輝コバルト鉱 cobaltite CoAsS 等軸晶系(単斜晶系)  [戻る]
黄鉄鉱のFe→Co,S→As(部分)置換体
ゲルスドルフ鉱のNi→Co置換体


明るい白色系で,一見,硫砒鉄鉱に似るが,異方性が無〜弱いことで区別できる。Coの代わりにFe,Niが数%含まれるものはほとんど白だが,端成分に近いものは明らかに桃色を帯びる(なお,他にわずかなCo⇔Cu,As⇔Sの置換があるが,これらの置換による光学的性質の変化は認められない)。黄鉄鉱と同構造で密な原子配列なので,角張った多角形〜丸味を帯びた自形〜半自形をなすことが多い。時に多結晶集合体の累層状をなすこともある。外形的には等軸晶系だが,厳密には単斜晶系で,時に弱い異方性があり,それにより単結晶に見えるものでも内部に集片双晶によるラメラ構造が認められることがある。普通は錆びにくいが,時に錆びやすく虹色になる。硬く,平滑な研磨面を得るには時間がかかる。
高温の熱水鉱床・スカルン鉱床・キースラガーなどにしばしば見られ,磁硫鉄鉱,アロクレース,サフロ鉱,黄銅鉱,斑銅鉱,各種ビスマス鉱物,黄鉄鉱などと共生し,黄鉄鉱と共生するものは原子比でS>Asである。アロクレースと共生するものは常に数%のFeを含み,桃色味に乏しく白い。なお,浅熱水鉱床にはあまり見られない。

反射色/白色・桃白色(端成分に近いものは明らかに桃色を帯びる)
反射多色性/非常に弱い(ほとんど認められない)
異方性/非常に弱い〜弱い(ラメラ構造(集片双晶)がある時にコントラストで認められる程度)
反射率(λ=590nm)/56%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/948−1167
内部反射/なし



輝コバルト鉱(Co) 山口県薬王寺鉱山平行ニコル
これは端成分に近いもので明らかに桃色がかって見えるもの。自形の多角形の断面。高温鉱脈鉱床中。
Co:輝コバルト鉱,Cp:黄銅鉱,Em:エンプレクタイト,Sp:閃亜鉛鉱


輝コバルト鉱(Co) 和歌山県三陽鉱山平行ニコル
これはFeを数%含む輝コバルト鉱で,ほとんど赤みのない白色。自形の多角形の断面。高温鉱脈鉱床中。
Co:輝コバルト鉱,Chl:緑泥石