フェルグソン石 fergusonite Y(Nb,Ta)O4 正方晶系 [戻る]

灰重石と同構造。しかし,含まれる放射性元素のため,ほぼ全体がメタミクト化したものが多い(ほぼ非晶質)。そのため,反射多色性・異方性ともに認められず等方体のことが多い。硬度が高く,平滑な研磨面を得るには時間がかかる。
先端が丸くとがった4角柱状〜急斜面の4角錐状の自形のことが多く,その断面が膨らんだ丸みのある4角形などに見える。あるいは丸みのある紡錘形や粒状のこともある。Nbに対してTaに富むものはない。Taに富む組成のものは高縄石(takanawaite)という,β−フェルグソン石のNb→Ta置換体に該当するもので板状の形態をなす(高縄石もほぼ全体がメタミクト化したものが多く光学的に等方体のことが多い)。
ペグマタイト中にY-珪酸塩,ジルコン,ゼノタイムなど共に産する。コルンブ石など希土類を主成分としないニオブ・タンタル鉱物とはとは共生しない。
顕著な黄褐色〜暗褐色の内部反射を示し,それにより,コルンブ石・ユークセン石・サマルスキー石と区別できる(それらに比べ透明度がやや高い)。

反射色/灰色
反射多色性/メタミクト化でほとんど認められない
異方性/メタミクト化でほとんど認められない
反射率(λ=590nm)/約15%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/600〜900
内部反射/黄褐色〜褐色でやや顕著



フェルグソン石(Feg)愛媛県馬刀潟/
平行ニコル
ペグマタイト中。4角柱状の自形の断面が現れている(Fegの文字のある部分の粒子は横方向に伸びた縦断面,その右上は横断面でほぼ4角形)。メタミクト化で等方性。
Feg:フェルグソン石,Fs:長石類



左のフェルグソン石(Feg)の内部反射/
クロスニコル
暗褐色の内部反射がある(青く見えているのは表面反射による)。メタミクト化で等方性。長石類(Fs)は鉄分による汚染で淡褐色に見えている。
Feg:フェルグソン石,Fs:長石類

 

 



高縄石 takanawaite 香川県丸亀市広島

Nbに対してTaに富む組成のものは高縄石(takanawaite)で,フェルグソン石とは原子配列が異なり,β−フェルグソン石(名称に「β」が付くが,フェルグソン石の低温相)のNb→Ta置換体に該当し,板状の形態をなす。高縄石もほぼ全体がメタミクト化したものが多く,光学的性質はフェルグソン石とほぼ同じで,等方体のことが多く暗褐色の内部反射がよく見られる。