自然銅 copper Cu 等軸晶系   [戻る]
自然銀・自然金と同構造

明るいが自然金よりやや暗く,赤みがある。しかし桃橙色で色調が似た斑銅鉱よりはるかに明るい。自然金同様,硬度が低く,研磨時の擦痕がよく見られ,特に大粒のものは,表面が荒れた感じの研磨不良になることが多い。
他形のことがほとんどで,自形はまれ。自然金や自然銀とは異なり,硫化鉱物に接して産することはやや少ない。
銅鉱床の地表付近で黄銅鉱や斑銅鉱などの初生銅鉱物の分解により二次的に生じ,赤銅鉱,孔雀石,珪孔雀石,青鉛鉱などの二次銅鉱物に伴って産することが多く,この場合,それらの鉱物や,石英などの脈石鉱物の隙間を埋める角張った形で見られることが多い。また,蛇紋岩中にアワルワ鉱,磁鉄鉱,輝銅鉱などとともに産することも希でなく,不規則粒状や短く切れたような脈状をなし,このものはかんらん岩の蛇紋岩化の際に生じたもので,しばしば数mm以上の肉眼的なものもある。まれに玄武岩中の初生鉱物として微小な円滴状をなすほか,その造岩鉱物である灰長石中に微小な片状をなすこともある。その他,著しく緑泥石に富む緑色片岩中にまれに見られる。
成分変化に乏しく,光学的性質は一定している。錆びやすく,虹色,暗青,暗褐色などになる。

反射色/桃橙色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/68%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/48−143
内部反射/なし



風化作用を受けた銅鉱床中の二次鉱物としての自然銅(Cu) 山口県大和鉱山/平行ニコル
Cup:赤銅鉱

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検鏡試料:珪化した淡褐色の母岩中の網目状の割れ目に地下水から各種の二次銅鉱物が沈殿した酸化銅鉱石






蛇紋岩中の自然銅(Cu) 千葉県嶺岡山/平行ニコル
かんらん岩が蛇紋岩に変質した際,もとのかんらん岩中の造岩鉱物に微量成分として含まれていたCuが還元環境下で自然銅となったもの。しばしば数mmに達する場合があり,輝銅鉱などを伴う。
Cu:自然銅,Ser:蛇紋石,Ol:かんらん石(元のかんらん岩中の造岩鉱物が残留しているもの)
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検鏡試料:暗緑色の蛇紋岩化しかかったかんらん岩