講座「縄文人の知恵を学ぼう」
第6回「オリジナル縄文クッキーを作ろう」(2005年10月30日報告)


 縄文時代の遺跡からは様々なものが出土しています。
当時の人々が食べたであろう動物や植物もいろいろで,なかにはクッキーあるいはハンバーグのような円盤状の炭化物があります。
 ある研究者は,残留脂肪酸を分析し,ヤマグリ・オニグルミの粉,シカ・イノシシ・野鳥の肉,イノシシの血と骨髄,野鳥の 卵,塩,野生の酵母が含まれていたと発表しました。これは驚きを持って迎えられ,全国の小中学校を中心に「縄文クッキー作り」が盛んに行われるようになりました。
 しかしその後,残留脂肪酸の分析には科学的根拠がないとの反論が複数の研究者から出されています。

 では,円盤状の炭化物はいったい何なのでしょうか。「ハンバーグ」あるいは「ドングリ?入りハンバーグ」あるいは「肉入りクッキー」あたりに止めておくのが今のところ無難なようです。
 この講座では,上記のような発表とそれに対する反論を踏まえつつ,「オリジナル縄文クッキー作り」を試みることにしまし た。



火おこし

縄文人の知恵を学ぼうの様子
縄文時代には火を手に入れるのも一仕事だっただろうと,倉敷埋蔵文化財センターの福本館長にお世話になって火おこしの体験をしました。



色々な火おこしの方法

縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
もみぎり1 もみぎり2
縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
弓ぎり 火打ち石



まいぎりによる火おこしの方法

縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
リズムよく回転 火種ができる
縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
麻糸に着火 火の完成



縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
子どもたちも火おこしに挑戦しました



オリジナル縄文クッキー作り
縄文人の知恵を学ぼうの様子
材料は,一口サイズ10個分でドングリ粉30g,クルミ30g,イノシシ肉100g,うずら卵2個,塩少々です。
イノシシ肉は友の会会員の寺澤さんに譲っていただきました。ドングリ粉などは購入しました。
講師は調理師の藤野睦子さんと管理栄養士の裾分由美子さんです。



手順

縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
クルミを細かくなるまですりこぎでたたく イノシシ肉を包丁で細かく切って 包丁の背でミンチ状になるまでたたく
縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子 縄文人の知恵を学ぼうの様子
すべての材料を合わせてよく練る 薄く伸ばして200度のオーブンで約10分焼く 完成(お皿はドングリの葉)



 味見の感想は「まずくはないが,うまくもない」です。ぜいたくでしょうか。
 ちなみに1個分の栄養価はエネルギー58kcal,たんぱく質2.7g,脂質4.0g,炭水化物2.1g,塩分0.1g だそうです。
 午後は一般公募の参加者を交えて,再度火おこしに挑戦し,オリジナル縄文クッキーを作りました。

 それにしても当時は,すべての材料を自分たちで調達してこなければならないし,包丁も,もちろんオーブンなんてありませんから,さぞたいへんな思いをしたことでしょう。
 またまた縄文人のすごさを実感した第6回講座でした。

 最後に講師方の重みのあるお話。
「いただきます」とは「命をいただくこと」です。
「ごちそうさま」とは「ご馳走様」と書き,お客様をもてなすのに材料や道具を求めて走り回ったことに由来します。
みんな神妙な面持ちで両手を合わせ「いただきます」「ごちそうさまでした」をしました。


(報告:江田伸司)