平成27年2月議会における所信表明
◆市長提案理由説明要旨(抜粋) 平成27年2月18日
 
議員の皆さま、本日は、御多忙の中お集まりいただき、厚くお礼を申し上げます。

提案理由説明に先立ち、平成27年度の市政運営や予算編成について基本的な考え方を述べさせていただき、皆さまの御理解と御協力を賜りたいと存じます。

まず、我が国を取り巻く状況についてでございますが、世界に先駆けて「人口減少・超高齢社会」を迎えており、政府においては、人口減少を克服し地方創生を成し遂げることを目指して、昨年11月21日に「まち・ひと・しごと創生法」を制定するとともに、安倍首相を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」及び、私も構成員として参加しております「まち・ひと・しごと創生会議」での議論を重ね、12月27日に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」を閣議決定いたしました。この中には、倉敷市から政策提言してきました、東京一極集中の是正のための政府関係機関の地方移転、地方への企業移転を促進するための税制優遇措置等の導入、企業の地方採用の促進、地方大学の活性化や機能強化、地方分権改革の推進、地域経済の活性化による魅力あるまちづくりの推進や移住・定住の促進など数多く盛り込まれております。地方創生は、国と地方の双方が一体となって総力を挙げて取り組むべき国家的課題と受け止めており、倉敷市といたしましても人口減少対策・地方創生の実現に向けて全力で取り組む所存であります。

倉敷市におきましてもこの法律の成立を受け、昨年11月27日に「倉敷市まち・ひと・しごと創生総合戦略推進本部」を県内自治体の中でいち早く設置し、現在、市の目標や講ずべき施策を盛り込んだ総合戦略の策定を進めているところであります。また、地方創生のなかで、大きな柱の一つとして掲げられている自治体連携についてですが、倉敷市では、高梁川流域連盟と同じ構成自治体である7市3町(新見市・高梁市・総社市・早島町・倉敷市・矢掛町・井原市・浅口市・里庄町・笠岡市)の枠組みで、各市町との協議のもと、これまで「新たな広域連携モデル構築事業」を実施するとともに、7市3町の首長で構成する「高梁川流域自治体連携推進協議会」や、圏域内の商工団体や農業団体、大学、金融機関、まちづくりに取り組む民間団体などの代表者からなる「高梁川流域圏成長戦略ビジョン懇談会」を開催いたしました。この協議会及び懇談会を通じまして、今後の圏域の将来像や具体的な取り組み等を示したビジョン案について協議を進め、この度、各市町との連携協約の締結を議会にお諮りさせていただいたところでございます。

次に、平成27年度は、倉敷市が船穂町・真備町と合併して10年を迎える節目の年でございます。倉敷市にとって、船穂地区における全国第1位の出荷量を誇る加温マスカットや、全国第2位となる金時人参及びスイートピー栽培、真備地区における古代吉備王国の歴史と文化を受け継ぐとともに、ピオーネ、タケノコなど素晴らしい数多くの地域資源が加わることで、全国への倉敷市の魅力発信の多様化と魅力向上につながっております。また、合併以降、船穂地区では船穂産業団地の分譲、船穂支所及び船穂武道館の建替、ふなおワイナリーの施設整備や新商品開発などを、また、真備地区においては、玉島消防署真備分署、真備総合公園体育館及び真備健康福祉館の新築、県立倉敷まきび支援学校の誘致など、地域の均衡ある発展につながる基盤整備や魅力の向上に取り組んでまいりました。合併10周年を迎え、記念事業も実施することとしており、今後とも地域の一体感の更なる醸成と地域の個性を活かした取り組みを進めてまいります。

それでは、市政運営につきまして、その基本的な考え方と平成27年度に取り組む主な事業を、公約に掲げている6つの政策に沿って、また、新たに重点事業として位置づけました、まち・ひと・しごと創生事業につきまして、順次、御説明いたします。

第1に「子育てするなら倉敷でと言われるまち」の実現についてでございます。地域の宝である子どもたちが、笑顔で健やかに育ち、個性や能力に応じた教育を受けることができ、子育て世代の皆さまが安心して子育てすることのできる環境を整えてまいります。

平成25年の本市の合計特殊出生率は1.61となり、全国平均の1.43、県平均の1.49を上回り、平成19年の1.50から0.11ポイント上昇しており、これまで取り組んできた子育て支援策が実を結びつつあるものと考えております。そして、平成27年4月から、質の高い幼児期の学校教育・保育の総合的な提供と、地域の子育ての一層の充実、保育の受入れ人数増による待機児童の解消を図る、子ども・子育て支援新制度が始まります。倉敷市におきましても、これを契機として更に積極的な子育て支援策に取り組むこととしており、まず、その一環として、公立としては初となる中洲認定こども園を4月に開園するほか、平成28年度から認定こども園に移行する公立保育所3園の整備を実施してまいります。また、待機児童の解消に向けた取り組みとして、公立幼稚園での3歳児保育の実施をこれまでの22園から26園へ拡大するとともに、預かり保育をこれまでの7園から13園へ拡大して実施いたします。また、私立幼稚園5園と民間認定こども園1園への預かり保育の助成を新たに実施するとともに、私立幼稚園への長時間預かり保育を実施するための施設改修費等の助成を実施してまいります。子育て環境の整備としては、新たに保育教諭・保育士・幼稚園教諭の養成や再就職の支援による保育士確保に向けた取り組み、さらに、公立保育所の施設整備や、老朽化による民間保育所改築の助成などを実施してまいります。また、放課後児童クラブについては、入所希望が増加している小学校での余裕教室の改修やプレハブ新設を行ってまいります。

次に、子どもの健康を守るとともに子育てを支援するため、岡山県が倉敷市にのみ単県医療費公費負担補助率を6分の1としているなかでありますが、本市の「行財政改革プラン2011」のこれまでの効果や今後予定している取り組みを踏まえて、平成27年4月から、これまでの小学校6年生までの入院・通院医療費に加えて、新たに中学校3年生までの入院医療費の無料化を実施してまいります。また、新たに健康診査未受診児の家庭訪問を行うとともに、これまでの女性の不妊治療に加えて男性の不妊治療についての助成も実施してまいります。

教育・学習環境の充実に向けた取り組みでは、これまでの小学校6年生と中学校3年生を対象にした全国学力・学習状況調査や、中学校1年生を対象にした岡山県による実施に加え、新たに市独自で小学校5年生と中学校2年生を対象に実施し、学力の経年変化を把握することで、指導に生かしてまいります。また、小・中学校での学習内容の理解を深めるため、非常勤講師等の単市加配を行うほか、放課後等に学習支援員を配置する放課後学習サポート事業や、授業中及び長期休業中等に学習支援員を配置する学力向上支援事業、小学校3・4年生の算数や中学校1年生の数学の授業を中心に非常勤講師を配置する、少人数指導による「確かな学力」向上支援事業等を引き続き実施してまいります。また、生徒数増加に伴う南中学校の校舎増築及び、老朽化した倉敷・倉敷北・玉島・船穂の各学校給食共同調理場を集約する新共同調理場の整備に着手してまいります。また、中学校普通教室へのエアコン設置に向けた設計を行うなど、学習環境の充実にも努めてまいります。

次に、不登校やいじめへの対応でございますが、不登校児童・生徒支援員等配置事業や、専門家を招いての学校問題支援プロジェクト事業、スクールカウンセラー等配置事業に引き続き取り組んでまいります。また、障がいのある児童・生徒の教育環境の更なる充実を図るため、平成27年度は倉敷支援学校の校舎等の改修やプールを更新に併せて拡張するため給食場等との合築施工に着手いたします。また、発達障がいのある、または疑われる児童がいる保育所等に支援員を派遣する保育所等訪問療育事業、保育所に専門家を派遣する障がい児保育アドバイザー派遣事業に引き続き取り組むほか、学校・園生活支援員配置事業については9人増員し、185人配置することとしております。さらに、発達特性のある子どもと保護者を対象とした親子教室に、療育の専門家を派遣する療育アドバイザー派遣事業を新たに実施してまいります。

第2に「高齢者が健康で、生涯現役で暮らせるまち」の実現に向けてでございます。平成26年9月時点で、本市の65歳以上の人口は約12万人、高齢化率25パーセントと、4人に1人が高齢者という状況になっております。このように本市におきましても高齢化が進展するなか、高齢者の方々が生涯現役として地域や社会と関わりを持ちながら生活し、元気に活躍していただけるような取り組みを進めてまいります。

高齢者の方々が、生きがいをもって活躍できる地域づくりのため、豊富な知識や経験を生かして学校教育を支援していただく地域連携による学校支援事業について、平成27年度は、これまでの小・中学校28校から37校に拡大して実施してまいります。また、高齢者や障がいのある方々にとって外出しやすいまちづくりを進めていくこととしており、本年2月にJR倉敷駅南口のエレベーターが完成し供用開始いたしました。平成27年度は、JR中庄駅自由通路へのエレベーター設置を実施してまいります。また、災害時に避難所となる小・中学校6校の屋内運動場をはじめ、本庁舎、児島、玉島、水島の各支所や公民館等21施設の計80基のトイレ洋式化を行うこととしております。

次に、健康増進、健康を守る取り組みといたしまして、スポーツに気軽に参加してもらえるようにするため、団体等が行うスポーツのイベント情報をホームページでお知らせする事業や、予防接種や検診への取り組みとして、成人用肺炎球菌ワクチン接種の助成、各種がん検診、歯周病検診を引き続き実施するとともに、これら検診の受診率向上に努めてまいります。

さらに、介護・福祉施設や在宅サービスの充実を図るため、昨年の真備地域の1か所開設に続き、市内で6か所目となります、障がい者の相談支援や活動の機会を提供する地域活動支援センターⅠ型を倉敷地区に開設いたします。また、新たに視覚障がいの方に対して必要な相談、指導、訓練を行う生活訓練事業を行うとともに、在宅介護者への負担軽減を目的として、医療的ケアを行う短期入所施設の拡大促進を図るレスパイトサービス施設拡大促進事業を新たに実施してまいります。

第3に「災害に強く、安心して暮らせるまち」の実現についてでございます。防災・減災対策のための危機管理体制を強化するとともに、地域医療を充実させ、市民の皆さまが安全で安心して暮らせるための取り組みを進めてまいります。

昨年12月に発表された政府の「全国地震動予測地図」2014年版では、今後30年間に震度6弱以上の地震が起こる確率が、岡山では38パーセントから40パーセントに上昇しており、日頃から地震に対して備えておく必要性がますます高まっております。まず、小・中学校の校舎耐震化率100パーセントの実現につきましては、平成27年度に小学校14校、中学校4校、支援学校の耐震補強工事と小学校3校、中学校1校の校舎の建替工事を行うこととしており、この予算の執行によって、耐震化の対象となる支援学校を含む市内の小・中学校全てが完了いたします。次に、保育所の園舎耐震化につきましては、2園の耐震診断、2園の設計、3園の補強工事を行い、予算執行によって耐震化率は前年度当初の46.4パーセントから71.4パーセントに上昇します。同じく幼稚園の園舎耐震化では、1園の耐震診断、11園の設計、9園の補強工事により耐震化率は前年度当初の37.7パーセントから55.9パーセントに上昇します。また、公民館7館・体育施設1か所・消防署1か所・社会福祉施設2か所・勤労者福祉施設1か所の耐震診断、公民館4館・消防署2か所の設計を行うこととしております。さらに、耐震診断が義務化された民間大規模施設の耐震改修費、耐震シェルター及び防災ベッドの設置や民間木造住宅の部分改修への助成事業を新たに実施いたします。

次に、浸水被害対策といたしまして、倉敷市にとって長年の懸案となっておりました治水安全度の向上に大きく寄与する小田川合流点付替えが、平成26年度から国において事業化されたことに加え、排水機場の施設改修や長寿命化診断等を引き続き実施するほか、新たに、4か所のため池ハザードマップの作成を行います。市内には国の基準により定められた防災重点ため池が20か所あり、今後、計画的にマップを作成してまいります。また、災害に的確かつ迅速に対応するための体制強化として、消防緊急通信指令システムの更新や、避難時に利用するマンホールトイレの小学校6校、中学校1校における計65基の整備を行います。

また、地域の絆につながる自主防災組織の育成や結成促進に取り組むほか、通学路の安全確保をはじめとした防犯対策のための防犯カメラの設置など、市民の皆さまと一緒になって、防災・減災、さらに防犯についても取り組みを進めてまいります。

さらに、地域医療の充実のため、現在、設計を行っている約66億円の建設事業費を見込んでいる児島市民病院の建替工事を着工いたします。出産やがん患者等を対象とした緩和ケアにも対応した23科として、平成29年度中の完成を目指してまいります。さらに、「生きる支援」の強化として、これまでの生活困窮者自立支援事業に加えて、自殺対策基本計画を策定し自殺対策に関する総合的な取り組みを推進してまいります。

第4に「地域経済が元気で、人が集まるまち」の実現に向けてでございます。先人たちの努力と英知の積み重ねにより、倉敷市は、国内のみならず世界に誇る町並みや伝統文化、自然環境などの優れた資源を有し、また、伝統産業から先端産業まで多彩な産業・技術の集積があります。こうした貴重な財産を生かしながら、更に魅力を磨き高め、全国・世界へ発信し、地域の特性を生かした産業の振興や、企業が立地・進出しやすい環境整備、投資を促進する方策に取り組むことにより、地域経済の活性化や雇用の拡大を図ってまいります。

倉敷美観地区では、町家・古民家再生事業の一環として、飲食・雑貨の複合施設「倉敷庭苑」がオープンしたことに加え、電線類地中化事業が昨年11月に完了し、歴史的景観は一層趣きを増しました。平成27年度は、井上家住宅の保存修理を引き続き実施し、老朽化した倉敷館の改修にも新たに取り組むこととしております。さらに、倉敷駅周辺の商業施設や駅南の商店街と倉敷美観地区との回遊性向上のため、倉敷みらい公園のイルミネーションをはじめとした中心市街地活性化事業や、倉敷美観地区でのプロジェクションマッピングの実施など、新たな魅力づくりにも取り組んでまいります。

また、昨年12月には、玉島地区に玉島観光案内所をオープンいたしました。平成27年度は、新たに玉島のまちづくり事業として、町並み保存地区や商店街を中心に、お茶の文化に着目した魅力創出イベントを開催するなど、まちの活性化につなげていくとともに文化や魅力の情報発信を行ってまいります。

また、玉島ハーバーアイランドでは、昨年10月、全国トップクラスの取り扱い規模となる食糧コンビナート関連企業の立地に続き、今年1月には新たに1社の立地が決定しました。今後も企業誘致や水島港の機能強化によって、倉敷市の産業力強化と雇用の創出を図ってまいります。また、事業承継を目的としたセミナー開催など新たな取り組みを行うこととしており、さらに、中小企業者の事業展開を支援する、がんばる中小企業応援事業については、新たに事業承継、女性起業家ネットワーク形成、小規模事業者に向けたIT活用販売促進の3つのメニューを追加するなど、昨年策定した倉敷市商工業活性化ビジョンを踏まえた地域経済活性化への取り組みを積極的に推進することとしております。また、新規就農サポートや、玉島陶中地区と柳井原地区のほ場整備、民間畜産施設の整備への助成、小原漁港や通生漁港の整備、稚魚等の放流事業など、農業、水産業振興にも着実に取り組んでまいります。

文化・芸術活動の振興につきましては、大山康晴十五世名人や吉備真備公にゆかりの深い倉敷市として、「倉敷王将戦」や「くらしき吉備真備杯こども棋聖戦」を引き続き実施いたします。平成27年度は、これらの取り組みに加え、将棋の普及や棋士との交流を図るための将棋界の一大イベントである第41回「将棋の日」を誘致し、11月21日、22日に開催する予定としており、倉敷藤花戦と併せて盛り上げ、倉敷の文化と魅力を全国に発信いたします。また、倉敷の歴史・文化をまちづくりに生かすため、市内の文化財を総合的に把握し、適切な保存・活用のあり方を示す歴史文化基本構想・保存管理計画を新たに策定してまいります。

第5に「都市機能が高く、環境にやさしいまち」の実現に向けてでございます。中国地方で広島市、岡山市に次ぐ人口を有する中核市として、また、高梁川流域圏の拠点都市として、圏域の発展と連携をリードする都市にふさわしい都市機能の充実を図ってまいります。また、資源やエネルギーを有効に活用し、自然と人の暮らしが調和した環境への負荷が少ない持続可能なまちづくりを目指してまいります。

市内の交通ネットワーク形成を図るための幹線道路整備では、高砂町中島柳井原線整備事業について、既に新架橋の大部分が姿を見せております。雄大な高梁川と、その周辺の自然の美しさとの調和に配慮し、船穂・真備地区と倉敷中心部を結ぶ幹線道路として平成27年度中に完成する予定です。また、同じく高梁川への架橋として、国道2号における、高梁川大橋から山陽自動車道船穂ジャンクション間の4車線化工事が昨年9月に着工し、平成31年度の完成に向けて、さらに河口付近では、水島コンビナートの競争力強化に向けた新高梁川橋梁が、平成28年度中に完成する予定となっております。また、市が実施している柏島道越線、新田上富井線、西阿知矢柄線、矢柄西田線などの都市計画道路の整備を着実に進めることで、市民生活の利便性向上を目指してまいります。

また、橋りょう、トンネル、横断歩道橋、道路について、点検、補修による長寿命化と利用者の安全確保を図る、道路ストック長寿命化事業を新たに実施します。さらに、持続可能なコンパクトなまちづくり実現に向けて、住宅、医療、福祉、商業等の施設の立地適正化を図るための「立地適正化計画」や、まちづくりと連携し拠点間などを結ぶ面的な公共交通ネットワークを再構築するための「地域公共交通網形成計画」の策定に向けて検討を進めてまいります。

また、JR児島駅前地区では、児島市民病院の建替工事に加えて、児島駅周辺誘導案内施設の整備やバリアフリーに対応した歩道整備、児島駅前第2公園の再整備を行い、また、これらのまちづくりへの取り組みの相乗効果を高めるためのセミナーや魅力発信イベントなどを開催いたします。

次に、JR山陽本線等倉敷駅付近連続立体交差事業につきましては、岡山県は、コスト縮減や工法変更等の方策について、昨年度のJR西日本への委託に続き、今年度は、水島臨海鉄道に調査を委託しております。倉敷市といたしましては、事業着手に向けて着実に前進しているものと受け止めており、引き続き、国、県、JR西日本等の関係機関と早期の事業化に向けて協力していくとともに、倉敷駅周辺第二土地区画整理事業、倉敷駅前東土地区画整理事業、倉敷駅周辺駐車場整備事業などについても積極的に推進してまいります。

次に、地球温暖化対策の推進につきましては、認定エコハウスの導入促進や太陽光発電、電気自動車購入費等の助成事業を引き続き実施するほか、平成27年度からは、急速充電設備設置費助成の一部拡大や、新たに太陽熱温水器に対する助成を行うこととしております。また、施設の省エネと長寿命化を図るための3年間で総額50億円をかけて実施する水島清掃工場の基幹的設備改良工事や二酸化炭素の排出量削減を図るための児島下水処理場での消化ガス発電事業のほか、ごみ減量及びリサイクル推進の啓発事業や環境学習等の推進事業、水島リフレッシュ構想の中心的な事業である花と緑あふれる憩いの場となる水島中央公園の再整備を行うことなどにより、持続可能なまちづくりを進め、環境最先端都市を目指してまいります。

第6の「行財政改革を実行し、市民との協働のまちづくり」につきましては、行財政改革については、経費削減に留めるのではなく、効果的・効率的な行財政運営を行うことで、社会経済状況の変化に対応した行政サービスの提供や、得られた効果を市民サービスの向上につなげていくことが重要と考えております。

平成27年度からは、これまでの軽自動車税に加え、固定資産税・都市計画税・市県民税(普通徴収)のコンビニ収納を新たに開始いたします。また、倉敷消防署合同庁舎及びライフパーク倉敷などで、省エネ改修工事によるコスト削減分で設計・工事・維持管理の費用を賄うESCO(エスコ)事業を実施してまいります。

また、私は、公約として4年間で負債総額200億円を上回る削減を掲げておりますが、この度の当初予算編成時点で、平成27年度末の臨時財政対策債を除く負債総額については、約326億円削減できる見込みでございます。次に、「行財政改革プラン2011」でお示ししている、5年間で53億円超の行財政改革効果額の目標に対しまして、平成25年度までの3年間で約46億円の実績となっており、引き続き着実に取り組みを進めてまいります。

また、市民の皆さまとの協働のまちづくりに向けた取り組みにつきましては、市内の各地域の会場で、私が直接、市民の皆さまと自由な意見交換を行う「市民ふれあいトーク」は、この1月で58回目を迎えました。今後もこうした機会を活用しながら、皆さまの御意見を真摯に受け止めてまいりたいと考えております。

また、男女共同参画をテーマとした国内最大のイベントである「日本女性会議2015倉敷大会」を10月9日から11日にかけて、倉敷市民会館をメイン会場として開催することとしております。全国からお越しいただく方々に対して、倉敷市の男女共同参画の取り組みを発信し、また、市民の皆さまと一緒になって大会を盛り上げ、市内の各地域の魅力についても十分に伝えてまいりたいと考えております。

続きまして、地方創生に向けた取り組みについて御説明申し上げます。倉敷市では、「地方にしごとをつくり、安心して働けるようにする」「地方への新しいひとの流れをつくる」「若い世代の結婚・出産・子育ての希望をかなえる」「時代に合った地域をつくり、安心なくらしを守るとともに、地域と地域を連携する」という、私も策定に携わりました国の総合戦略に掲げられている4つの基本目標を踏まえつつ、倉敷市の地域課題解決に向けて取り組んでまいりたいと考えております。まず、地域と地域の連携として取り組む連携中枢都市圏構想において、「高梁川流域圏成長戦略ビジョン案」に盛り込んだ、圏域内の町家・古民家を活用した魅力拠点づくりと技術伝承事業や、訪日外国人旅行者の受入環境整備につき県内で唯一の地方拠点に選ばれている倉敷市が中心となって観光事業者への接遇研修等を実施する国際おもてなしマイスター事業、圏域内の観光資源の発掘・発信事業、圏域内の代表的な農産品の出荷時期が長期にわたる強みを生かして販売促進に取り組むぼっけーうめえ農産品事業などの、圏域の経済成長を目的とした事業を実施することとしております。また、圏域内の大学・企業等の連携により人材育成につなげていく高梁川流域学校事業や、圏域内の保育士確保を目的に保育士再就職支援コーディネーターを配置する事業、圏域内の小学生に公共施設の入館料の免除等を行う高梁川流域パスポート事業、防災力強化を図るための防災講演会や避難所運営演習を実施する事業など、圏域の生活関連機能サービス向上に向けた事業などについても実施することとしております。なお、この度の連携協約締結後に各市町との協議が整った事業につきましては、今後の補正予算での計上を行ってまいりたいと考えております。

また、子育て支援策や地域経済活性化策などにつきましては、現在検討を進めている「倉敷市まち・ひと・しごと創生総合戦略」の策定に先行して実施することとしており、先ほど6つの政策のなかでも御説明させていただきました、がんばる中小企業応援事業や公立幼稚園預かり保育実施事業などに加えて、多子世帯への保育料負担増の抑制策や、移住交流推進事業の拡大実施などに取り組むこととしております。なお、国が平成26年度補正予算で措置した、地域における消費喚起・生活支援策や地方での総合戦略の先行的実施を支援するための新たな交付金の活用につきましては、現在、検討を進めておりますことから、今議会で、追加議案としてお諮りさせていただきたいと考えております。さらに、「倉敷市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定していくなかで、地方創生を進める観点から早急な対応が必要となる事業については、補正予算で計上を行っていくなどスピード感を持った取り組みを進めてまいりたいと考えております。

以上申し上げましたように、平成27年度は、私の今任期最後の年にあたり、公約の実現をはじめとして、これまで取り組みを進めてきた様々な施策の成果を、市民の皆さまに身近に実感していただくことや、まち・ひと・しごと創生への取り組みを念頭に置いて積極的な予算編成を行いました。

今後におきましても、課題を直視し、私たちの世代が解決するという姿勢で臨むとともに、時々の状況や変化を的確に捉えながら、将来に向けた布石をしっかりと打つことで、次の世代への責任を果たしてまいりたいと考えております。引き続き、皆さまの声をお聴きし、対話を通じて解決策を見出していく現場主義・対話重視を実践することで、皆さまの御期待に応えることができるよう頑張ってまいりますので、御理解と御協力をお願い申し上げます。