コルンブ石 columbite  (Fe,Mn)(Nb,Ta)2O6 斜方晶系 [戻る]

ペグマタイトに産し,板状の自形(断面は短冊状)のほか,粒状をなす。硬度が高く,平滑な研磨面を得るには時間がかかる。サマルスキー石などの別のNb・Ta鉱物と密に共生している場合があるが,それらとはわずかに反射率が異なり,かつ,コルンブ石は異方性がある。組成的には大部分はFe>Mn。また,Taの多いものはタンタル石だが,タンタル石でFe>Mnのものはほとんど無く,それは別構造のタピオライト(tapiolite)のことが多い(コルンブ石構造の鉱物は鉄コルンブ石とマンガンタンタル石が普通で,それ以外はやや希)。なお,コルンブ石と同じ組成のものにはixioliteなど別の相もある。コルンブ石−タンタル石組成の鉱物は,フェルグソン石組成の鉱物やY−珪酸塩鉱物とは共生しない。
なお,形状や光学的性質は鉄マンガン重石に似るが,鉄マンガン重石はペグマタイトよりも,気成鉱床〜高温の熱水鉱床に産し,長石類に伴うことは少ない。

反射色/褐色を帯びた灰色
反射多色性/弱い(あまり認められない)
異方性/明瞭
反射率(λ=590nm)/15〜17%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/500〜1021
内部反射/認められないことが多いが,ややMnに富むものは褐色〜深紅。



コルンブ石(Cm) 福島県石川
平行ニコル
ペグマタイト中。反射多色性は弱く,あまり認められない。
Cm:コルンブ石


左のコルンブ石(Cm)の異方性(明瞭)/
クロスニコル
異方性は明瞭で写真のような単結晶でも注意するとわかる。サマルスキー石と密に共生している場合,たいていサマルスキー石はメタミクト化して等方体で,コルンブ石とは区別できる。
Cm:コルンブ石