平成29年6月議会における所信表明
議員の皆様、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

まず、4月23日に倉敷市民会館において開催しました「倉敷市」50周年記念式典に、市議会議員の皆様をはじめ、大変多くの皆様に御出席いただきましたことを心より感謝申し上げます。また、式典を通じて、子どもから大人まで幅広い世代の皆様方と、ふるさと倉敷への思い、そして、更なる倉敷市発展に向けての思いを共有できましたことを、大変嬉しく思っております。今後も更なる市政発展に向けて、皆様の御支援・御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。

それでは、提案理由説明に先立ちまして、市政を取り巻く状況につきまして御説明申し上げます。

まず、5月16日から18日にかけて、ニュージーランド国のビル・イングリッシュ首相が来日されましたが、その際、安倍首相主催の歓迎会が開催され、わが国とニュージーランド国との間での最初の姉妹都市である倉敷市の市長として招待され、イングリッシュ首相とお話しする機会をいただきました。イングリッシュ首相から、倉敷市とクライストチャーチ市との間での長年に渡る友好関係について、また、平成23年のクライストチャーチ大地震の際の、倉敷市からの救援隊派遣をはじめとした多くの支援に対して、感謝の気持ちを是非、市民の皆様に伝えてもらいたいとのお話があったことを御報告させていただきます。

次に、地方創生への取組について申し上げます。

はじめに、日本遺産の認定についてでございます。日本遺産は、地域の歴史的魅力や特色を通じて、わが国の文化や伝統を語るストーリーを、国が、平成27年から平成32年までに100件程度認定するものであり、これまでに37件が認定されていました。このたび、倉敷市が申請していた「一輪の綿花から始まる倉敷物語~和と洋が織りなす繊維のまち~」をはじめとして17件が認定を受けました。現在、倉敷市は繊維製品出荷額国内第1位を誇る「日本一の繊維のまち」となっており、このたびの認定は、繊維産業によって育まれてきた倉敷市の歴史・文化の魅力が高く評価されたものと受け止めており、これもひとえに、先人の方々の努力の賜物とあらためて感謝と敬意を表します。発表の当日には、私が、文部科学省において松野(まつの)博一(ひろかず)大臣から日本遺産の認定証を受け取るとともに、市役所で認定を祝したセレモニーを開催し、市議会議員の皆様、関係者の皆様に御臨席いただき、また、多くの方々からお祝いの言葉をいただきました。市では、6月1日に日本遺産推進室を設置し、また、今後、市と関係団体で構成する(仮称)倉敷市日本遺産推進協議会を設立する予定としており、この絶好の機会を生かして、地域活性化につながる取組を進めてまいりたいと考えております。

次に、子育て支援の取組についてでございます。倉敷市では、妊娠・出産・子育ての切れ目のない支援に取り組んでいるところですが、このたび、7月3日から、子育て世代包括支援センター「妊婦・子育て相談ステーション すくすく」を市内5か所に開設することといたしました。これまで実施している、妊娠届出時の保健師等による全ての妊婦との面接や、関係機関と連携した支援等に加え、各ステーションに助産師・保健師等を「すくすく相談員」として新たに配置し、また専用ダイヤルとして「相談ほっとライン」を設けるなど、支援体制の充実を図ってまいります。

また、待機児童対策については、昨年4月1日の待機児童数が111人でしたが、平成28年度中に、保育所等の定員増や企業主導型保育事業の実施により、223人の定員枠を新たに設けました。しかしながら、保育需要の増加により、今年4月1日の待機児童数は186人となっています。現在、民間保育所の創設1園と増改築2園、認定こども園の創設1園等によって、平成29年度末までに206人の定員増を行う整備を進めておりますが、さらに、保育需要が高まっている倉敷地区の大高小学校区や中島小学校区を中心とする地域での創設・増改築等による合計180人程度の定員増に向けて、本日より保育所整備計画の募集を開始してまいります。

次に、地域産業の競争力強化の取組についてでございます。働く場を創るまち倉敷の実現に向けて、倉敷市では企業立地等による産業競争力の強化を図っております。玉島ハーバーアイランドでは、平成26年10月に立地協定を結んだ西日本の穀物取扱拠点となる食料コンビナートの形成が進んでおり、さらにこのたび、食品大手の明治、物流資材などを製造する岐阜プラスチック工業、運輸業のシーアール物流の3社の立地が決定しました。引き続き、企業の立地や設備投資、本社機能の移転促進など地域経済の活性化につながる取組を進めてまいります。

最後に、5月29日、私は、第12回まち・ひと・しごと創生会議に出席し、大学の東京一極集中の是正と地方大学の振興について提言を行ってまいりました。18歳人口は、この25年で201万人から120万人へと約80万人減少し、最新の推計では今後50年でさらに約50万人減少するとされています。その一方で、全国の大学数のうちの約3割、学生数の約4割が東京23区を中心とした東京圏に集中しており、私は、大学の東京一極集中是正に向けて法整備を含めた抜本的な対策を、国が講ずべきであると申し上げました。また、地方大学については、入学定員に係る基準の緩和や財政面での支援など、多角的な観点で優位性を持たせる取組を進めていただくなど地方大学の振興を図っていくことが、地方創生を推進するために重要であると申し上げました。地方創生は、国と地方とが両輪となって取り組んでいくことが必要であり、今後も、地方自治体の立場から積極的に提言を行ってまいります。