鉱脈鉱床。
へき開で割れた部分が剥落し,そこが多数の黒く見える3角形の穴になっている。その3角形の穴は同じ結晶粒子内では互いに平行に並んでいる(上写真の中央〜左側の正3角形の穴のある部分,右下のくさび状の穴のある部分,右上の細長い穴のある部分はそれぞれ異なる結晶粒子)。
この剥落による3角形の孔の形状は結晶方位によりさまざまである(研磨面が(111)に平行なら正3角形となる→写真の中央〜左上部分)。
上写真のものは特に顕著にへき開の穴が現れたもので,通常はこれよりも数少ない。
Gn:方鉛鉱,Qz:石英


方鉛鉱(Gn)/兵庫県生野鉱山金香瀬鉱床 平行ニコル
熱水鉱脈鉱床。部分的にへき開で割れた部分が剥落し,そこが小さな3角形の黒く見える穴になっている。方鉛鉱の3角形の劈開による孔は,この写真に見られる程度のことが多い。かなり小さいが方鉛鉱の同定に重要。
Gn:方鉛鉱,Qz:石英


方鉛鉱(Gn)/秋田県餌釣鉱山 
平行ニコル

熱水鉱床(黒鉱鉱床)。黒鉱のような細粒緻密な鉱石では上写真のように含まれる方鉛鉱も細粒である。細粒の方鉛鉱には3角形の劈開による孔は認められない場合が多い。その場合,明るさ・色・研磨硬度・異方性の有無などで同定する。
Gn:方鉛鉱,Cp:黄銅鉱,Tet:四面銅鉱,Sp:閃亜鉛鉱,Ba:重晶石
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検鏡試料(黒鉱)