カラベラス鉱 calaverite AuTe2 単斜晶系  [戻る]

黄鉄鉱と似た色だが,それよりわずかに明るく,硬度は低く,不規則粒状のことが多い(黄鉄鉱とは異方性の有無も区別点だが,普通程度の異方性は黄鉄鉱にも認められることがある)。平滑な研磨面が得られる。やや錆びにくい。シルバニア鉱・クレンネル鉱よりは明らかに黄色味が強い。自然金とは,カラベラス鉱がやや暗く,硬度が高く,傷が少ない平滑な研磨面で,異方性があることで区別できる。
浅〜深熱水性金銀鉱床にペッツ鉱,自然金(銀は1割以下で濃黄色を示すもの),黄鉄鉱などとともに見出される。
ステイツ鉱,ヘッス鉱,自然銀とは共生しない(右図)。
金のテルル鉱物ではシルバニア鉱とともに普通で,重要な金資源。

なお,TeはAuよりもBiと化合しやすい。そのため,カラベラス鉱やクレンネル鉱(AuTe2)は,自然ビスマス(Bi)とは共生しない。その元素の組み合わせでは,自然金(Au)とBiのテルル化物(テルル蒼鉛鉱:Bi2Te3,都茂鉱:BiTe,ホセ鉱など)の共生体になる。

反射色/クリーム黄
反射多色性/弱い(ほとんど認められない)
異方性/明瞭
反射率(λ=590nm)/66%
ビッカース硬度(kgf/mm2)/約200
内部反射/なし

      Au-Ag-Te系鉱物の共生関係



カラベラス鉱(Clv) オーストラリア カルグーリー
平行ニコル
深熱水成金銀鉱脈中。黄鉄鉱と似た色調だが,それに比べ硬度は低く,自形になることは希で,不規則粒状のことが多い。反射多色性は弱く,ほとんど認められない。
Clv:カラベラス鉱,Py:黄鉄鉱,Qz:石英



左のカラベラス鉱(Clv)の異方性(明瞭)クロスニコル
異方性は明瞭。
Clv:カラベラス鉱,Py:黄鉄鉱,Qz:石英