平成30年2月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。
 
提案理由説明に先立ち、平成30年度の市政運営や予算編成につきまして基本的な考え方を述べさせていただき、皆様の御理解と御協力を賜りたいと存じます。
 
平成30年度は、夢の架け橋と呼ばれた瀬戸大橋が開通して30周年となりますが、当時と比べ倉敷市を取り巻く状況は大きく変化し、なかでも、人口減少社会の到来という課題に直面しています。平成28年の合計特殊出生率は、ここ15年間で最も高い1.64に上昇したものの、平成29年12月末の住民基本台帳では、これまで微増で推移していた市の人口は、戦後初めて減少し、前年同期比273人減の48万3,901人となり、平成27年度に策定した倉敷みらい創生人口ビジョンで見込んだ推計人口を下回る状況となっております。
 
人口減少に対応し、将来にわたって活力ある社会を維持していくためには、暮らしの安心の確保と、今後の成長を見据えた活力あるまちづくりを推進していくことが重要と考えます。創業支援や人材育成など産業振興への取組、企業が立地・進出しやすい環境整備や投資を促進する取組、観光客増加に向けた取組など地域経済活性化と市の歳入確保につながる取組に加え、幹線道路網など交通ネットワークの形成や、魅力ある市街地整備など都市機能の充実・強化を図っていくことで、子育て支援や健康長寿への取組など市民福祉の充実、教育環境の整備、防災対策の強化や利便性の向上など、暮らしの安心につながる取組を充実させることが可能となります。そして、暮らしの安心の確保は、住み続けたいと思っていただけることに加えて、人を惹きつけ、投資を呼び込み、更なる成長をもたらす相乗効果が期待できるものと考えます。
 
こうした考えのもと、平成30年度当初予算は、「安心と成長をつなぐ未来への懸け橋予算」と位置づけ積極的な予算編成を行い、これまで最大であった平成27年度を約34億円上回る1,844億7千万円余りを計上しています。平成27年度は、小・中学校校舎の耐震化率100%の実現など課題解決中心の予算でしたが、平成30年度は、課題解決に加えて、市街地再開発事業など今後のまちづくりにつながる事業、教育環境向上につながる小・中学校校舎等の整備、健康増進や生きがいづくりにつながる事業など、未来に向けた施策を多く盛り込むことができたものと考えています。一方、財政調整基金など基金からの繰り入れにつきましては、全体で45億5千万円余りとなりましたが、平成29年度に比べると2億5千万円余り減少させ、また、平成30年度末の市債残高見込みについても、臨時財政対策債を除くと、一般会計では19億5千万円余り増加するものの、特別会計・企業会計を含めた全会計では62億円減少させております。人口が減少すると、負債額が現状のままでは、一人当たりの負債額が増加することとなるため、平成30年度当初予算は、積極的な予算計上を行いつつも、将来世代の負担軽減も念頭において編成しております。
 
また、平成30年度は、他の自治体等との連携・交流もさらに重要となってくると考えております。現在、北前船寄港地の自治体で連携した日本遺産への追加認定や、岡山市・総社市・赤磐市とで連携する桃太郎伝説と古代吉備の遺産をテーマとした日本遺産認定を目指しており、また、ニュージーランド国の2020年東京オリンピック・パラリンピックのホストタウンとして、国際交流・スポーツ交流にも取り組んでまいります。さらに、高梁川流域各市町との連携強化、中核市市長会会長市としての中核市相互の連携・交流の推進に加えて「中核市サミット2018in倉敷」の開催など、様々な機会を捉えて、より一層、倉敷市の魅力を磨き高め、発信するとともに、関係団体全体の活性化にもつながっていくよう取り組んでまいりたいと考えております。
 
それでは、平成30年度に取り組む主な事業につきまして、「子育てするなら倉敷でと言われるまち」「温もりあふれる健康長寿のまち」「安心と活力あふれる元気なまち」「世界に向けて発信するまち」「みらいに責任を果たすまち」の5つの政策に沿って御説明させていただきます。
 
第1に「子育てするなら倉敷でと言われるまち」の実現に向けてでございます。
 
まず、妊娠期から子育て期にわたるまでの切れ目ない支援の充実を目指して、昨年7月に倉敷、児島、玉島、水島、真備の5か所に開設した子育て世代包括支援センター「妊婦・子育て相談ステーションすくすく」の延べ利用者数は、平成29年12月末までの約半年間で4,835人となりました。さらに多くの方々に御利用いただけるよう取り組んでまいります。
 
仕事と子育てを両立することができるための取組についてですが、平成29年4月1日現在186人となっていた待機児童数は、平成29年10月現在では124人となっています。平成30年度の保育所等定員につきましては、民間保育所の創設1園と増改築2園による増加分に加え、民間認定こども園を2か所増やして7園に、小規模保育施設を3か所増やして13施設に、事業所内保育施設を1か所増やして10施設に拡大することにより、270人の増加を見込んでいます。また、現在、新設又は増改築を計画している民間保育所、民間認定こども園の整備により、平成32年4月には、さらに140人の定員増を図ることとしています。様々な保育ニーズへの対応として、公立幼稚園での預かり保育を18園から20園に、3歳児保育を29園から32園に拡大し、民間保育所及び民間認定こども園の延長保育を3園、一時預かり保育を2園増やすとともに、新たに、1・2歳児を多く受入れる民間保育所等を支援する緊急入所対策事業を実施します。さらに、近隣自治体の施設が利用できる病児・病後児等保育事業にも引き続き取り組んでまいります。また、保育士の確保が待機児童対策に大きく関わってくることから、国の基準改定に伴う保育士等の処遇改善を実施することに加え、引き続き、保育士確保対策事業を高梁川流域圏域で実施するとともに、民間保育所運営法人への保育士宿舎借上料の助成や、保育に係る周辺業務を行う保育支援者を配置する経費の助成に加えて、新たに保育補助者を配置する経費の助成や、公立保育所にも保育に係る周辺業務を行う職員を配置するなど、保育環境の向上を図ってまいります。さらに、平成30年度から、新たに保育・幼稚園支援室を設置し、より一層の保育士等の人材確保、保育の質の向上及び保育所等への支援体制の充実を図ってまいります。
 
放課後児童クラブにつきましては、平成30年度中のクラブ室の新設4か所、小学校余裕教室の改修8か所の整備により367人の受入児童数の増加を見込んでいます、さらに、障がい児の受入体制の強化や、支援員の処遇改善などを実施してまいります。
 
次に、教育に関する取組についてですが、岡山県の平成29年度の全国学力・学習状況調査の結果では、県内小学6年生の成績が全国19位、中学3年生の成績が全国34位となりました。本市の成績も小学校では全国平均を上回るなど、これまでの取組の成果が徐々に表れてきております。引き続き、少人数指導による「確かな学力」向上支援事業や放課後等に学習支援員を配置する放課後学習サポート事業など、学力向上を図る取組を実施してまいります。教育委員会では、平成30年度から市立中学校における2学期の開始時期を早め、8月末に新たに5日間の授業日を設けることとしました。教員が児童生徒と向き合う時間を確保し、よりきめ細やかな指導を行ってまいりたいと考えております。また、学校園事務ネットワークシステムに、新たに出欠管理や成績処理など事務効率化を図るための機能を追加するとともに、中学校の部活動に専門的な知識や技能を有する指導員を新たに26人配置することで教員の負担軽減を図ってまいります。また、障がい等で支援を必要とする幼児・児童生徒を援助する生活支援員を増員するとともに、地域の皆様が主体となった学習支援等を通じて子ども達の豊かな心を育む、地域連携による学校支援事業につきましても実施校を51校から60校へと拡大し、子ども達を社会全体で支える環境づくりを進めてまいります。
 
不登校やいじめなど教育現場の諸課題につきましては、不登校の児童生徒を訪問し、教育相談や生徒指導・学習指導を行う、不登校児童・生徒支援員等配置事業の支援員を14人増員し、77人配置いたします。さらに、スクールカウンセラー等配置事業や、市内5か所で不登校児童・生徒の学校復帰や社会的自立に向けた支援を行うふれあい教室事業を引き続き実施するとともに、生活困窮状態にある世帯の中学生に対して学習支援を行う学習教室「くらすぽ」を市内5か所で運営してまいります。
 
また、G7倉敷宣言を推進していくため、引き続き、市内の中学生による倉敷こどもサミットの開催や、教職員を国際バカロレア教育体験研修へ20人派遣するなど、グローバル人材育成に向けた取組を進めてまいります。
 
教育環境の充実につながる施設整備につきましては、茶屋町小学校屋内運動場・茶屋町東幼稚園園舎の合築工事や西阿知小学校校舎・西阿知幼稚園園舎の合築に向けた解体等工事、南中学校や東陽中学校の校舎等の建設工事など、児童生徒数の増加に対応するための取組を進めるとともに、西中学校木造校舎保全事業や倉敷支援学校校舎等の大規模改修工事に取り組んでまいります。さらに、ライフパーク倉敷科学センターのプラネタリウムを、世界最高水準の技術を導入した施設に更新し、平成30年度中のリニューアルオープンを目指してまいります。
 
第2に「温もりあふれる健康長寿のまち」の実現に向けてでございます。
 
まず、若者から高齢者まで誰もが健康に暮らし、活躍できる社会の実現を目指して、市民一人ひとりが健康に関心を持ち、健康づくりに取り組む、くらしき健康応援事業を新たに実施します。健康に関する基礎的知識が習得できる講座の開催、血流や骨密度等の測定体験の実施、健康やイベント等の情報をまとめた、くらしき健康応援ガイドの作成等を行い、あわせて、20歳以上の市内在住・在勤・在学者を対象に、ウォーキングなどの健康行動への取組、健康増進イベントへの参加、健康診断や検診の受診等に対して、インセンティブのあるポイントを付与する健康ポイント事業を実施してまいります。
 
スポーツ・健康増進への取組についてですが、2月9日に開幕した平昌オリンピックでは、男子フィギュアスケート日本代表として、倉敷市在住の田中刑事選手が出場されました。競技が開催された16日及び17日には、母校の連島神亀小学校体育館でパブリックビューイングを行いました。田中選手の最後まで全力を尽くすその姿は、私たちに大きな勇気と感動を与えてくれました。今後も更なる御活躍を期待しております。本市では、2020年東京オリンピック・パラリンピックにあたり、ニュージーランド国のホストタウンとして事前キャンプ誘致を進めておりましたが、このたび、ウエイトリフティング競技のキャンプ実施が決定しました。この機会を通じて、スポーツ交流や国際交流を推進するとともに、オリンピック・パラリンピックを通じた市内のスポーツ機運の醸成を図ってまいりたいと考えております。また、8月には水島緑地福田公園を会場として、年1回開催される全国最大のラジオ体操イベントである、「1000万人ラジオ体操・みんなの体操祭」の開催を予定しております。次に、施設整備への取組につきましては、水島緑地福田公園体育館の耐震補強・大規模改修工事や、福原緑地へのグラウンドゴルフ場整備等を実施してまいります。
 
地域で安心して暮らし続けられる助け合い・支え合いのまちづくりの推進についてでございます。本市の65歳以上の人口は、平成29年12月末時点で約12万9千人、高齢化率は26.7パーセントであり、年々高齢化率が高まっている状況です。高齢者の方々が地域や社会と関わりを持ち、その知識や経験を生かしてお元気に活躍されることが、地域の活力向上の支えになると考えております。そのため、地域において、高齢者の社会参加、健康づくりや介護予防を推進する、ふれあいサロンを平成29年10月末の216団体から250団体へと拡大を図るとともに、医療機関や介護事業所において医療従事者や介護専門職と地域の方々が協働して運営する、健康いきいきサロンの利用促進に取り組んでまいります。また、認知症の方やその家族を支えるための認知症カフェを平成29年度の20団体から25団体へと拡大を図り、新たに成年後見制度利用促進事業を実施するなど、高齢者の方々が住み慣れた家庭や地域で安心して暮らすことができる環境づくりに取り組んでまいります。さらに、地域支えあい活動の普及啓発に努めるとともに、地域での通いの場の創出や担い手の育成などを行う生活支援コーディネーターを増員するなど取組を強化してまいります。
 
次に、昨年7月に市内5か所の就労継続支援A型事業所が閉鎖され、220人余りの利用者が解雇されたことへの対応につきましては、本年1月31日現在で、173人の方々が再就職されておりますが、今後とも再就職に向けた支援を行ってまいりたいと考えております。また、平成30年度から、障がい福祉課内に事業所指導室を新設し、指導体制等の強化を図るとともに、新たに就労継続支援A型事業所の経営改善を目的として、経営者等を対象にビジネスや資金調達等のノウハウを学ぶ経営塾やセミナーを開催します。就労移行支援を経て一般就労し、就労に伴う環境変化により生活面の課題が生じている障がいのある方々に対しましては、企業や関係機関との連絡調整など課題解決に向けた支援を行うための就労定着支援事業を新たに実施してまいります。さらに、支援施設やグループホーム等の利用者が、ひとり暮らしに移行した場合に、地域で安定した生活が営めるように定期的な居宅訪問等を行う自立生活援助給付事業を新たに実施するなど、障がいのある方々が安心して暮らし続けることができる環境づくりに取り組んでまいります。
 
子どもの貧困対策につきましては、岡山県が実施し現在集計を行っている、子どもや保護者及び関係団体等を対象としたアンケート調査に加え、本市として、庁内関係部局の部長級で組織する子どもの貧困対策検討委員会及び実務担当課の課長級で組織する幹事会において、庁内で意識共有し、連携を図ってまいりました。また、12月には、市独自に市内全ての公立の学校園や市の関係部署に対してアンケート調査を実施し、現在、検討委員会に報告するための集計・分析作業を行っています。今後示される県の調査結果も踏まえて、本市としての取組の検討を進めてまいります。
 
医療体制の強化として、倉敷市立市民病院を4月1日に開院いたします。市民の皆様を支える地域の中核病院として、その役割を果たしてまいりたいと考えております。
 
第3に「安心と活力あふれる元気なまち」の実現に向けてでございます。
 
まず、安心して暮らせるまちを目指して、自然災害への備えを強化するため、耐震化率100%を達成した小・中学校校舎に引き続き、公立幼稚園や避難場所となる老人福祉施設・体育施設等の耐震化を進めてまいります。また、241か所の指定避難所に、災害時に利用できる特設公衆電話を計画的に設置するとともに、浸水対策としての排水機場改修工事、耐震性防火水槽の整備やため池改修事業のほか、建築物耐震診断・耐震改修等助成事業の拡大や、保安上危険の恐れがある空家等の除却工事費の助成件数を拡大するなど、災害に強いまちづくりを進めてまいります。また、総合防災訓練の実施や、ため池ハザードマップの作成などを通じて防災意識の向上を図るとともに、自主防災組織活動の活性化を促進し、市民の皆様とともに防災・減災対策を強化してまいります。なお、東日本大震災の復興支援につきましては、現在、岩手県釜石市と大槌町に、引き続き延べ4人の職員を長期派遣しているところであり、自治体間においても支え合い・助け合いを大切にしてまいりたいと考えております。
 
産業力強化による地域経済活性化を目指す取組では、昨年3月、生産拠点である水島地区と物流拠点である玉島地区を往来する港湾貨物輸送の効率化を図る倉敷みなと大橋が開通し、1月27日には、大型穀物運搬船の入港等に対応するため、水島港の国際物流ターミナル整備事業が着工しました。今後も、企業誘致の促進、生産性向上等のための設備投資を支援するとともに、インセンティブ制度による水島港への集荷促進や海外ポートセールスなどを引き続き実施し、水島港・水島コンビナートの競争力強化を図ってまいります。また、昨年12月には、三菱自動車工業水島製作所において、主力車種であるRVRの生産が開始されました。平成30年度は、世界各国で電気自動車(EV)へのシフトが急速に進むなか、自動車関連の中小企業が取り組むEV化への対応や新分野への進出などの新技術・新製品開発を支援する取組を新たに実施してまいります。このほか、事業承継、後継者育成、第二創業についての知識等を習得するセミナーや相談会を開催するとともに、くらしき創業サポートセンターが実施する起業塾等による支援を受けた創業者を対象とする新たな融資制度の創設、地場産品の国内外への販路開拓支援など、中小企業の取組に対してきめ細やかに対応してまいります。
 
農林水産業活性化の取組につきましては、本市の農業の現状と課題を分析し、持続可能な農業振興を図るための農業振興ビジョン策定に取り組むとともに、新たに6次産業化や農商工連携による商品開発を支援してまいります。また、本市の特産品であるマスカット・オブ・アレキサンドリアの生産性及び売上向上を図るために、新規就農者を支援する取組を新たに実施するとともに、ふなおワイナリーでの赤ワイン生産を目指して、新たなブドウ品種の研究・開発を行ってまいります。さらに、農業経営基盤の強化促進事業や、ほ場整備、高梁川流域圏域の農林水産品のPRや、次世代施設園芸の振興を図る取組を進めるほか、漁港整備や稚魚等放流・栽培漁業振興事業などを引き続き実施してまいります。
 
次に、移住定住施策につきましては、今後も高梁川流域圏域の市町と連携した施策に積極的に取り組んでまいります。高梁川流域への移住を検討している方が利用するお試し住宅の利用者数につきましては、平成27年10月の開設から平成30年1月末までの累計で366人となっており、そのうち41人が倉敷市内に、21人が流域の他の市町へ移住しています。平成30年度は、大都市圏での移住相談会の拡充に加え、新たに、学生の地元就職の促進を図るためのインターンシップ支援事業を実施するとともに、若い世代への情報発信を強化してまいります。また、卒業後に倉敷市で居住・就業する学生で、一定の要件を満たす場合に返還を一部免除する奨学金制度の周知を図り、大学生等の定住促進を推進してまいります。また、結婚を希望する人に出会いと交流の場を提供し、移住定住にもつながる婚活推進事業につきましては、高梁川流域圏域に在住・在勤の方を対象とした婚活イベントの開催回数を8回から10回に拡大してまいります。
 
第4に「世界に向けて発信するまち」の実現に向けてでございます。
 
世界から人々が訪れるまちを目指した魅力発信の取組としましては、平成29年度は、昨年3月に劇場公開された下津井地区を舞台としたアニメ映画「ひるね姫」や、4月に日本遺産に認定された「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」、8月に開催した「全国将棋サミット2017」や11月に開催した「マンホールサミット2017in倉敷」など、機会を捉えて本市の町並みや文化、特産品などの地域資源の発信に努めてまいりました。また、私自らもトップセールスを行ったことで、この1月には日本航空(JAL)の国内線ファーストクラスに高梁川流域の食材を使った機内食が採用されるとともに、国際線を含む全ての機内誌に高梁川流域を紹介する英語表記の特集記事を掲載いただいたところであり、本市をはじめ高梁川流域圏域の魅力を多くの方々に発信することができたと考えております。
 
平成30年度は、瀬戸大橋開通30周年に加えて、吉備の児島陸続き400年、学生服生産100周年、伝統美観保存条例制定50周年など、倉敷市のこれまでの歩みを振り返る記念すべき年であり、これらの記念事業や、新たな日本遺産への認定を目指す取組、「中核市サミット2018in倉敷」など、様々な機会を捉え、国内外に向けた本市の魅力発信をさらに強化してまいりたいと考えております。
 
更なる町並みの魅力向上につきましては、美観地区電線類地中化事業をはじめ、倉敷館の長寿命化・バリアフリー化などの改修、伝統的建造物群保存地区・伝統美観保存地区の修理修景に対する助成を実施してまいります。4月には、国重要文化財である大原家住宅が、資料展示やカフェを設置する「語らい座 大原本邸」として公開され、10月には、近代化産業遺産である倉敷アイビースクエアが、大型コンベンション施設としても活用されることとなる予定であり、また、下津井地区・玉島地区の町並み保存についても引き続き取り組んでまいります。
 
倉敷市を訪れる外国人観光客数につきましては、宿泊者数が平成26年に25,219人、平成27年に46,948人、平成28年には52、437人と2年間で倍以上に増加しています。国内外からのお客様の受入環境の整備として、国の地方創生拠点整備交付金を活用して、国民宿舎良寛荘をお茶の文化が根付く玉島地区の観光拠点施設として、また、鷲羽山レストハウスを外国人観光客や高齢者の方々が利用しやすい施設として整備し、3月にリニューアルオープンいたします。市内の主要な観光エリアでは、既に「倉敷フリーWi-Fi」を運用しておりますが、更なる利便性向上を図るため、倉敷駅に設置している乗換情報案内システムや鷲羽山園路など観光地の看板表記を多言語化するとともに、倉敷駅周辺誘導案内看板の英語表記を改善してまいります。また、東京オリンピック・パラリンピックに向けて、市民や事業者の皆様を対象に、英語対応力の向上とおもてなし機運の醸成を目的とした国際おもてなし講座を引き続き実施してまいります。
 
第5に「みらいに責任を果たすまち」の実現に向けてでございます。
 
まず、環境にやさしいまちづくりを進めるため、電気自動車やプラグインハイブリッド自動車及び燃料電池自動車の購入や、自動車用充電設備設置への助成を引き続き実施してまいります。また、認定エコハウスの普及や、住宅用太陽光発電システム及び中小企業への省エネ設備等の導入に対する助成、市の取組として道路や学校屋内運動場、市役所庁舎の照明LED化に引き続き取り組んでまいります。
 
次に、都市機能の充実・強化の取組として、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業につきましては、倉敷駅周辺総合整備計画を昨年7月に公表し、県知事及び県議会土木委員会等へ事業の必要性を御説明しました。そして、昨年11月30日には、県議会土木委員会から県執行部に、連続立体交差事業の推進についての要望書が提出されています。市が進めています土地区画整理事業等のまちづくりは着実に進んでおり、中心市街地の都市機能の充実・強化に向けて連続立体交差事業の必要性はますます高まってきていると考えております。今後も県との協議を重ね、早期の事業化が図られますよう引き続き取組を進めてまいります。さらに、倉敷駅周辺第二土地区画整理事業や阿知3丁目東地区市街地再開発事業などに取り組むとともに、西阿知矢柄線、矢柄西田線などの都市計画道路の整備を着実に実施し、市民生活の利便性向上に加えて、圏域の中枢都市に相応しいまちづくりを進めてまいります。
 
なお、去る2月7日、8日に両備バスと岡電バスが、運行する78のバス路線のうち赤字幅の大きい31路線の廃止届を中国運輸局へ提出したとの報道発表がありました。バス路線は市民の通勤・通学や、高齢者の通院・買物などかけがえのない生活の足であり、地域全体の公共交通網に深刻な影響を与えることとなります。そのため、2月15日に路線のある他市とともに県に対して、国・自治体・交通事業者等を交えて公共交通の維持・存続について検討する協議会を早急に設けていただくよう要望したところです。市といたしましては、今後の動向を注視しながら、市民生活の足を守っていくことができるよう努力してまいります。
 
高梁川流域連携中枢都市圏の取組につきましては、平成30年度は、2事業を追加し67事業に拡大してまいります。新たな取組としましては、まず、高梁川流域働き方改革啓発事業として、圏域の中小企業を対象に、労働生産性の向上や高齢者の就業促進など働き方改革を啓発してまいります。また、高梁川流域学校給食アレルギー対応献立レシピ研究事業として、各市町の学校給食担当者によるアレルギー対応献立の導入を推進するためのレシピ集を作成してまいります。今後とも、高梁川流域市町との絆を強化してまいりたいと考えております。
 
協働のまちづくりの推進につきましては、私が直接、市民の皆様と自由な意見交換を行う市民ふれあいトークをこれまで76回実施しており、市民の皆様と様々な地域課題等について意見交換を行ってまいりました。今後とも、こうした取組を通じて市民の皆様とともに、協働のまちづくりを進めてまいります。
 
行財政改革の推進につきましては、4年間で負債総額200億円以上の削減を公約として掲げております。このたびの当初予算編成時点で、平成30年度末の臨時財政対策債を除く特別会計・企業会計を含む全会計の市債残高につきましては、平成27年度末残高から約170億円削減できる見込みとなっています。また、公共施設の再編や老朽化への取組としまして、新共同調理場整備事業や船穂幼稚園園舎建設事業、第五福田保育園と第五福田幼稚園を統合して認定こども園に移行するための園舎増築事業などを実施してまいります。また、民間活力の導入として、新たに新共同調理場の給食調理業務の民間委託を実施するとともに、民間の資金とノウハウを活用するPFI手法を用いた取組として、中庄団地建設事業、少年自然の家施設整備事業などを実施してまいります。また、橋りょう・トンネル・公園などの長寿命化対策を実施し、将来世代への負担軽減につながる取組を進めてまいります。
 
倉敷市のより良い未来を築くためには、子育て世代が安心して子どもを産み育てることができ、お年寄りや障がいのある方々が地域のなかでいきいきと活躍し、子ども達や若者が将来に夢と希望を持ち、誰もが健康で安心して暮らせるための取組を進めるとともに、都市機能の充実・強化や地域経済活性化など倉敷市の将来を見据えた取組を積極的に進め、これらが相互に高め合い好循環を創り出す市政運営を行っていくことが重要と考えています。市民の皆様の思いを託された市議会の皆様、地域を支える市民の皆様と一緒になって、未来への懸け橋を築く施策を進めてまいりたいと考えておりますので、今後とも、皆様方の御理解と御協力をよろしくお願い申しあげます。