カーロール鉱 carrollite CuCo2S4 等軸晶系  [戻る]
リンネ鉱のCo→Cu(部分)置換体

灰白色でわずかにクリーム色を帯びるが,黄銅鉱に取り巻かれている場合はコントラストによりクリーム色が感じられず,四面銅鉱に似た灰白色に見える。光学的には四面銅鉱と似るが,カーロール鉱はスピネルと同じ密な原子配列なので丸っこい自形〜半自形になりやすい。この鉱物のCuは2価,Coは3価で,通常の硫化鉱物(Cu:1価,Co:2価)よりも大きな価数である。これは硫化鉱物でありながら,かなり酸化的な環境で形成されることを示している。
熱水鉱脈鉱床に黄銅鉱,斑銅鉱,石英,方解石などとともに産するが,ややまれ。高圧でできた変成度の高いキースラガーにも変成鉱物としてもまれに産し(下右写真),これは変成作用で微量のCoを含む黄鉄鉱が分解し,Coを含む流体が生じ,黄銅鉱のCuと化合してできたものである。この場合,黄銅鉱・斑銅鉱・黄鉄鉱・赤鉄鉱・閃亜鉛鉱を伴い,その黄鉄鉱は変成作用で分解し丸みを帯び,閃亜鉛鉱はFeに乏しい。

反射色/わずかにクリーム色を帯びた灰白色
反射多色性/なし
異方性/なし
反射率(λ=590nm)/43%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/350−570
内部反射/なし



カーロール鉱(Car) コンゴ シャバ/平行ニコル
熱水鉱脈鉱床中。わずかにクリーム色を帯びた灰白色。
Car:カーロール鉱,Bn+Cp:斑銅鉱と黄銅鉱の離溶集合体


カーロール鉱(Car) 愛媛県佐々連鉱山/平行ニコル
黄銅鉱中に角張った多角形の半自形をなす。これはキースラガー中に変成鉱物として見られるもの。三波川変成帯の変成作用の過程で,微量のCoを含む黄鉄鉱が分解し,Coを含む流体が生じ,黄銅鉱のCuと化合してできた。
色や硬度は四面銅鉱と似るが,カーロール鉱はスピネルと同じ密な原子配列なので黄銅鉱に対し自形〜丸っこい半自形になりやすい。
Car:カーロール鉱,Py:黄鉄鉱,Cp:黄銅鉱